詩の自画像

詩は一部まだ未完成のも含まれております。ある程度推敲したものを掲載しますが、再校正を何回か必要なものが多くあります。

入浴

2017-02-09 08:33:44 | 日記
入浴



体をお湯に沈ませていく
溺れるように沈むのがコツだ

沈んだ足の方で
お湯が循環する感触を意識する

この熱は
灯油ボイラーで作った手作りの熱だ

体の周りを
ゆっくりとお湯が流れていく

一日の疲れが
体から離れていくひとときだ

湯船の底にあった足がない
足が上手にお湯と交わったのだ

体のお腹の周りが浮いてくる
両足がないからこれは醜態だ

急いでその姿を隠そうとするが
ぽかりぽかりと浮いている

毎晩お風呂の中で
この姿を見慣れているから感じない

ふぅっと大きな声を出しながら
タオルで頭髪や顔などを軽く拭いていく

そしてまたしばらく湯船の中で
残った体を湯に浮かせる

それを何度か繰り返していると
湯船の中から全ての体が消えていく

五分も消えたままにしておくと
もう十分だ 入浴は終わりとなる

お湯で濡れている体を
大きなバスタオルでなんども拭く

濡れた体が乾燥してくる辺りから
体の輪郭が浮き出てくる

体が全部浮き出て揃ってから
パジャマに着替えると濡れない

長湯嫌いな俺は
この入浴がどうしても好きになれない

途中で体が戻れなくなったら
どうしょうか
という そんな恐怖心もあるのだが

それでも疑問を素通りして
毎晩のように同じことを繰り返している

ときどきお風呂の中で
浮いたまま忘れられている人もいる

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