詩の自画像

詩は一部まだ未完成のも含まれております。ある程度推敲したものを掲載しますが、再校正を何回か必要なものが多くあります。

カーナビ

2017-02-12 08:35:35 | 日記
カーナビ

            

カーナビから元気な声が消えてしまった

東日本大震災時の大津波により
被害を被った場所に来ると
復興前の道順でしか案内できないのだ

だからその場所に来ると
記憶の道順をくるくると回るしかない
覚えていたものが大きく変わってしまった

その海岸線にあったものは
根こそぎ流されて傷つき痛みだけが残っている
ブルドーザーが
その大地を削り均しているのだが
まだその痛みの中だ

どこまで削り取ればいいのか
もう一度立ち上がる為には
その痛みを早く立ち切らなければならない
断ち切った痛みは
誰も知らないところに捨ててしまおう
そこから希望が立ち上がる筈だ

カーナビの声が元気になれないでいる

防潮堤の高さは七メートルを超えた
斜めの角度から見ると
刑務所の塀のようだといった人がいる

その人は
見てはならない角度から防潮堤を見たのだ
震災後には
そんな角度があちらこちらにある

だからどんなに小さなものでも
ぽとりと落とす言葉には配慮が必要なのだ

カーナビは同じ場所をくるくると回っているが
疲れたとは言わない
カーナビの頑固さが救いだ

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