水徒然

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「海水資源」の持つ可能性に係る記載を調べました。('10-12-19)

2010-12-19 | 日記

たばこ塩産業 塩事業版  2009.9.30 塩・話・解・題 54 
東海大学海洋学部非常勤講師 橋本壽夫氏
「海水資源」の持つ可能性によれば、
http://www.geocities.jp/t_hashimotoodawara/salt6/salt6-09-09.html
(一部、割愛しました。)
「・・・海水中にウランも海水中には全ての元素が溶けて存在していると考えてもよい。しかし、その濃度が薄いので、海水から溶存資源を回収することは容易なことではない。・・・一番多いでも3%くらいの濃度でしかない。・・・ 海水からの回収法が既に実用化されている資源は塩として塩素とナトリウムマグネシウム、臭素、ヨウ素である。但し、国内では食塩以外には経済的に成立たないので、製塩の副産物であるニガリからマグネシウムカルシウムカリウム、臭素が採取されている。かつては海水から直接マグネシウムを回収し耐火レンガの原料となる酸化マグネシウムを製造していた。しかし、溶鉱炉の閉鎖で大口需要がなくなり、コスト的に合わず回収されなくなった。*1
・・・溶存資源回収の現状は 
 海水中にはウラン鉱山の埋蔵量の1千倍にあたる45億トンのウランが溶けていると見られている。海水中からウランを回収しようとする研究は早くも1960年代に専売公社の研究所で行われていた。半世紀を経過した現在では、日本原子力研究開発機構補集材による吸着法でウラン実勢価格13,000円/kgの3倍弱32,000円程度まで引き下げる技術を確立した。補集材の改良などでさらにコストを下げられるとみており、90億円をかけて来年度からの5年間で100 kgのウラン採取を目指す実証試験を沖縄で行い平成29年度の実用化を目指すところまできた。・・・ 海水中には2,300億トンのリチウムが溶存している。電池材料として海水からリチウムを回収する技術開発も吸着法で行われている。産業技術総合研究所は1980年代に始まった第1期の吸着剤の探索から第2期のプロセス技術開発を経て、2000年から第3期の実用技術開発を進めてきたが組織改正があり最近では計画推進が少し滞っているようだ。 
 海水溶存元素として3番目に多いマグネシウムについては前述したように需要減で回収が中断されている。ところがマグネシウムの酸化還元反応を利用してマグネシウム・エンジンや水素燃料電池で自動車の走行や発電をする研究が東京工業大学の矢部教授らによって進められている。・・・この技術が実現すれば炭酸ガスの放出もなく、無限にある資源と太陽エネルギーを用いたクリーン・エネルギー利用が実現される。 
 レアメタル(希少金属)は産業のビタミン剤ともいえる現在の文明社会には必須の元素だ。・・・それらの多くを中国に依存している。・・・廃棄される携帯電話などの電子機器がレアメタル資源として考えられるようになってきた。・・・海水資源利用を国家戦略に 日本海水学会日本塩学会を創始とし、海水を資源として考えた研究開発を進める成果発表の場である。
・・・ 資源は乏しいが、優秀な人材は豊富で技術開発にも得意な我が国は海水資源利用を国家戦略にすべきである。レアメタル等を輸入に頼らず自給の道を目指して予算を配分し、周囲に無限に広がっている海、海水を資源化することを考えるべきである。一部でも自給の道が実現すれば、資源購入に際して強いバーゲニングパワー(交渉力)を持てる。将来を見据えた戦略として新政権に期待したい。」
*1  宇部マテリアルズのHPによれば、
 現在でも、「海水と生石灰との反応によって生成した水酸化マグネシウムを精製・濃縮、脱水、乾燥、仮焼、成型し、焼成キルンで高温焼成(1800℃以上)したものです。」とのことです。

⇒貴重な文献です。同感です。海を利用した金属資源の回収は「再生可能エネルギー」の開発と表裏一体と思われます。
 問題意識をもつている優秀な人材も歳をとりつつあるので、海をシステム的に利用する基盤を確立するためにも早く布石することが肝要と考えられます。
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