水徒然

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海から希少金属ウランを捕集する技術について調べました。

2010-12-09 | 日記

Teck Now
日本原子力研究所 高崎研究所-海水ウラン捕集材料の開発- によれば
http://www.jaea.go.jp/jaeri/jpn/publish/01/ff/ff39/tech02.html

「高崎研究所では、放射線を利用して、産業界で実用化できる技術の開発を数多く行っています。 このほど、資源の宝庫である海からウランやバナジウムなどの有用希少金属を捕集できる技術を開発しました。 この技術が実用化されれば、100%輸入に頼っている有用希少金属が日本国内で産出できるようになります。 日本は、原子力発電所の燃料であるウランを100%輸入しています。 このウランの陸地の埋蔵量は、500~600万トンと推定されています。 これをすべて使ってしまうと、ウランはなくなって、原子力発電ができなくなってしまいます。 しかし、日本近海を流れている黒潮には、1年間で520万トンのウランが含まれています。 ・・・世界の海全体のウランの含有量を合わせると45億トンとばく大な量になります。しかも、海の底の岩盤には、海水に溶けていない状態のウランが更に45億トン以上もあると推定されています。 ・・・希少金属のバナジウムは、年間使用量の300倍もの量が1年間・・・コバルトも、年間使用量の400倍分が1年間の黒潮の中に含まれているのです。 つまり、黒潮に乗って流れてくるウランをはじめとした有用希少金属のうち、0.3%を捕集するだけでも国内使用量の全てをまかなえる計算になります。 ・・・
  どのようなしくみで海水から有用希少金属を捕集するのですか?
ウランなどの重金属だけで選んで吸着する不織布(フェルト)を開発し、この布を海に沈めておくだけで捕集できるというものです。・・・ これは、重金属だけに敏感に反応する「アミドキシム基」という構造を不織布につけたものです。・・・「吸着床」を100個並べて海に沈めておくと、1年間で1トンのウランが回収できます。 不織布は重金属だけを選んで吸着する特性を持っていますから、ウランだけでなく、ウランと同じくらい有用で希少な金属であるバナジウムやコバルトまで捕集してくれます。 むしろ、バナジウムやコバルトのほうがウランの倍も捕集できるのです。・・・ 不織布で捕集した重金属は、濃度の違う塩酸で洗ってやれば、簡単に分離できます。 後は、今までのウランなどの精製法で燃料にすればいいだけです。 ・・・、海洋利用のあり方も変わる可能性があり、新しい産業の創成にもつながります。  昭和60年ころ、不織布でウランが捕集できないかと考え出し、基礎実験を始めました。 その後、良好な感触が得られ、試作品を作って平成6年から実際の海流で試験を開始しました。 沖合6kmの海上に保留しておくだけで、平成8年度には1gのウランを捕集しました。 さらに平成9年にはスケールを大きくし、16gのウラン20gのバナジウムを捕集しました。 捕集できた量は少ないですが、養殖技術を応用して有用希少金属を捕集してみせたのは、世界初のことです。
 今後どのように開発を進めていくのですか?
 「吸着床」の大きさを、少しずつ大きくして、実規模の20万分の1の実証試験をし、1kg程度のウラン捕集する予定です。この試験が成功すれば、経済性も含めた実用化の可能性が見極められるようになります。 この試験は、今後4年間かけて行う予定で、そのための準備を着々と進めている段階です。」
関連投稿:
日本の発電方式別の発電原価に係る記載を調べました。
海を利用した再生可能なエネルギーについて再び調べました。('10-10-18)

 (google画像検索から引用)

⇒原子力発電で問題となる放射性廃棄物が少ない水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる核融合発電の実用化と同様、エネルギー資源のないわが国にとっては重要な技術と想われます。
また、コバルトの捕集もリチウムイオン電池への貢献が大きいと想われます。


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