'11-0503投稿、強調
既報(その2)に記載しましたように、漏洩放射性物質量に影響される環境からの放射線強度は自治体などの調査によって、その実体は明らかになりつつあります。海および土壌、空気などからの放射線強度(ベクレル:Bq)が下がって、少なくとも国の基準以下にしなければなりません。 さまざまな環境に存在している放射性物質の組成、粒子径などは同一元素からなる化合物でも異なっていると思われます。
環境中での放射線強度ベクレル(Bq)と放射性元素数とのを試算してみました。
1.ベクレルとは
既報において、放射線についての初歩を学びましたが、さらに放射線強度ベクレル(Bq)に係る基礎を調べました。
ウィキペディア
「ベクレル」によれば、
(一部割愛しました。)
「ベクレル(becquerel, 記号: Bq)とは、放射能の量を表す単位で、SI組立単位の1つである。単位記号は、[Bq]である。1 s(秒)間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1 Bqである。例えば、毎秒ごとに370 個の原子核が崩壊して放射線を発している場合、370 Bqとなる。 放射線の吸収線量の強さを表すグレイ(単位記号:[Gy])や、グレイに放射線の種類の違いによる生体への影響を加味して係数を掛け合わせたシーベルト(単位記号:[Sv])と混同しないこと。[Gy]や[Sv]はいずれも[J/kg]、すなわち[m2s-2]の次元をもつが、ベクレルの次元は[s-1]である。・・・ベクレルは数値の桁が大きくなるため、kBq(kilobecquerel, 103Bq)、MBq(megabecquerel, 106Bq)、GBq (gigabecquerel, 109Bq)、TBq(terabecquerel, 1012Bq)を使用することが多い・・・
放射能の量[Bq] と 放射線の強さ[Gy],[Sv]
同じベクレル数の放射能が存在しても、それから受ける放射線の強さは条件による。すなわち、放射性物質の種類や測定点までの距離、間にある遮蔽物の効果などである。そのために、吸収線量の単位としてグレイ(単位記号:[Gy])が用いられる。これは、物質1 kgあたりの吸収があったということであり、1 Gy=1 J/kgとなる。 吸収線量が同じ場合でも、生体に与える影響は放射線の種類により変わる。そこで、吸収線量に線質係数を掛けた線量当量という量を使う。単位はシーベルト(単位記号:[Sv])。[Sv]の次元も[J/kg]であるが、線質係数を掛けるため、[Gy]とは別ものである。線質係数は、α線:20、中性子線:10、X線,β線,γ線:1で、単位を持たない量(無次元)である。このように、放射能量を表すベクレルの値の大小は人体への影響度シーベルトとは別の単位である。
仮にベクレルとシーベルトの関係をお金に例えると、硬貨の枚数=ベクレル、合計金額=シーベルトと考えることもできる。(例:Aの財布には10円2枚と500円玉1枚であわせて硬貨3枚(3ベクレル)、Bの財布には5円玉4枚と100円玉5枚で硬貨9枚(9ベクレル)でも、合計金額は同じ520円(520シーベルト)。硬貨の金種(放射線の種類)によって合計金額は変わる。
ベクレルと原子核の個数
毎秒ごとに原子核が自然崩壊する確率は、放射性核種の半減期に反比例するため、ベクレルはその核種の半減期と存在量とで一意に決まる。
例えば、ラジウム226の半減期は1600年であり、1秒間に直せば原子核1個あたり約1.37×10-11個の原子核が崩壊することに相当する。
1gのラジウム226には、約2.66×1021個の原子核があるので、計算すると1秒間に約3.64×1010個が崩壊することになる。したがって、1gのラジウム226の放射能の量は約3.64×1010ベクレルであるといえる。この場合のラジウム226は時間と共に崩壊によって減少していくので、計算するにあたっては経過時間を考慮する必要がある。」
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2.環境中の放射線強度と元素濃度、元素数い係る試算
1)海水中に存在しているセシウム(Cs)からの放射線強度(Bq/L)
既報(海水中のCs、I濃度)で、今までの日本近海の海水中に存在しているCs元素濃度の平均値は0.0004ppm(mg/Kg)(0.00029~0.0005ppm)を算出しました。最近の放射性物質の除去に対する方法を確立したモデル実験(既報その3参照)において、そのCsのメイクアップ量10ppm (多分、10ppmは大目に設定?)としていたことから、
仮に、海水中のCs濃度を8ppmとして、その濃度が何倍増加しているかを概算しました。
次に半減期が約30年のCs元素濃度を既報(現状の放射能汚染の把握)で調べたベクレル値と照合してみました
Csの増加倍数:8ppm÷0.0004ppm=20000倍=2万倍か?
また、海の放射線強度(50kmに拡散と仮定)の概算2万Bq/kg(Cs-134の法令規制濃度60Bq/kg)から、半減期の長いCsのみが存在するとしてアバウトな比較をすると、
海(水)中においては、8mgとすれば、
Csが20000Bqとなることから、
放射性Cs1mgが2500Bqの放射線を出すのか?
1mgは少なくみえますが、元素数に換算すると 0.001g/134g×6.02×10の23乗=0.0000075 ×10の23乗=7.5×10の17乗=75京個となります。
*千 k(キロ)10の3乗、万 10の4乗、億 10の8乗、兆 T(テラ) 10の12乗、
京(けい)10の16乗、垓(がい) 10の20乗
2)空気中に存在しているセシウム(Cs)からの放射線強度(Bq/L)
空気中に存在している元素は土壌に沈積している粒子と比較して小さい粒子径と思われますが、エアロゾルの特性として大部分が降雨によって地上に堆積することから、漏洩が収束した時点でどのような高さ分布で存在しているか興味深いところです。黄砂、火山灰との比較が必要か?地表からの影響が少ない高さ方向の測定結果など調べ たいと思います。
関連資料:NAVER(文部科学省データを引用)
全国放射能情報(シーベルト表示:放射線吸収)
http://www.naver.jp/radiation
3)土壌に沈積したセシウムからの放射線強度(Bq/L)
既報(その3)の参考資料から、大館村などの地域でセシウム20万Bq/kg、雑草はかさ比重が小さいものの265万Bq/kg。付着しているセシウムがどのような状態の化合物として存在しているかわかりませんが、少なくともある程度の粒子径をもったエアロゾルとして風向きによって飛散して来てフォールアウト(沈積)したと思われます。 チェルノブイリから飛散してきたものより、その粒子径は大きいとは推察できますが、費用がかかっても自治体などによる実態調査が望まれます。 既報(放射性物質の微粒子径)の「・・・チェルノブイリ由来の放射性核種を含むエアロゾルの平均粒径は131I<137Cs,103Ru<<90Sr<239,240Puという順序で大きくなることが分かった。この内、131I、137Cs及び103Ruの平均粒径はサブミクロンであった。また、131I、137Cs及び103Ruの3核種の場合、0.43μm以下に全体の放射能の50%が存在し、粒径の増加とともに急速に放射能が減少する分布を示した。 また、1.1μm以下の画分には131Iの場合83%、137Csの場合90%及び103Ruの場合94%の放射能が含まれていることがわかった。・・・」および、「・・・核分裂反応による燃焼物質の粒子径は0.01~0.1μ(10~100nm)」の一覧表から、
その粒子径を個人的に推定すれば、10nm~200nmΦで眼には見えないと思われます。
⇒粒子径が小さいほど放射能(放射線強度:Bq/kg)が大きいのは比表面積効果と考えられます。
仮に、負の電荷をもつSiO2に正の電荷をもつCsが単原子層吸着しているとすれば、粒子径が明らかになれば、Cs量は算出できるかもしれません。
放射性物質の実体(粒子径、組成)など不詳なので、今後の課題とします。