水徒然

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海水温度に影響を及ぼす「海洋深層大循環」に係わる記載を調べました。

2010-12-18 | 日記

  わが国の200海里水域の一部の海水の温度を目的に応じて、極表面から実用可能な深層域まで、ある程度の範囲で所望の温度に制御管理できれば、食糧、エネルギーに係わる海の有効利用が促進されて、その自給率が向上すると想われます。
 海水温度が変動するする要因について、断片的に投稿してきましたが海水温度に及ぼすと想われる概念を「海洋深層大循環から気候の成り立ちを考える」という文献に記載の一部を抽出して紹介します。

「海洋深層大循環から気候の成り立ちを考える」によれば、
  羽角 博康(大気海洋研究所)
http://www.eps.s.u-tokyo.ac.jp/jp/guidance/ocean/hasumi.html
・気候と海洋深層大循環-気候システムの一部としての深層循環-

「・・・陸上地表面付近の大気の物理的状態と密接に関連する要素の総体を指して「気候システム」と呼び、気候システム全体の状態に対して気候という語が用いられます。
気候システムは通常、物理的特徴によっていくつかの構成要素に分けて考えられます。・・・代表的な例は大気(表層・対流圏・成層圏などにさらに分けて考えることもあります)・海洋(海面混合層・温度躍層・深層など)・雪氷(大陸氷床・山岳氷河・積雪・永久凍土・海氷)・陸面(植生・土壌・河川)のような分類です。
 この中で深層海洋は、人の直接の関心の対象としての気候から最も遠い所にあるものと言えるでしょう。・・・身近なところでは日々の天気の変化にとっても大気と海洋の相互作用は重要なものですが、大気との相互作用に直接関わるのは海洋の状態のうち海面水温だけと言えます。・・・海面水温はその下にある海洋の状態から影響を受けて決まっています。海洋の構造を鉛直方向に見ていくと、大部分の地点において、上から、海面から数十メートル深まで温度・塩分がほとんど一様な海面混合層、数百メートル深にある温度が急激に変化する温度躍層、そしてその下の深層と、温度の特徴的構造から分けることができます。・・・」

⇒その他、非常に興味深い記載「海洋深層大循環の成因と実態、気候システムの熱収支という観点から、気候システムの水循環という観点から、気候システムの物質循環という観点から、海洋深層大循環および気候システムのモデリング」については本文を参照願います。
 海水の深さ方向温度は種々の要因によって決定されていますが、太陽光*1の到達深さは、海水中の植物性プランクトンなどの光合成による消費、海水の汚れ具合などによって変化しているものと想われます。温度制御するためには、上記の海洋深層水の挙動を把握して、海水中に懸濁・浮遊している物質を管理したり、および太陽光を目的に応じて、蛍光体などによって波長変換する必要があるかと想われます。
*1太陽光のスペクトルと各波長のエネルギー
<太陽光のスペクトル>

      (google画像検索から引用)
 波長1μ(ミクロン)は1000nm(ナノメーター)
 ⇒地上に届く太陽光の波長は約0.3~2.5μ(300~2500nm)
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