WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

御用マスコミにしてはまし?

2012年05月03日 | 環境・エコ・共生・持続・温暖化とか・・

今朝のテレビ朝日「モーニングバード そもそも総研(玉川徹のニュース解説)」

関電と政府はなぜあれほど大飯原発再稼動に執心するのかについて、御用マスコミにしてはなかなか説得力のある興味深い分析がなされていた。 

「電力会社が原発をどうしても動かしたい動機は電力不足ではない。電力が足りていようが足りなかろうが関係ない、経営上動かさざるを得ないのだ」

 周知のとおり、電力会社の利益は「総括原価方式」、すなわち〔原価(資産+経費)〕×〔事業報酬率(利益率)〕で決められる。ちなみに事業報酬率は認可制(経産省)で、民間会社の利益率や市場金利を参考に各電力会社が決めて経産省が認可する。関電の場合は2011年度で3%。関電の資産は約1兆5千億円でそのうち原発関連が約8千億円である。原発が停止するとこれが資産でなくなるため、8千億円×0.03=約240億円の利益が計上できなくなる。なかなか説得力のある動機分析ではある。

 ただ、番組によると関電は昨年度1000億円の赤字、今年度2000億円の赤字、2年後には6千億円の赤字が見込まれ、原発関連利益がパアになると破綻もありうる経営状態、だからなんとしても打ち出の小槌の原発を稼動しなければならないのだという。原発事故を起こしてしまった東電ならいざ知らず、確実に儲かるはずの「総括原価方式」でなぜ赤字になるのか?その辺の説明はなかったが、とにかく関電としては経営上どうしても原発を動かさないと困るのは確からしい。

 実際、番組の中で、関電と大阪市との話し合いの場面映像が放映され、関電幹部が「大阪維新の会」古賀顧問に「原発を動かすのは電力需給とは関係ない」とはっきり語っていたので事実のようだ。御用テレビ局にしてはよくこの映像を流したなと思う。ま、この発言を引き出した相手が、御用マスコミとしては現体制維持のための第三局として後押ししなければならない「維新の会」だったから「維新の会」ポイントを稼ぎたかったのだろうけど。

 一方で先日、あれほど関電に吼えまくり噛み付いていた「維新の会」橋下市長が、「国民が節電に努力できないのなら再稼動もありうる。それは選挙民が選択することだ。」などと選挙民に脅しをかけている映像が報道されていた。この橋下氏の転調はいったい何を物語っているのか。予想される総選挙に打って出た際、原発が止められていても再稼動していてもどっちにころんでも財界、国民双方から「維新の会」への矛先を交わせるよう布石を打ったのだ。

 では国民(原発反対派)の側はどうかというと、前記の分析から言えば、原発反対派のいう「原発は危険」だの「原発止めて再生可能エネルギーに転換」だのといった反対論は感情的・情緒的なものは別として、動機論的には全くかみ合っていないと言える。

 なぜなら、「総括原価方式」で電力会社が確実に儲かるシステムが続く限り、原発だろうが太陽光発電だろうが関係ない、作れば作るほどどっちにしても儲かるようにできているのだから。
 反対派のように「再生可能エネルギーに転換せよ」などとキャンキャン吠えようが吠えまいが、どっちみち電力会社はいずれ太陽光だろうが風力だろうが地熱だろうが下をペロッと出してやり始めるに決まっているのが、この方々にはどうして分からないのだろう。利に敏いあの“お父さん犬会社”の口車に乗せられてメガソーラーなんぞやられた日には「総括原価方式」でもっと電力料金を上げる口実を与えてしまうだけだ。

 彼らは「ドイツでは原発を止めて再生可能エネルギーに舵を切っている」などと訳知り顔で言う。つくづくおバカ。ドイツの原発事情は日本とは全く異なっているのをご存じないらしい。それとも知っていても反対の論拠とするために目をつぶっているのか。

 ドイツの電力会社は「総括原価方式」ではないから原発を作れば作るほど黙っていても儲かるわけではない。
 ドイツでは、日本のような立地行政区への税金からの交付金(原発マネー)もないから、日本のように利益誘導で結果的に地域経済を原発依存体質にしてしまうこともなかった。

 ドイツでは最もコストのかかる使用済み燃料の最終処分まで全て電力会社が責任を負わなければならない(隣のフランスAREVAで処理してもらう)。
 日本ではどうか、電力会社には使用済み核燃料の最終処理責任がない、というより核兵器の原料でもある使用済み核燃料処理を、情けないことに日本はアメリカなど身勝手な核保有国から原則禁じられているのだ。仕方ないので特殊法人の動燃(東海村)や日本原燃(六ヶ所村)が引き取って政府が税金で面倒を見てやっている。しかし、溜まる一方でニッチモサッチモ行かなくなってきているのはご承知の通り。動燃の「もんじゅ」はプルサーマルの研究用に特別に許してもらっているがどっちみち未熟で事故ばかり起こし動いてはいない。後処理のことだけで言えば政府も電力会社も原発などやりたくもないのが本音だろう。

 日本人は的外れの原発反対派と、電力業界、財界、アメリカのちょうちん持ちの原発推進派、どっちもバカばっかりだ。そりゃ閉塞もするわな。