チーム駿河湾

静岡県水産技術研究所の職員が公私を問わず入手した静岡の海、漁業、海の生き物の旬な情報を発信します。

私は「ムロサバ」?

2014年06月24日 | 日記
 焼津市の小川魚市場には、何十トンものサバ類(マサバ、ゴマサバ)が毎月水揚されます。その中で、2013年11月、不思議な魚を漁業者が見つけました。この魚について、これまで調査を行っていましたが、やっとその正体が確認できました。

 (写真上からゴマサバ、不明魚、ムロアジ)
 この魚は、体型はサバ類に似ていますが、マサバやゴマサバの特徴である背面の黒色模様及び体側の斑紋や斑点が全く見られませんでした。そのため、色合いは、ムロアジに似ています。
 同様の魚の報告事例は以前からあり、漁業者は「ムロサバ」という通称で呼んでいます。県外でも、神奈川県(ゴマサバと推定されています)や千葉県、三重県で水揚されたことがあるそうです。また、漁業者に確認したところ、小川魚市場でも年に数回、サバ類に混じることがあるとのことでした。しかし、これらが今回の魚と同じ特徴を持つ魚なのかは判然としません。
「ムロサバ」の正体は何なのでしょうか?
 静岡県水産技術研究所で、「ムロサバ」の形態を確認したところ、サバ類だとすると、ゴマサバの可能性が高いと推定されました。しかし、そもそもサバ類であるのかさえ、はっきり分かりません。
 そこで、(独)中央水産研究所水産遺伝子解析センターの協力を得て、この「ムロサバ」の遺伝子解析を行いました。その結果、「ムロサバ」は、ゴマサバの色素異常個体であると考えられました。
 他県等でこれまで確認されてきたものが、同様の色素異常個体であったかどうかは分かりませんが、今後は、今回の結果が参考になると思われます。

漁業者が藻場の回復活動に取り組んでいます

2014年06月23日 | 日記
藻場の回復技術研究で成果を挙げた水産技術研究所伊豆分場の技術指導の下、沼津市内浦の三津地区の若手漁業者たちが、海の環境改善を目指して地域の藻場回復活動に取り組んでいます。

平成26年6月14日には、かつて藻場があった場所へ、他の場所から採集した海藻(ホンダワラ類:写真1)を束にして、ロープに数多く結びつけて沈めました。(写真2)

こうすることで、沈めた海藻から陸上植物のタネにあたる「幼胚」が放出されて周辺に新しい海藻が生えてくることを期待されます。

来年の結果を楽しみに、これから漁業者たちは海藻を沈めた場所の観察を定期的に行っていきます。まだ規模も小さく地道な活動ですが、水技研も応援していきます。


写真1 採集したホンダワラ類


写真2 ホンダワラ類を沈める

ビンナガの水揚げが本格化

2014年06月19日 | 日記
6月に入り、焼津漁港では遠洋竿釣り船の冷凍ビンナガ*の水揚げが続いています。
遠洋竿釣り漁業は、例年4月頃まで南方漁場のカツオを主な漁獲対象として操業しますが、5月頃から房総半島沖や日本列島の東方沖合漁場のビンナガを対象とした操業にシフトします。
今年は5月中旬から房総半島沖でビンナガ漁が活発となり、シーズン当初から操業していた漁船が、約1ヶ月間の航海を終えて水揚げのために入港しています。 
6月13日、港内では水揚げ中や給油中も含め4隻の竿釣り船が停泊し、梅雨の晴れ間に姿を見せた富士山を背景に写真を撮ることができました。
このビンナガ、かつては缶詰原料としての利用が多かったのですが、近年は急速凍結による品質向上と、「とろびんちょう」などの商品名で広く知られるようになったこともあり、回転寿司をはじめ、刺身やたたきなど生食の利用が多くなっています。

*標準和名はビンナガですが、ビンナガマグロ、ビンチョウマグロ、トンボマグロなどとも呼ばれます。






食べておいしいイカたち(その3)

2014年06月17日 | 日記
 この日は、帰宅途中に夕食のおかずを求めて、とある魚屋さんに寄りました。残念ながら今日紹介した2種類のイカはなかったのですが、ヤリイカ科ジンドウイカ属の小型イカの茹で物があったので買って帰りました。だしつゆで煮直して、温かいうちに丸ごと食しました。
 外套長10cm未満の小型イカで胴の身が薄いのですが、中には小粒な卵がぎっしり詰まっており、その食感も味わうことができました。食べることに気をとられ写真を撮り忘れました!
 最近、私は、ぷりっとした弾力感のある揚げイカ団子にはまっていて、シリヤケイカやアオリイカなど静岡県で獲れる様々な種類のイカ団子の食べ比べをしたいと考えています。

写真1 某ホテル食堂で食べた“炸花枝丸”(揚げイカ団子)
    

食べておいしいイカたち(その2)

2014年06月17日 | 日記
 海草・海藻に産卵する沿岸性のイカと言えば、アオリイカが有名です。静岡県の漁獲量は、水温の上昇とともに4月後半から増加し、5月が最盛期で、6月になると減少しますが、産卵期は長期にわたり、海の中では秋季にも卵塊がみられます。
 6月13日には外套長30cm以上の大型個体が漁獲されていました。写真1は雄のアオリイカです。写真ではわかりにくいのですが、雄の特徴である白く短い線状の斑紋が外套膜背側に散在しています。コウイカ類によく似て胴が丸みを帯び、胴体の縁に半円形の鰭を持っていますが、ヤリイカ科アオリイカ属です。胴の内部にある甲は薄くて透明な軟甲です。
 甘みが強く、ねっとりした食感の刺身の味は、イカ類の中で最もおいしいと言う声が多いようです。


写真1

写真2