雑居空間
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 有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。1993年7月4日放送の第26話は「妖怪魍魎と写真の美女」です。



 リビングで七夕の飾り付けをする月子と花子。花子の書いた「きれいになりたい」という願い事に対し、月子は「そんなこと書かなくたって、花子ちゃん、充分かわいい」とか言っちゃってます。なんなんだ、この姉妹。
 一方、ちょっとおしゃれして、そわそわして落ち着かない感じの雪子。一緒に七夕飾りをやろうと誘われますが、「大人はね、忙しいの」と断ってしまいます。そんな雪子の様子に、「まさかまさかまさか、デート?」と色めき立つ月子と花子ですが、雪子は「綺麗なお姉さんは、嫌いですか?」と婉曲的に肯定。「稲葉さん……」と、デート相手の名前をつぶやきながら、外出してしまいました。

 すっかりあてられた月子と花子は、七夕飾りにステキな王子様を……と、お願いします。しかしそのとき、月子に保坂君という人物から、映画へのお誘いの電話がかかってきました。二つ返事でOKした月子は、「王子様……、保坂君……」と、うっとりした表情を浮かべます。
 稲葉さんにしろ、保坂君にしろ、いきなりポッと出の人物が主人公とデートするという、よくわからん展開ですね。まあ、二人とも名前だけの登場で、これ以降特に出番も無いので、あんまり気にするところでもないんですけどね。

 面白くないのは、取り残された花子です。仕方が無いので、一人で外へ出かけます。
 つまらなそうに地面を蹴飛ばしたそのとき、生垣の下で、何かの包みを発見します。それはボロボロになってはいますが、リボンがかけられており、誰かへの贈り物のようです。
 そこへやってきたのが、篠山、加納、荒木の三人組。そうだ、花子にはこの三人がいるじゃないか!
「ありがとう、花子。お前だけだよ、憶えていてくれたのは」
 加納はそう言うと、花子からボロボロの包みを奪い取ります。実は今日は加納の誕生日だったのですが、誰にも憶えてもらえていなかったので、ふてくされていたのです。って、もしかして、篠山と荒木も忘れていたの? こいつらが祝ってやれば、とりあえずは満足するんじゃないかと思いますけどね。
 包みを開けてみると、中には腕時計が入っていました。しかも、92年度バージョンのプレミアム物です。さっそく友情の記念写真を撮ろうと、篠山がポラロイドカメラで、花子と加納のツーショット写真を撮影します。しかし出てきた写真には、二人の間に見知らぬ少女の姿が映っていました。しかもその少女は、身体が写っていないないのです。いわゆる、心霊写真ですね。

 心霊写真騒動があったから、なんなのか、結局加納はプレゼントを受け取らなかったようです。包みと写真を持って、花子は帰宅します。しかしその花子の後を、写真に写っていた幽霊の少女が、音も無く着いてくるではありませんか。
「この女の人、誰なんだろう」
 机の上に腕時計と写真を並べて、花子は考え込みます。
「花山愛子っちゅう、高校生ですわ」
「へー、よく知ってるねぇ」
「そやかて、私のことやもん」
「え?」
 花子の背後に、はっきりと写真の幽霊――花山愛子が姿を現します。これには流石の花子も驚き、悲鳴を上げてしまいます。始めこそ驚いていた花子ですが、その後、おしっこをちびったの、ちびってないのという、しょうもない言い争いを経て、どうやら普段のペースを取り戻していったようです。
 そこへお茶と饅頭、大福を持って恵が入ってきます。恵は愛子のことを、花子との友達だと認識しているようですね。でも、愛子が家に入ってきたときには霊体だったはずだし、そもそも花子さえも存在を認識していなかったはずなのに、なんで愛子のことに気付いたんだろう?

 愛子がどうして花子の所へやってきたかと言うと、霊のナニっちゅうもんが近くて、話がしやすいからだそうです。霊のナニっていうのが何かは不明ですけど、相性とか、波長とか、そんな感じのものでしょうか。霊のナニが遠がったりすると、そもそも話をするのも難しかったりするんですかね。恵も花子の母親だから、愛子と霊のナニが近かったんでしょうね。
 愛子が語るところによると、愛子は生前、誠という男子生徒にラブレターを書き、午後3時に丸山公園の花畑で待ち合わせをしていたのです。しかしながら、公園に着きながら、どこかでプレゼントを落としてしまったことに気付いた愛子は、それを探しに戻っていきます。辺りを探しながら、小走りで来た道を引き返す愛子ですが、プレゼントを探すことで頭がいっぱいで、道をやってくるトラックに気付くことができず、哀れ、短い命を終わらせてしまったのです。

 話を聞いた花子は同情して涙を流しますが、当の愛子は「気ぃついたらこのザマや。シャレにならんわなぁ。ハハハ……」と、至ってあっけらかんとしています。演出のせいなのか、愛子を演じる千秋の演技力のせいなのか、どうも愛子に当事者性が感じられないんですよね。カラッとしていて細かいことを気にしない性格なのかもしれませんけど、結構淡白で、あっさりと諦めちゃうことが多い。このエピソードに関して言えば、もっと一途に誠のことを追いかける性格にしておいた方が良かったと思います。

 時計を見ると、午後2時30分。約束の3時までにはあと30分しかありません。死んじゃったから会うことはできないけど、何とかプレゼントだけは渡したいとい。そんな愛子に、同情しまくっている花子は協力を約束します。
 プレゼントを手に、約束の花畑向かう二人。いつの間にか、ぼろぼろだったラッピングも新しくなっていますね。しかし、3時前には着いたはずなのに、誠は姿を現しません。
 ここでふと、今日は交通事故なんて無かったということに花子が気付きます。そう、愛子が死亡したのは今から1年前、1992年7月7日の午後2時30分だったのです。幽霊になると時間の観念がなくなるので、愛子は1年のタイムラグに気付かなかったようですね。
 いやまあ、見ていてずっと事故があったのは今日じゃないよなぁと思っていたんですけど、やっぱりそうだよね。花子がまるで今日が待ち合わせの日みたいなことを言い出したときに、いや、違うだろとは思っていたんですよね。花子が拾ったプレゼントの包みもボロボロで、長い時間が経過していたことを思わせましたしね。
 あと、すごくヤボなツッコミなのですが、1993年の7月7日は水曜日で、ド平日なんですよね。ギリギリ学校が終わってからの話と考えられなくもないですけど、どんなに遅く見積もっても、冒頭で七夕飾りを準備しているのは午後2時くらい。午前だけで授業が終わっていないと間に合わない時間です。ちなみに1992年の7月7日は火曜日。愛子は学校で誠の下駄箱にラブレターを入れているので、こっちは火曜日でも問題なさそうなのですが、2時30分に待ち合わせ場所に行っている愛子が私服に着替えているので、やっぱり午前だけで終わっていないと間に合わないくらいの時間ではありそうです。

 そこへ突然、つむじ風が舞ったかと思うと、骨のような被り物に毛皮をまとった、まるで仮面ライダーV3 のキバ男爵みたいな男が現れました。
「花山愛子、これで気が済んだか。さあ、俺と一緒に来るがいい」
 謎の男はそう言うと、愛子をどこかへ連れ去ろうします。
 花子はシュシュコロンを取り出すと、チカン除けプラズマを男の腕に噴射し、愛子から手を離させます。
 男は地獄からの使者、人間の魂を司る、妖怪魍魎。実は愛子は、誠にプレゼントを渡す為に、妖怪魍魎と契約をしていたのです。
 花山愛子を甲、妖怪魍魎を乙とする。第3条の1。夕日が地平線の向こうに沈むまでに、プレゼントを恋人に渡せれば、甲は天国に行ける。しかし甲が恋人にプレゼントを渡せなかった場合には、甲の魂は乙の所有物となる。つまり、地獄行きというわけですね。
 愛子はすっかり諦めていて、妖怪魍魎と一緒に行こうとするのですが、花子はまだまだ諦めません。なにしろ、、夕日はまだ沈んでいないのですから。花子の真剣なまなざしに、愛子ももう一度、頑張ろうと決意するのでありました。



 一旦帰宅し、部屋の中でフライドチキン男を捜す花子。「フライドチキン男ー」と、あちらこちらに呼びかけていたら、クローゼットの中からフライドチキン男が出てきました。なんでそんなところに入っているのか。そしてなんで花子も、部屋にフライドチキン男がいると見当をつけているのか。まあこの辺りは、いい加減長い付き合いだから、っていう感じなんでしょうかね。
 「私は別に、ここでいやらしいことをしていたわけじゃないんですからね」などと弁解するフライドチキン男ですが、そんなことは今はどうでもいい話。花子はフライドチキン男に、過去に戻って、愛子が幽霊にならないで済むようにしたいと告げます。
 しかし過去を変えるのは許されざる所業です。死ぬべき運命の人を救うと世の中がメチャクチャになってしまうのです。フライドチキン男にも、「それだけはできません!」ときっぱりと断られてしまいます。さすが、私利私欲が絡まないときには、案外まともな判断力を持っているフライドチキン男ですね。花子に土下座されようと、凄まれようと、折れることはありませんでした。

 仕方が無いので自力で何とかするしかありません。自転車の荷台に愛子を乗せて、誠の家へ向かいます。
 しかしその家は、表札が変わっていました。誠の一家は、引っ越してしまっていたのです。
 さらに、誠が通っていた学校で調べてみると、大阪の高校へ転校していることが判明しました。花子の行動力はすごいけど、見ず知らずの少女に転校先を教えるとか、今だったら個人情報保護の観点で問題がありそうですね。
 愛子はもう諦めようと言いますが、花子はまだまだ諦めず、大阪の誠の家に電話します。電話に出たのは誠の母ですが、誠は今日、デートだとか言って朝から出かけたのだとか。うーん、本人にコンタクトが取れなかっただけでなく、デートかぁ。これはそろそろきつくなってきましたねぇ。

 だんだん陽も落ちてきて、日没が近づいてきています。花子は力になれなかったことを詫びますが、愛子はその気持ちだけで充分満足しています。
 そんな二人の前につむじ風が巻き起こり、妖怪魍魎が現れました。まだ時間はあると花子はなんとか頑張ろうとしますが、愛子はもう覚悟を決めてしまっているようです。「私やと思って持っててね」と、花子に腕時計を渡します。
「ねぇ、恋っていいもの? 魂と引き換えにしてもいいくらい、いいものなの?」
「花子ちゃんも恋をすればわかるって」
 どうにも割り切れない花子に対して、すっかり覚悟を決めた愛子。妖怪魍魎と一緒に、花子の前から去っていきます。

「待って! 一晩だけでも、時間をください! 今夜は七夕様よ! 一年に一回、恋人同士が会う夜なのよ!」
 なんとかしようと必死の花子ですが、さすがにこれは無理筋。妖怪魍魎ににべもなく断られます。仕方が無いので魍魎に飛び掛りますが、逆に投げ飛ばされてしまいます。
 これまで割と紳士的な対応をしてきた妖怪魍魎ですが、花子の実力行使に、堪忍袋の緒が切れたようです。「お前も一緒に、地獄行きだー!」と、鎖鎌を振り回し、花子に近づいていきます。

 そこへ飛んでくる、黄色と青のバルミラクル。雪子と月子の登場です。二人ともデートの最中だったはずですが、フライドチキン男が花子のことを伝えに行ったのです。二人とも、ポッと出の名前しか設定されていないような男より、花子のほうが大事だったようですね。

 三人揃ったところで、シュシュトリアンに変身です。

「乙女盛りに命をかけて」
「風に逆らう三姉妹」
「花と散ろうか、咲かせよか」
「「「有言実行三姉妹、シュシュトリアン!」」」

「小ざかしい娘たちめ。お前たちも愛子と一緒に、地獄へ道連れだぁ!」
 すっかり悪役台詞をはいている妖怪魍魎ですけど、正直なところ、今回は妖怪魍魎のほうに道理があるんですよね。愛子との契約に則って、愛子を地獄に連れて行く。まあ、天国とか地獄とかがどういうシステムになっているのかは知りませんけど、シュシュトリアンだからと言って、強引にそれを曲げちゃうのはどうかと思うんですけどね。

 何はともあれ、戦闘は始まってしまいました。鎖鎌を振り回す妖怪魍魎に対して、シュシュトリアンは宙を舞いつつ翻弄します。パワーでは妖怪魍魎に分があるかと思われましたが、三人で鎖を掴み、呼吸を合わせて魍魎を放り投げます。
 最後はシュシュファイナルで、妖怪魍魎の動きを止めてしまいます。

「古人曰く、『人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んじまえ』」

 うわー、その言葉はストレートすぎる!
 さっきも書いたように、今回は妖怪魍魎が悪事を働いたわけではないので、シュシュトリアンがここまで真正面から妖怪魍魎を非難してくると、妖怪魍魎にもちょっと同情しちゃいますね。

「黙って聞いていれば!」
 シュシュファイナルを喰らったのに、妖怪魍魎はまだまだ力を残していました。鎖鎌を長柄の大鎌に変形させると、改めてシュシュトリアンに襲い掛かります。うん、さっきの戦闘シーン、ちょっと短いなぁと思っていたんですよね。
 さっきまでの戦いぶりとは一変して、妖怪魍魎がシュシュトリアンを押しまくります。鎌の一撃をバトンで受け止めてもそのま弾かれてしまうし、ぶんぶんとふるう大鎌の前になす術も無く吹き飛ばされてしまいます。強い、強すぎる。

 この様子を見ていたフライドチキン男はシュシュトリアンの劣勢を察し、地獄の王である閻魔大王を呼び出して、何とかしてもらうよう助言します。それの言葉に従い、シュシュトリアンは紅のバトンを頭上で組み合わせ、閻魔大王を呼び出します。

「我は冥界の王、閻魔大王である」
 すると、雷を伴った黒雲が広がり、空に大きく、閻魔大王が出現しました。閻魔大王の姿に、妖怪魍魎はひれ伏します。
 花子は閻魔大王に、一晩だけ、契約の時間を延ばしてくれるよう懇願します。しかし、契約は神聖なもの。破るわけにはいきません。まあ、そうだよね。そうでなければ、妖怪魍魎の面目も立ちませんしね。
 しかし、シュシュトリアンの活躍は、地獄にも届いているそうです。それに免じて、10分だけ時間をもらえることになりました。10分て。まあ、もらえるだけありがたいけど、ちょっと短すぎない?

 閻魔大王がウインクすると、沈んだはずの太陽が、また西の空から少しだけ昇ってきました。えー、これ、なに気に凄いことしてない? 地球の自転を少し戻したって事なんでしょうけど、これによる影響って、かなり多方面に波及するんじゃないの?
 でも、さすがに10分じゃあ、大阪まで行くことはできません。果たしてこの短い時間で、一体何ができるのか。
 しかし、奇跡は起こるのです。愛子が指差す先には、なんと誠の姿があったのです。1年前の約束を忘れずにいて、愛子の命日にこの場所を訪れる。今日のデートと言うのは、このことだったんですね。既に書いたように、この日は水曜日なのですが、これだけの理由があれば、学校サボって東京まで出てきたとしても理解できる……、かなぁ? 愛子と誠って付き合っていたわけじゃなくて、愛子が呼び出して告白しようとしていたところなんですよね? それも愛子の事故死で叶わなかったわけで、誠からすれば告白未遂に終わった女の子のために、ここまでしますかね? この日が休日で、東京在住で、現在付き合っている人がいなかったなら、来るのもわからなくはないんですけどね。あー、ヤボ、ヤボ。

 花畑の中で、愛子からもらった手紙を見つめる誠。そんな誠の元へ、プレゼントを持って愛子が駆け寄ります。
「夢を見ているのか、君は一年前に……」
 そんな愛子の姿に気づいた誠。愛子の姿が見えているということは、誠も愛子と霊のナニっちゅうもんが近いんでしょうね。
 愛子は誠にプレゼントを手渡します。愛子を抱きしめ、礼を言う誠。妖怪魍魎も、こんな様子を見せられては退散するしかありません。フライドチキン男に促され、姿を消してしまいました。
 そして愛子も、ゆっくりと空へと登っていきます。「いつまでもウチのこと忘れんといてね!」というのは、前途ある高校生に対するものとしては、呪いの言葉っぽくもありますけどね。
 最後に、シュシュトリアン、そして花子への礼を述べ、愛子は光と共に消えていきました。

 最後に一言、「恋か……」と花子がつぶやいて、今回は綺麗に締まりました。
 興味深いのは、同じく恋をテーマとしていた前回(第25話「命短し、コイせよ乙女!」)との対比ですね。25話では、恋なんて必ずしも良いことばかりじゃないよ、というスタンスの話でしたが、今回はどストレートに恋の良さを描きました。しかも花子は、自分が恋をしているわけでもないのに、愛子の誠を思う気持ちに感化されて、必死に誠の行方を探すのです。本格的に恋を知る前の少女が、愛子を通して少しだけ味わった恋の片鱗。青春ドラマの好編だったと思います。

 ただ、大変良いエピソードではあったんですけど、どうも千秋の演技が拙くて、乗り切れなかった部分があったのが残念でした。最後の抱き合っているシーンでも、表情は硬いし、動きもぎこちない。ダメそうになると愛子がすぐに諦めちゃうのはドラマ的に仕方がないかもしれませんが、千秋が全体的に無表情気味なので、気持ちが入ってないように見える場面が多く、お前、本当に誠のこと愛してるの? っていう印象が強かったんですよね。これ、このエピソードに関しては、かなり致命的な欠陥ではなかろうかと思います。



[次回予告]

 今年の夏は、海、山行って、思いっきり焼くぞー、と思いきや。紫外線が焼くのは上カルビにタン塩。ちょっとこれ、どういうこと? よし、シュシュトリアンに……、げー、変身できない! どうしよう!?
 次回の有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「紫外線の正体」。お楽しみに。


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