いきけんこう!

生き健康、意気兼行、粋健康、意気軒昂
などを当て字にしたいボケ封じ観音様と
元気印シニアとの対話。

千葉市動物公園 その1:アンチョビに想いを寄せるフンボルトペンギン

2009-02-27 21:42:38 | 散策
千葉市動物公園には、鳥類・水系ゾーンのキングペンギン、ケープペンギン、子ども動物園にいるフンボルトペンギンの3種が飼育されています。
前者は、カリフォルニア・アシカと隣り合わせの場所で飼われており、水中で泳ぐ彼らの様子を水中観察通路から観察できます。

ここの「もぐもぐタイム」は、午前10時、午後3時30分の2回です。カリフォルニア・アシカへの給餌をしたい希望者へ、それが体験できる配慮がなされています。

一方、水中観察通路からは、カリフォルニア・アシカが餌のアジを見つけ、それを捕らえる敏捷な動きをつぶさに観察できます。
さらに、ペンギンたちの餌は水中の棚に置いてありますが、フリッパーを翼のように広げてアジを銜えるキングペンギンに出会えます。
実は、キングペンギンがどんな格好で捕食するのかを観察したくなり、ここを再訪したのです。
入園料500円、駐車料500円、都合2回で2,000円の投資になりましたが・・・。

南アメリカ大陸の西岸を北流している寒流・ペルー海流は、ドイツの自然科学者・近代地理学の祖といわれるF・H・A・フンボルトの名を冠して呼ばれています。
このフンボルト海流に沿った地域に分布しているペンギンに付けられた名がフンボルトペンギンなのです。
また、フンボルトペンギンの主食は、この海流に生息する代表的な魚アンチョビ(カタクチイワシ科の小魚の総称)です。

千葉市動物公園の住民、フンボルトペンギンの住まいの概要です。
そこは、おおよそ直径10mほどの大きさで、外周は円形のコンクリート塀に囲まれた池。
陸を想定した中島が池の中に設けられ、彼らが休息する場所になっています。
中島の外周に掘った幅1mほどの溝には、水が循環しています。海流に乗って潜水移動する彼らの習性を活かしているのでしょう。
また、ここはフンボルトペンギンたちの毎日の餌場、餌のアジを捕食する場所です。
つまり、海のハンターにとって、ここは採餌(さいじ)する海なのです。

しかし、それは「仮想の海」でしかありません。
大好物のアンチョビ大群を追い込み餌にすることは、夢のまた夢の先にある物語です。

♪♪
  まいにち まいにち ぼくらは かそうのうみで
  アジを くわされ いやになっちゃうよ
  あるあさ ぼくは しいくいんさんと
  けんかして おかに とびあがったのさ

フンボルトペンギンの「もぐもぐタイム」を関係者から教えてもらい、彼らの様子を窺いに行きます。
給餌まで少し時間があるので、近くに飼育されているカパビラとオグロプレリードッグを観察しながら写真を撮り、フンボルトペンギンの海へ向かいます。

元気印の足音を聞きつけた10羽のフンボルトペンギンたちは、一斉に近づき誰かと見上げます。
人懐っこいその仕草に誘われて、思わず頭に手を触れたい衝動に駆られます。
幸いにも、2mも下で泳いでいる彼らには、悪戯の手は届かないのでした。

給餌にやって来た若い女性飼育員は、10羽のペンギンに馴れた手つきで餌を均等に与えます。
家庭の掃除で使うバケツ2個分のアジは、数分でなくなります。
彼女は中島に立っている1羽に向かってアジを与えますが、銜えません。海へ落ちたアジは他のペンギンの餌に・・・。

「ペンギンは、過食をしません。一定の量しか食べられないのです」
女性飼育員は、たった一人の見学者に説明してくれます。
採餌し終えたペンギンたちは、中島へあがり羽づくろいを始めます(写真)。

ペンギンの若鳥は、羽毛が生えだすと直ぐに羽づくろいをするようになり、羽毛の防水性を保ちます。防水性のない羽毛では、寒さから身を守れず凍死するからです。
だから、海から帰ってくると直ぐに羽づくろいをします。

頭部や目のまわりの羽づくろいには足を使うのですが、他のペンギンと2羽で相互に羽づくろい(相互羽づくろい)する方が効率的です。キングペンギン同様、フンボルトペンギンは相互羽づくろいをするのだから(ペンギンハンドブック他)。
この日は、単独でそれをする個体しか見当たりませんでした。

ところで、羽毛の防水には脂を使います。
ペンギンの尾の付根にある尾脂腺(びしせん)から分泌する脂を、嘴につけて身体中の羽毛に塗るのが羽づくろいです。嘴の届かない頭部の羽毛は、フリッパーの前縁に嘴で脂を塗り、その部分を頭部にこすり付けて防水処理をします(ペンギンたちの不思議な生活、他)。

この日、尾羽をパッと開き尾脂腺に嘴をつけているフンボルトペンギンもいたのです。
その時は無知のため「尾羽を嘴で引っ張るおかしな奴」との認識でした。写真のペンギンは、おかしな奴とは別の個体です。

フンボルトペンギンのフリッパー長は、16~17.5cm。
デジタル写真は、パソコンでトリミング、拡大などの処理が行えるので、拡大します。
フリッパーの裏側は、黒色と白色の羽毛が混ざり合い、色模様になっています。

ペンギンは、空を飛ぶ鳥がはばたくのと同じようにしてフリッパーを使い、水中に推進力を発生させて、普通は時速7~8kmで移動します。魚の群れを追って捕食したり、アザラシに追われた時の瞬間時速は12km以上のスピードが出せる。尾羽(おばね)や水かきがある指を持つ足は、舵を取り、ブレーキをかけるために使うと、ペンギンハンドブックにあります。しかし、他のペンギンに比べて用心深いフンボルトペンギンは、人間の接近を許さないため、野生ペンギンのうちでも最も研究が少ない種とのことです。

平成5(1993)年現在、野生のフンボルトペンギンは、推定1万羽しか生息しておらず、非常に減少してきています。
その理由のひとつは、フンボルトペンギンが生息しているペルー海流における魚類の乱獲です。
それで、フンボルトペンギン種を保存する立場からは、沖合漁業との競合が問題視されているようですし、生息状況が厳しくなっているために絶滅危惧種とされました。
そのため、日本の飼育の専門家達は、現地の野生個体群の保護に取り組み始めています(同上)。

♪♪
  まいにち まいにち たのしいことばかり
  フンボルトが ぼくのすみかさ
  ときどき フンボルトに つかまるけど
  そんなとき そうさ にげるのさ

腹いっぱいにアジを食べ終え、フリッパーで羽づくろいをするフンボルトペンギンを眺めていると、
「今日のアジは、アンチョビの味がする」
昨日、今日、明日の暮らしを楽しく過ごす生活の知恵を感じますね。

地球の裏側を北上しているペルー海流、はるか遠くに離れた故郷のフンボルト海流を遊泳するアンチョビが歌う「いきろ アンチョビ」に想いを寄せて、この応援歌を口ずさみ、日本で生き抜く勇気を奮い立たせているようです。

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