2013年2月17日日経電子版の配信記事『マネー、次は不動産へ 「アベノミクス」変わる本丸』を読み、改めて思いました。安倍内閣は危険を冒す所を間違えているのではないかと。
江戸時代後期の老中、田沼意次は恐らく吉宗以降の質素倹約路線を元禄絢爛に戻したかったのでしょうが、結局挫折し、徳川幕府の財政をさらに悪化させ、結局幕末には薩長を制圧する財力がなくなりました。
それより、ずうと以前、ローマ帝国 カラカラ帝は、初代ローマ皇帝アウグストゥスが定めた主要通貨であるデナリウス銀貨の純銀の含有率を下げるということを行い、結果、ローマはインフレと社会不安に陥いりました。
インフレを誘発させて経済状況が良くなるなどと言うのは、一時的なものでしかないと考えています。
紀元前、ローマがカルタゴに勝利した後、内戦状態となり、経済、特に農地放棄が生じて、失業問題が深刻化したときに現れたユリウス・カエサルがしたのは、軍団の増加と退役した軍人(定年45歳)への植民都市(今のケルン等)での農地譲渡でした。つまり、経済範囲の拡大と雇用対策を図ったことになります。
ローマ軍は強かったそうですが、絶対に負けない強さでなく、勝つまで戦いを終わらせないことによる強さでした。ローマ軍が弱体化したのは、同じくカラカラが発したアントニウス勅令による、属州市民へのローマ市民権の条件無しの付与でした。これにより、血の税を払うローマ市民は居なくなり、『パンとサーカス』のみを欲するだけの市民ばかりになったのです。
カラカラ以降、ローマは周辺からの侵入者(所謂ゲルマン人)に悩まされ、結局霧散するわけですが、そのきっかけは、その時は良かれと思った政策が、未来から見れば失策だった訳です。
安倍内閣はユリウス・カエサルやアウグストゥスの役ではなく、カラカラ帝や田沼意次の役を演じているようにしか見えません。歴史に汚点を残す予感がしています。
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