バイクライフ・バイクツーリングの魅力を北海道から。
聖地巡礼-バイクライディングin北海道-
リアステア1
(赤色がフロント系。質量も圧倒的に小さい。だからすばやく自由に舵角がつけられる。)
バイクでのコーナリング技術の花形、「リアステア」。
これが実感できると、まさにコーナリングは快感。
安全で、力強く、2輪車ならではの傾いた世界を満喫できます。
しかし、なぜ、リアステアなのか?
ハンドルは前についているのに、リアで舵を切るなんてことがそもそもありうるのか?
今回のお話は、ここから始めたいと思います。
まず、バイクの構造をもう一度確認しておきましょう。
図1はバイクとライダーを横から見た略図です。
バイクは後輪が駆動輪となっていて、スイングアームで車体と結ばれ、後輪から車体の先端まで、一直線に固定されています。
いくらバイクがバンクして曲がるといっても、前輪まで一直線に固定されていては、車体が直立からどちらかに傾いたらそのままパタンと横に倒れてしまいます。
バイクが倒れないで走り続けられるのは、赤色でしめしたフロント回りが回転できるようになっていて、自由に向きを変えることができるからです。
この、フロント周り、フロントタイヤ、2本のフロントフォーク、それをつなぐステムが、バイクの場合は舵になっています。もちろん、ハンドルがついていて、手でつかめるようになっているので、左右に回転させながらハンドルを切ることもできます。
(極低速Uターンでは、フロントを切って、そのフロントの軌跡を追いかけるように車体が向きを変えることも可能。白バイやジムカーナのパイロンターンで使う、「舵角を入れて曲がる」はこのことを指すことも多い。)
図2は極低速でのUターンのような小回りを上から見たもの。
たとえば、教習所の1本橋を渡るような速度では、ライダーは意図的に曲がる方向にハンドルを切っています。
(本当は腕でハンドルを切っているだけではないのですが、ハンドルを切っても曲がれます。)
つまり、バイクは、後輪から車体まで一つになった車体側に対して、フロント周りが動いて舵を切ることでバランスをとったり、進路を変えたりしているのです。
あれ?じゃあ、リアステアじゃないじゃんか。
まあ、ちょっと待ってください。
ここから先が面白いんです。
極低速や静的状態でバイクの舵取りを考えれば、ハンドルを切ることでフロントに舵角を付け、向きを変えていることに間違いはありません。
しかし、これが速度をあげ、コーナリングと呼べるほどの運動量になってくると、話が違ってくるのです。
例えば、時速100㎞で高速道路を走行中、Uターンの時のようにハンドルを切ることは可能でしょうか。
答えは、できません。
バイクのハンドルは速度を上げるとともに重くなり、時速30㎞もでていれば、腕力だけでハンドルを切ることはかなり難しくなります。それに、この慣性が働く速度になってくると、ハンドルが重くなるだけでなく、右にハンドルを切ろうとしてわずかに右に切れた瞬間、バイクは左に鋭く傾いてしまいます。(これを利用してバイクを傾ける方法を「逆ハン」と言いました。)*参考「リーン動作・逆ハン」
また、時速50㎞でコーナリング中に前方の路面に小さな穴を見つけました。この穴を避けるためにハンドルを増し切りして進路を内側に入れることは可能でしょうか。あるいはハンドルを戻して、外側に避ける事は可能でしょうか。
コーナリング中でも、内側に進路をさらに入れることも、外側にラインを修正することも可能です。しかし、ハンドルを切っても、それはできません。むしろ、転倒する危険があります。
上の二つの場合はいずれもハンドルを切るのではなく、車体の傾きを正しい方法で変えて進路を変更させ、その結果としてハンドルも切れてしまうという順序になります。
(疾走するバイクでハンドルを切っても向きは変わらない。この領域では、進行方向はリヤを含む車体側が決め、フロントは本来、それに追随する形で転がっているだけに近い。)
慣性のついたバイクでは、針路変更にはハンドルは使えないのです。
フロントタイヤの向きを変えたから曲がるのではなく、後輪と車体が傾き、曲がる力が働いたので、フロントタイヤが遅れて「切られる」のが、疾走しているときのバイクのステアリングの動きです。(図3)
バイクでは、微速時以外は、リアタイヤを含む車体全体で舵を切る。
だから「リアステア」と言うんだ。
と、いうのが、リアステアに関する第一段階の答えです。
しかし、これはまだ、バイクという2輪車の構造上の特性を述べただけに過ぎません。
一般に言うリアステアとは、コーナリング時における積極的な操作の効果としてリヤから向きをぐんぐん変えていく、もっと積極的な意味で使います。
それはどういうことなのか、もう少し、リアステアの原理の話にお付き合い下さい。(「リアステア2」へつづく)
⇒ライテク記事目次へ。
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バイクでのコーナリング技術の花形、「リアステア」。
これが実感できると、まさにコーナリングは快感。
安全で、力強く、2輪車ならではの傾いた世界を満喫できます。
しかし、なぜ、リアステアなのか?
ハンドルは前についているのに、リアで舵を切るなんてことがそもそもありうるのか?
今回のお話は、ここから始めたいと思います。
まず、バイクの構造をもう一度確認しておきましょう。
図1はバイクとライダーを横から見た略図です。
バイクは後輪が駆動輪となっていて、スイングアームで車体と結ばれ、後輪から車体の先端まで、一直線に固定されています。
いくらバイクがバンクして曲がるといっても、前輪まで一直線に固定されていては、車体が直立からどちらかに傾いたらそのままパタンと横に倒れてしまいます。
バイクが倒れないで走り続けられるのは、赤色でしめしたフロント回りが回転できるようになっていて、自由に向きを変えることができるからです。
この、フロント周り、フロントタイヤ、2本のフロントフォーク、それをつなぐステムが、バイクの場合は舵になっています。もちろん、ハンドルがついていて、手でつかめるようになっているので、左右に回転させながらハンドルを切ることもできます。
(極低速Uターンでは、フロントを切って、そのフロントの軌跡を追いかけるように車体が向きを変えることも可能。白バイやジムカーナのパイロンターンで使う、「舵角を入れて曲がる」はこのことを指すことも多い。)
図2は極低速でのUターンのような小回りを上から見たもの。
たとえば、教習所の1本橋を渡るような速度では、ライダーは意図的に曲がる方向にハンドルを切っています。
(本当は腕でハンドルを切っているだけではないのですが、ハンドルを切っても曲がれます。)
つまり、バイクは、後輪から車体まで一つになった車体側に対して、フロント周りが動いて舵を切ることでバランスをとったり、進路を変えたりしているのです。
あれ?じゃあ、リアステアじゃないじゃんか。
まあ、ちょっと待ってください。
ここから先が面白いんです。
極低速や静的状態でバイクの舵取りを考えれば、ハンドルを切ることでフロントに舵角を付け、向きを変えていることに間違いはありません。
しかし、これが速度をあげ、コーナリングと呼べるほどの運動量になってくると、話が違ってくるのです。
例えば、時速100㎞で高速道路を走行中、Uターンの時のようにハンドルを切ることは可能でしょうか。
答えは、できません。
バイクのハンドルは速度を上げるとともに重くなり、時速30㎞もでていれば、腕力だけでハンドルを切ることはかなり難しくなります。それに、この慣性が働く速度になってくると、ハンドルが重くなるだけでなく、右にハンドルを切ろうとしてわずかに右に切れた瞬間、バイクは左に鋭く傾いてしまいます。(これを利用してバイクを傾ける方法を「逆ハン」と言いました。)*参考「リーン動作・逆ハン」
また、時速50㎞でコーナリング中に前方の路面に小さな穴を見つけました。この穴を避けるためにハンドルを増し切りして進路を内側に入れることは可能でしょうか。あるいはハンドルを戻して、外側に避ける事は可能でしょうか。
コーナリング中でも、内側に進路をさらに入れることも、外側にラインを修正することも可能です。しかし、ハンドルを切っても、それはできません。むしろ、転倒する危険があります。
上の二つの場合はいずれもハンドルを切るのではなく、車体の傾きを正しい方法で変えて進路を変更させ、その結果としてハンドルも切れてしまうという順序になります。
(疾走するバイクでハンドルを切っても向きは変わらない。この領域では、進行方向はリヤを含む車体側が決め、フロントは本来、それに追随する形で転がっているだけに近い。)
慣性のついたバイクでは、針路変更にはハンドルは使えないのです。
フロントタイヤの向きを変えたから曲がるのではなく、後輪と車体が傾き、曲がる力が働いたので、フロントタイヤが遅れて「切られる」のが、疾走しているときのバイクのステアリングの動きです。(図3)
バイクでは、微速時以外は、リアタイヤを含む車体全体で舵を切る。
だから「リアステア」と言うんだ。
と、いうのが、リアステアに関する第一段階の答えです。
しかし、これはまだ、バイクという2輪車の構造上の特性を述べただけに過ぎません。
一般に言うリアステアとは、コーナリング時における積極的な操作の効果としてリヤから向きをぐんぐん変えていく、もっと積極的な意味で使います。
それはどういうことなのか、もう少し、リアステアの原理の話にお付き合い下さい。(「リアステア2」へつづく)
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コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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続きが楽しみです。
正直なところ、私はリアステアをうまく表現できないので、
いまだに書けずにいます。
ありがとうございます。
今回はリアステアを3段階に分けて書く予定なのですが、予定はあくまで予定、どうなりますやら…。
トライしてみます。