goo

レインラン4 視線の送り方

晴れた日でも、バイクの運転に視線の送り方は重要ですね。
このことについてはいつか改めて書きたいと思いますが、今日は雨の日限定の視線の送りかたのノウハウについてお話しします。

バイクの視線の基本は一点を凝視するのではなく、「見るともなしに全体を見る」という、剣道や武道の「見方」と同じ見方がいいのですが、雨の日は、少し意識を切り替えないといけません。

雨の日はスリップしやすくなっているので、路面の状況に晴れの日の数倍は気を使うことになります。
いきなり足をすくう、マンホール、歩道のペイント、工事の鉄板などに目を光らせなければなりませんし、わだちに水が溜まってこれが予想以上に深かったりすると非常に危険ですよね。
しかも雨の日は晴れの日の日向、日陰のコントラストが失われて凸凹が見にくいし、ライトの光も水に反射して向こうに逃げてしまい、ますます状況がつかみにくいです。

それで、ライダーの目線は路面に釘付けになりやすいのです。しかも、10メートルから場合によってはもっと手前を凝視するように運転してしまいがちになります。

雨の日は歩行者や自転車の発見も遅くなりがちですし、黒っぽい服を着た歩行者は本当に見えにくいです。
さらに、雨の日は歩行者も視線を落としていて、こちらに気づきにくい。
だから、実は遠方から道路の先々の状況を路面だけでなく総合的に<見て>おくことは、晴れの日よりも実は重要になるのです。

しかし、「近くばかり見ないで全体をよく注意してみましょう。」という意識では、分かっていたはずなのに結局路面ばかりを注視してしまうことになってしまうのは、ある面しかたのないことだと思います。でも、それでは危ない。

雨の日の視線の送り方の意識として推奨したいのは、
「視線の<ハイビーム>と<ロービーム>を意識的に頻繁に切り替えながら見る。」ということ。
(ライト自体をハイ・ローとパシパシ切り替えるのではありません。視線ね、視線。)


(絵まで見にくくすることないのに、写真失敗しました。すみません。)

これはやはり1980年代に『ライダースクラブ』誌で根本健氏が書いていた方法です。たしかそれは雨とは関連のない記事だったと思いますが、読んだ瞬間、これか!と、思ったのを覚えています。

放っておくとロービーム視線にばかりなってしまう雨の日。しかし、実際にはハイビーム視線で見える周囲の情報が安全のためには重要なのです。必ずしも遠くばかりとは限りません。
目線が落ちてきて路面ばかりを凝視し始めたな…と自覚したら、<ハイビーム視線>への一瞬の切り替えを意識してみてください。

私の場合、夜、雨、路面悪い状況の場合、ロービーム視線オンリーにならないように、いつからか自然に歌を歌うようになりました。「視線のレーザービーム」が出てくる郷ひろみのあの歌です。(ここで郷ひろみファンの皆さんごめんなさい。私は彼のファンでないばかりか、少々苦手としているのですが…)あの歌は妙に明るくて能天気で、雨の憂鬱へのカウンターとしては効き目があるのです。(私にとってはですよ。)

雨のライディングで、メットの中で歌う歌。私はいくつか持っていまして、みなさんもお持ちの方も多くいらっしゃるのではないかと思うのですが、「視線を上げる」効果のある歌を是非、一曲、レパートリーとして確保し、路面ばかり見つめそうなとき、つまりそれは路面を凝視したくなるほど、緊張もしていて、気持ちもダウンしているときですので、操作は慎重に、でも気持ちはきちんと明るく張って、という危険回避の基本ともいえる状態に自分を持っていくためのスイッチ曲として、使用してみてくださいませ。

ライテク記事目次へ。

ブログトップページへ。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« レインラン3... レインラン5... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (まーしー)
2008-06-12 21:21:22
おー、なんとなくやっていました。
私の場合は、遠目で全体のイメージを描きつつ、距離とスピードと危なそうなポイントを把握しながら、
近目で危険なところをケアする感じです。
近くばかり見るようになったら、疲れてきたサインなので、休憩をとるようにしています。
 
 
 
上級編・経験値 (樹生和人)
2008-06-12 21:40:52
まーしーさん、こんにちは。
遠目をメインに時々近くをケア、というのは、よりよい視線配りだと思います。

ただ、この「遠くメイン視線配り」を実践するためには、ちょっと、つるっと、一瞬タイヤが滑ったくらいは平気へいき…、という「ベテラン度」が必要だと思うんです。
あるいは少しのスライドやスリップは<想定内>とできる技術と心構えです。

ただの視線配りでも、精神論では越えられない壁があって、技術がついて初めてできるものもあるのだと思うんです。

「近くばかり見るようになったら、疲れてきたサインなので、休憩をとる」
これもベテランの技術ですよね。
こういうのも大切な技術だということは、初心者はわからなくて、ベテランと一緒にツーリングに出かけて初めて学ぶことも多いと思います。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。