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富良野・美瑛『夏の丘』6 美瑛の丘①

(2008年8月11日 10時20分 美瑛町 「ケンとメリーの木」と呼ばれるポプラ)

「森の神様」に別れを告げ、道道213号線を美瑛方向に戻り、国道237号線に入った。
さすが花人街道と呼ばれる国道237号、観光の車が列をなし、道端には飽きることなく花畑や丘の風景、公園、レストハウス等が現れる。
北美瑛の駅の近くにある「ゼルブの丘」は色とりどりの花が咲き乱れ、たくさんの人で賑わっていた。
グループツーリングなら、立ち寄って写真を撮ったりトイレ休憩もできるし、なかなかいいと思う。

今回はパス。

美瑛市街、美瑛駅近くの交差点かた右手(西方向)に丘を登り、いよいよ美瑛の丘巡りの始まりだ。

美瑛の丘に来て、多くの人が始めに出会うのは「ケンとメリーの木」だろう。
1972年、日産スカイライン(通称「ケンとメリーのスカイライン」→ケンメリ)のCMに使われて有名になった。
広い丘に一本大きなポプラが立っているのでとても目立つ樹だ。

丘を吹き抜ける風が気持ちよく、爽やかな開放感を感じる。

ポプラはもともと北海道にあった木ではない。
開拓した農家が、自分の畑の目印に植えたものだろう。
ポプラは成長が早く、とても大きく、高くなる。その分、寿命も短い。

ケンメリの木も、撮影された当時よりも大きくなっているはずだし、徐々に寿命が近づいてきているはずだ。


(2008年8月11日 10時31分 「セブンスターの木」のカシワ)

ケンとメリーの木から道なりに、きれいな丘の景観を楽しみながら行くと、3㎞ほどで「セブンスターの木」に着く。
これはカシワの木。
カタチは愛らしく、かわいい感じなのだが、写真の人の大きさと比べてみると、やはり大きな木だ。
たぶん、ケンとメリーのポプラより、ずっと年上だと思う。
1976年セブンスターの観光パッケージにこの木の写真が使われた。

左端には観光バス。家族連れ、自転車の人、恋人同士、一人の旅人、木の下に訪れては、しばし下に佇み、写真を撮ったり、初めて会う同士で何か話して、また去っていく。


(同上)

セブンスター木はのなだらかな丘の稜線の上にあり、道も稜線沿いに気持ちよく続いている。
僕が写真を撮ったのは、少し離れた丘の下から。
紺と赤と、小さな四角が2つあるのは、駐車場の自動販売機。
空は青く、風が渡る。


(2008年8月11日 10時34分)

セブンスターの木からパッチワークの道をまた少し行くと、針葉樹を見つけた。
もっと立派な「クリスマスツリーの木」という名前のヨーロッパトウヒの木も別の場所にあるのだが、この木もいいね。

トンボがたくさん飛んでいた。当たって殺さないようにGPZは自転車並みの速度で。
こんなときは排気音もできるだけ静かな方がいい。ナサートRRのチタン集合マフラーはJMCA適合で音もまあまあ静か。抜けのいいストレート管構造だが、低速でもボコつかないのがいい。


(2008年8月11日 10時36分)

上と同じ場所から木と反対側、東北方向を望む。
丘陵の畑がどこまでも続いて見える。
ここから旭川空港まで、直線で5~6㎞しかないのだから。
旭川に入って動物園や層雲峡、十勝岳、大雪山などを見、丘を巡って帰る、というだけでも、2泊3日でとても充実した北海道旅行になると思う。
北海道は広い。
無理に全部回ろうとして延々移動ばかりの強行軍よりも、エリアを決めて、じっくり見るのがいいと思う。


(2008年8月11日 10時57分 五稜の丘)

開通していない国道452号線のさらに西側に入ると、観光バスやレンタカーの観光客はほとんど来ないエリアになる。

五稜の丘。
誰もいない丘に夏の風が吹き、はるか遠くまで丘の農地が連なって、地平線の向こうに大雪・十勝の連山が霞んで見える。

逆光でまぶしく、写真ではさらに色が出ないが、ため息の出る眺望だった。

ここはどちらかというと風景写真を撮るカメラマンが来る場所らしい。
もちろん、メジャーな丘も、この丘も、全て美瑛の丘の風景は現役の農地。
観光のために風景を作っているのではなく、観光客は「お客様」ではない。
地元の人々が暮らす土地を通らしてもらう旅人なのだ。

絶対に畑に一足でも踏み入れてはならない。
農作物を踏んでないからいいでしょ!などと言って写真を撮りにづかづか入っていく人もいると聞く。
そんな人が通るたびに土は踏まれて固まり、そこから吸水性が落ちて水の流れが固くなると土が流されていくことになる。
もっとひどいのは細菌だ。靴底に着いた細菌が農作物に広がると、悪くすれば甚大な被害を及ぼす。

旅は消費活動ではないと僕は思う。
レクリエーション=再び、創造へ。
まるごとの自分で、その土地や風景や、人と出会いたい。
バイク旅の醍醐味も、そこにあると思うのだが。

さあ、少し早い昼食にしよう。
今回は僕には珍しく、昼食を摂る店をあらかじめ決めて来てる。
美瑛の里の農家カフェへ、GPZをゆっくり走らせよう。   (つづく)
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (ぶるーあい)
2008-08-17 07:07:08
すっかりツーリング気分にさせて頂いております。
ケンメリの木ですね、懐かしい、そう言われて通じるところに大人な自分に気づきます。(笑)

いつだって、どこにだって・・・のフレーズでしたよね。
 
 
 
あこがれ (樹生和人)
2008-08-17 09:15:04
ぶるーあいさん、こんにちは。
相変わらず、一日のツーリングを非常に長く引っ張ってる記事です^^;
お付き合いいただいて、とてもうれしいです。

スカイライン、セリカ…、車が輝いていた時代でしたね。歌手がスターといわれた時代です。

単に耕作が大変な地だったこの丘を、全国に憧れの景観として発信した人は、やはりセンスがあったと思います。
自然に近い風景、農林水産業、自然に近い観光、生き方、これが北海道の21世紀の生きる道だと私は思うのですが…。

新幹線や高速道路の高架なんか見たくないです。
北海道では。
 
 
 
Unknown (kita)
2008-08-18 22:44:11
先月この辺りを走って思ったのですが
同じような風景は大なり小なり北海道の至る所に点在している
でも、何故富良野、美瑛が持て囃されるのか?

それは多分気候などの条件かな?と
富良野、美瑛の気候と風景が微妙に
マッチして出来上がった風景ではないのかと?

そんなふうに思いながら走ってました


余談ですが
美瑛の丘は岩盤が多く畑地造成工事をしたくても
費用が掛かり過ぎて出来ない為に、あの丘が残ったと聞きましたよ。



 
 
 
岩盤のせいで… (樹生和人)
2008-08-19 05:48:15
kitaさん、こんにちは。
たしかに北海道には同じような風景がいっぱいありますね。
私は丘の風景の遠景に見える十勝岳連峰、大雪山連峰がポイントかと思いました。
なるほど、気候、空気感なども大きいかもしれません。
私の住んでいた十勝にも平原だけでなく丘の畑もあるのですが、気候の違いから来る雰囲気の違いは確かにあったような気がします。

美瑛の岩盤の多さと造成工事の困難さ…。
ずっと前(10年くらいですか)、TVで美瑛の丘の特集をしたときに、農家の方が、「丘の急斜面なんてつらいだけだ、そうして先祖はこんな土地に入植したんだと恨む気持ちになったこともあった」という趣旨のことを言っていたように記憶しています。
簡単に削れない岩盤が丘を残し、それが巡り巡って「観光資源」になるとは、不思議な感じですね。
 
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