旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

歌いつがれた日本の心・美しい言葉② ・・・ 『春よ来い』 

2011-02-08 10:21:19 | 文化(音楽、絵画、映画)

 

   春よ来い 早く来い

   あるきはじめた みいちゃんが

   赤い鼻緒(はなお)のじょじょはいて

   おんもに出たいと 待っている

 

   春よ来い 早く来い

   おうちのまえの 桃の木の

   蕾(つぼみ)もみんなふくらんで

   はよ咲きたいと 待っている

 

 立春を過ぎて暖かい日が続いたが、今夜からまた寒い日が続く予報だ。これから三寒四温をくりかえし、春が行ったり来たりする時節である。そのとき、必ず口ずさむのがこの歌である。

 
詩は相馬御風。早稲田大学校歌『都の西北』など多くの校歌をはじめ美しい詩を数多く残している。御風は佐伯藩士藤田茂吉(報知新聞主筆、第一回衆議院議員)の末娘照子と結婚、生まれた娘が相馬文子・・・、歌の中の「歩き始めたみいちゃん」は、この文子(あやこ)がモデルと言われている。

 子ども言葉の「じょじょ」(草履のこと)とか「おんも」(おもて、面通り、戸外)という言い回しが何ともいえない。子どもは外に出たいと、桃の蕾は「はよ咲きたいと」春を待つ。結びの「待っている」と言う言葉が、題名の「春よ来い」と響きあう。しかし今や、「じょじょ」どころか草履(ぞうり)自体も無くなり、車の行きかうコンクリートの「おんも」は趣を大きく変えた。

 曲は弘田龍太郎。龍太郎の名前を知らない人は多いが、『雀の学校』(チィチィパッパ・・・)や『靴が鳴る』(お手つないで・・・)、『お山のお猿』、『雨』、『金魚の昼寝』、など多くの童謡を作曲し、また『叱られて』や『浜千鳥』、『鯉のぼり』などの名曲を残している。

 多くの国民は、その成長とともに龍太郎を歌い継いだと言えるのではないか? 

 この『春よ来い』も、日本人の心の中に歌いつがれ、消えることはないだろう。

   

 

 


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