旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

手塚治虫文庫全集~エンゼルの丘を読み返す

2021-09-02 19:25:30 | 図書館はどこですか



ということで、今回は素早い対応で、鉄は熱いうちに打てのごとく、手塚治虫文庫全集から
「エンゼルの丘」を読み直しました。読むのは、購入時に一度読んで以来となります。
全1巻とはいえ500ページ近い枚数は、かなりボリューミーです。

手塚全集をあまり読み返せていないのは、その収納方法に少々問題があり、プラスチックケース
5個分くらいに分けて収納し、押し入れの奥に重ねて積み上げて収めているので、取り出すのに
一苦労するからなんです。全集以外の文庫本を収めたケースを合わせると全部で10個ほどあり、
1個分のケースがかなり重いので、これらを押し入れの狭い間口から出し入れするのが
かなりの重労働なんですね。すっきりコンパクトに必要最低限のスペースで収められている
点に関しては満足しているのですが、本を探すたびに腰を痛めそうになるのが難点です。

前にも書いたことあると思うのですが、あの立川談志さんは枕元に(神と崇める)手塚さんの
本を常備し、とっかえひっかえ読んでいたと聞いたことがあります。私もこれに倣い、
もう少し読書最優先する方向での収納を考えたいところですが、日常生活との兼ね合いとなると、
これがなかなか難しいですよね。今回はカラッとした晴天が続いたので、押し入れの奥の掃除、
風通しなどを行ったタイミングで、エンゼル~の入ったケースを探し出せた次第です。


おっと、ボヤキが長くなりました。この前このエンゼル~を「少女漫画の始祖的存在」と
書きましたが、この本の解説にもそれらしき記載は見当たらず、新聞記事や雑誌の手塚特集で
そのような表記があった可能性はありますが、それも私の勘違いで別の作品(あるいは別の作者)
だったかもしれず、先の記事は「根拠不特定、思い違いだった可能性がある」で、お詫びして
訂正します。



         

しかしこの作品、始祖かどうかはともかく、大変面白い漫画であると、今回読み直してみて
改めて思いました。1960年~61年にかけて少女向け雑誌「なかよし」に掲載されたようで、
その頃手塚さんはほかにも多くの連載を抱え絶好調期だったみたいです。なおかつ、ご自身お気に入りの
「人魚」がモチーフの作品でもあり、より気合を入れての執筆だったのでしょう。

ヒロイン・ルーナ姫のキャラデザインも秀逸でかわいらしく、でも逆にそれ以外はいわゆる
少女漫画っぽくはなく、他の手塚作品に多く見られる(少女)冒険活劇ものといった赴きです。
相当突拍子もない設定や場面展開もありますがそこはご愛敬、奇想天外なストーリー進行は、
おそらく他の少女漫画家たちの追随を許さず、飛び抜けていたに違いありません。

当時の漫画家(および漫画家の卵)は影響を受け、競って波乱万丈の物語展開を少女漫画に取り入れる
ようになった…というのはどうでしょうか。この方、あくまで自説(といっても、どこかで読んだ気がする
どなたかの解説ですが)を曲げたくはないようですね。


そして、多くの手塚作品同様、ヒロインたちに決して手放しなハッピーエンドが訪れるわけでなく、
多くの謎をはらんだまますべては水泡に帰し、人魚たちの行く末が定かでないうちに物語は幕を引きます。
悲劇的結末を決して積極的には好まない私ですが、それが深い感銘や余韻を残すことを、このエンゼル~を
読み終えた後、改めて思い知らされました。 


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