天路歴程

日々、思うこと、感じたことを詩に表現していきたいと思っています。
なにか感じていただけるとうれしいです。

ラブラブギュ

2019-05-27 06:58:19 | 
好きすき
チュッチュ

邪険にしないで

だって

好きで好きで
たまらない時期なんて
一瞬よ?

じぶんのコケンと
ひとりのコドクと

どちらをとるのよ?

好きすき
ギュッギュ

鬱陶しがらないで

だって

触りたくて
たまらない時期なんて
一瞬よ?

そんなはずかしさと
こんなうれしさと

どっちをとるのよ?

ラブラブギュは
瞬間最大風速

あっという間に
通り過ぎてゆく

願いは破られるだけ

2019-05-26 18:26:33 | 
あれほど

裏切らないでとお願いしたのに

簡単に

破って捨てた

どうか

話を聞いてと頼んだのに

全く

聞く耳を持たなかった

願いや頼みは

下のものの戯言

(下とはなんだ?

それこそが世迷言ではないか!)

それを受け入れるかは
それを聞き入れるかは

生殺与奪を握る

上のものの特権

(上とはなんだ?

それこそ狂気の沙汰ではないか!)

お慈悲を投げることもあれば
無慈悲に踏みにじることもある

恐れ
ひれ伏せ

馬鹿どもが!

願いなんぞ
破られるためにある

頼みなんぞ
握り潰すためにある









打ちのめされる

2019-05-20 06:22:25 | 
海の水は塩辛い

傷ついた体で
海に突き落とされたなら

海の底に沈むまでに
どれだけ苦しむことになるだろう

光の届かない闇に沈んでいく恐怖
体の傷をさいなむ強烈な痛み

知ったこっちゃない

嘲笑う声が聞こえる

自分じゃなくてよかった

安堵の声が聞こえる

そんなの自己責任だろう

非難の声が聞こえる

スケープゴート
吊るされた見せしめ

とばっちりは食いたくない

だって

巨大な輪っかは
自転車操業

立ち止まれば
奈落の底に落ちていく

自分でなかったらいい

誰かはどんどん落ちてくれ

システムは非情

己さえ生き残れさえすればいい

ゲームでありながらゲームではなく

おりることすらかなわない






敬虔でありたい

2019-05-19 12:04:36 | 
この世界において

私は敬虔でありたい

宇宙は広大で深淵

理を知ることはできないだろう

けれど

あきらめるのではなく

少しでも

宇宙の叡智に触れようと

もがいていたいとは思う

自らの

小ささと浅さを感じることは

決して

不幸なことではない

それを

知ることこそが

生きるための希望となりうるのだ

自らの進むべき指針となりうるのだ

拡大することだけが正義ではない
飛翔することだけが目的ではない

地べたを這いずり回ることは
無様ではない

ぺしゃんこに潰されるのは
不要だからではない

どんなに

吹けば飛ぶようでも

どんなに

役立たずに見えようとも

世界を作るカケラなのだ

人間ごときに

有用無用だなんて

判別できるわけないではないか!

私は何も知らない

それを忘れてはならないのだ

私が死ぬまでに

宇宙のほんの塵であっても
食むことができたなら

こんなにうれしいことはないだろう

私は

無知であるがゆえに

簡単に

傲慢になってしまう

自らを

省みなくならないように

自らが

批判者にならないように

い続けることは

なんと難しいことだろう!

年をとればとるほど

無駄な贅肉がついてくる

この世界において

敬虔にならざれば

いかなる僥倖も

不満の種になるのだろう
















バックステージ

2019-05-14 18:54:48 | ショート ショート
俺は、1人楽屋に佇む。ライブ直前は、1人でいることを好むからだ。壁にかけられた時計の秒針だけが、響いている。

何十年、俺は世界を飛び回っているのだろう。ギターを弾き、観客を熱狂させ、パッキングをし、飛行機に乗り、また違う場所で、ギターを弾く。

そして今は、湿度の高い国にいる。均一とディテールにこだわる国。俺の楽屋の隅にさえ、ちりひとつ落ちていない。鏡の前には、花が一輪、活けてある。

いろんな国をまわる。けれど、出かけようとしなければ、空港とホテルと会場の往復で終わってしまう。

そうは言っても、不思議なことに、楽屋ひとつにとっても、その国が見えてくるのだ。

鏡が曇っていたり、カラフルな落書きがそのままだったり(俺は、自分で言うのもなんだが、大きな箱をいっぱいにすることができる。だから、割と小綺麗な楽屋に通される。それでも、そんな国もあるということだ。)、真っ赤な絨毯が敷いてあったり、スパイシーな匂いが漂ったり…。

それを、面白がったり、無視したりして、対処する。そうやって、いくつもの国を通りすぎ、やり過ごしてきたのだ。

鏡に、俺の顔がうつる。色あせた瞳。シワの刻まれた顔。俺は、俺に問う。

「今の生活に満足しているか?」

俺は答える。

「わからない。」

体の節々は痛み、終演後は、体が重く、引きずるような時もある。観客のパワーが、ノイズのように感じることもある。観客によって、疲弊することがあるのだ。その逆ももちろんあるが、若い頃よりも、疲弊することが多くなってきている。おそらく、自らのパワーが、少なくなってきているのだろう。

だが、まだ、俺は、ツアーを続ける気でいる。

たくさんの人間が、死んでいった。俺だって、死にかけたことが何回もあった。(心を含めて。)

奪い奪われ、与え与えられ、壊し壊され。

それでも、俺はここにいる。

それは、神のギフトだ。それを、無駄にしてはならない。

それに、未だにまだ、俺は俺の思うところに到達していない。このまま、終われないのだ。

そして、もう残された時間も限られていることもわかっている。

リミットが迫りながらも、俺の人生はまだ保留中なのか。

鏡の中の俺の顔が歪む。

皮肉の笑みか、安堵の笑みか。

その時、ノックの音が聞こえた。

さあ、ショータイムのはじまりだ。

俺は、振り向いた。