イギリスの田舎とB&Bめぐり

留学中の娘を訪ねた45日間のイギリス旅行記。月1間隔でUPしていく予定なので、ゆっくり・じっくり読み進めてください。

 6、Salisbury (ソルズベリー) パート1 6月3日(土)

2008-12-07 22:31:15 | イギリス旅行記

  ペットワースを出発の朝、予定変更が生じた。車でブライトンまで引き返し(車をレンタルした町でソルズベリーとは逆方向)、レンタカーを返却した後、列車でソルズベリーへ向かう予定だった。そのことをオーナー夫妻に話すと、「ソルズベリーまで車で行っちゃえばいいのに・・・」と言われた。
  「12時半までに返す契約なんだけど間に合うかな・・・」「大丈夫、充分間に合うよ!」ハーツに電話すると、ソルズベリー返却でもOKとの返事。ロードマップを見ると、ソルズベリーまで100キロ以上ある。慣れない運転で大丈夫かしらと危ぶみつつバタバタと出発した。A線三桁の田舎道からA二桁の幹線道路へ、そしてM線(高速道路)に入った。高速道路といえば日本では殆んど高い所を走るが、こちらでは、むしろ周りより少し低くなっている。しかし、視線をさえぎるほど低くはないので、英国の美しい田園風景は満喫できる。
  交わる道路は全てM線をまたいで通る。片側3車線を整然と走る車の流れの中におさまると、いつの間にか時速120キロを超えていた。制限速度は70マイル(112キロ)だが周りに合わせるのが安全というものだ (今の英国は、道路脇の監視カメラ台数が先進国一多いそうなので、こんな事は出来なくなったと思う)。今回も運転はミチ。ナビゲーターはユッチンに任せ、私はマッツンと後部座席で、過ぎゆく羊の群れや、樹木に囲まれた大邸宅などに、歓声を上げていた。
  ソルズベリーの標識を確認してM線を降り、再びA線へ。ここから少し手間取り、ソルズベリー郊外のB&Bに着いたのは11時頃。全行程の3分の1がM線だったので、マップ上で見た距離よりもずっと近かった。
  
  B&B「Witherington Farm(ウィズリントン・ファーム)」は17世紀以来の姿を今にとどめる落着いたレンガ造りの農家。車を門前に止めると、先ずしなやかな体躯の上品な犬が二匹、走り出てきた。続いてオーナー夫妻もにこやかに出迎えてくれた。案内された二階の客室は、年代を感じさせる柱や家具、窓には柔らかな色調の花柄カーテン、用意されたティー・ファシリティー(自分でお茶を淹れられるセット)など、これぞ訪れた客に喜びと安らぎを与えてくれる理想的な部屋と言っていいだろう。窓から庭の一部が見渡され、その奥がどうなっているのか興味がそそられる。
  早速庭に出て、オーナー夫妻としばらく話しをした【写真1】。このあたりは豊かな農家が点在する歴史的な一帯で、オーナー夫人が両親と共に過ごした家であること。家を出て結婚した後、夫と共に再び戻ってきて、広い邸宅の一部をB&Bの経営にあてていること等々・・・このあと見て回った庭は、とても個人の庭とは思えないくらい充実していて、花々の間をくねくねと曲がる石畳を歩きながら、変化する光景に心が弾んだ【写真2】。
  
  そろそろお腹もすいてきたし、レンタカーを返す時間も迫ってきているので、ソルズベリー観光に出発。車を無事返却した後、市の中心広場に行ってみた。タウンホール(市庁舎)や郵便局、レストラン等が取り囲み、そうとうの人出で賑やか。ロンドンを出発して初めて日本人の顔と出会い、“観光地にきたな・・・”との思いを深くした。  
  ふとタウンホールの方に目をやると、正面の段々に人が並んでいる。その服装たるや・・・時代劇に出てくるようなコスチュームで、おかしな帽子を被り真っ赤なケープを羽織っている人、長い杓を持っている人、かつらを被っている男性と“ナニこれは?”という感じ。大勢の人が遠巻きに見物している中の一人に聞いてみると、“新市長の就任式だよ”と教えてくれた。これから記念撮影が始まるらしい。総勢50人くらいだろうか。最前列の真ん中に緊張顔でおさまっている、大きなメダルをぶら下げた人物がこの日の主役、新市長だとすぐに分かった。
  みんなの前には、三脚をたててタイミングを待っているカメラマンがいるのに、それにはおかまいなしに、私語に興じている面々【写真3】。見物人がしびれを切らしかけた頃、やっと撮影が終了し、三々五々散って行った。

(パート2へ続く)