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Gothic Fantasy

2016年11月21日 10時54分27秒 | 小説
第36話 死して屍拾う者なし

影生と影行の2人は冥府に向かう。
深い霧の中を歩く。
2人で自信に溢れ達成を目指す。
周からもらった名を誇りに思う2人。
そして時空の歪みを見つけ立ち止まる。
「この先だな。」
「ああ。名前もらって初めての仕事だ。」
「失敗は許されない。」
「どっちかが捕まっても見捨てて逃げるんだぜ。」
「分かっている。」
「行こうぜ。俺たちが突き止めてやる。」
そう言い2人は時空の歪みに入って行った。
一方学園では拝努が理事長室で電話をしていた。
理事長室の机の固定電話の通話時間は20分を過ぎていた。
「今2人を送った所だそうです。僕らも結果を待っていまして。」
「そうか。2人も命懸けでいる。我らは無事を祈ろう。」
電話の相手は京だった。
その場には十神もいた。
「はい。ついに勝機が見える時は来るかと。」
その言葉に十神も期待していた。
「だが私には何だか胸騒ぎがする。的中しないといいのだが。」
「それは僕らも同じです。彼らは人工人間とは言え命ですから。」
「もちろん。やつらのように消耗品や道具としてではない。」
「僕らにとって大切な仲間です。そしてあなたにとっては。」
「我が子。私の遺伝子を継ぐ大切な我が子だ。」
「僕らも皆大切な仲間。1人でも欠けてはいけない。それを胸にしてます。」
「拝努君の言う通り。あとはお父さんによろしく頼むよ。では私は失礼する。」
「分かりました。それでは失礼します。」
拝努は受話器を置き電話を切った。
「父さん、もし計画が順調に行けば僕らも計画を阻止出来るようです。」
「彼の協力もあるならもちろんのこと。」
「久坂教授の周辺人物の可能性があり2人に久坂君に聞き出そうと試みました。」
「どうだった?」
「彼自身も幼少期のことの記憶は曖昧なようでした。」
「だろうな。しかし帝君ならばそれを。」
「はい。今夜久坂君に。」
「そして明日彼のいたアパートに向かわせアルバムに資料を確認させよう。」
「でしたら早速彼に伝えておきましょう。」
「私は行くとべき場所があるんでな。」
「慎二叔父さんのお墓参りですね。」
「ああ。明日が命日なには分かるな。」
「はい。5年前のあの日。」
「彼のお兄さんもな。故に彼も同行する。教会のことは雫君がする。お前は学園を。」
「お気を付けて。」
「明日には戻る。」
そして理事長室のドアが開く。
そこにはエクソシスト2人を連れたヴィシャスがいた。
「参りましょう。」
そして十神は学園を後にした。
学園を教会の車の黒いシーマが走り去る。
前部にエクソシスト隊員2人が座り後部に十神とヴィシャスが座る。
車内は無言で4人とも険しい顔をしていた。
1人学園に残った拝努はスマートフォンを取り出した。
電話帳を開いて帝の番号に電話を掛けた。
教会の聖堂にいた帝がバイブレーションで着信に気付いた。
スワイプし電話に出た。
「何だ?」
その様子を雫が隣で眺める。
「分かった。今夜実行しよう。」
そして通話が終了する。
「何だったんです?」
「雫、少し手を貸せ。」
その頃影の教会は混乱していた。
「もう私たち3人だけですわ!どういうことですの!」
アスモディウスは落ち着かずそわそわする。
「全く魔法戦士ごときに破れる4人もだが取り乱す貴様もだな。」
マモンは余裕をかました様子だ。
「俺様もやつらのお手並みを拝見したいな。4人も破るとは最早強者だ。」
ルシファーは実力に高鳴る様子だ。
「要は追い込まれたのは我々。ルシファー、貴様には分かるな?」
マモンの言葉にルシファーは鼻で笑い答える。
「愚問だ。」
「何なのですの!どういうことですの!」
アスモディウスは焦っている。
「貴様には分かるまい。」
ルシファーとマモンがそう言い笑う。
「俺様が仕留めてくれる。のこのこやって来た愚か者に鉄槌をくれる。」
「仕留めるのはこのマモンが。」
「地位を欲する欲深い貴様らしいな。」
「貴様こそ虫けらを仕留めただけで偉そうにしたい傲慢な男だ。」
仲間割れをする2人。
そこに仲裁の声が掛かる。
「やめんか。」
3人は振り向き跪く。
「ハーミット!これは見苦しい姿をしてしまい。」
「構わんよ。」
そこにいたハーミットは何と十神の姿をしていた。
「無法者は私自ら葬ろう。真実を知る絶望を与え闇に。」
そして周はリビングでトランプをしていた。
冬人、風馬、和香、理央の4人と夜遅くまで盛り上がる。
「これで私も抜けて周君が負け。」
「また俺かよ。」
「周って騙すの苦手だもんね。」
「ちなみに風馬先輩は邪なことには笑顔が出るんです。」
「バレてましたか~」
「ちょいちょいスキンシップ狙うのよね~」
「だからさっきから理央の天誅喰らいまくりでさ~」
そんな風馬の頬は無数の手形が付いていた。
「俺つい動揺するってか眼が動くし。冬人はいいよな。」
「そうそう。あんたってポーカーフェイスよね。読み取れないわ。」
「でも私は正直な周君が大好きだよ。」
そう言い和香は突然周にキスをした。
「和香、あんたも大胆ね!」
「理央、僕にもして!」
風馬は理央に顔を近づける。
「天誅!」
再びビンタが炸裂しノックアウトする風馬。
「和香ちゃん、いきなりしかも皆の前で恥ずかしいよ。」
「ごめんね。でも気持ち伝えたかったんだ。」
そう言い2人は見つめ合う。
しかし1人だけ気分が下がった。
「僕だけが置いて行かれた。1人世界の片隅に取り残された。」
「毎度のやつ出た。名付けて冬人のワールドエンド妄想。」
風馬は命名する。
「あんたにしてはいいこと言うわね。」
「もう世界は終わった。僕に恋なんて。」
「冬人、元気出せよ。」
周が励ますも風馬はまた冷やかす。
「冬の人間と書いて冬人。常冬に生ま春は来ない。」
「仰る通りで。」
「風馬先輩、それは酷過ぎ。俺が励ましてんのに。」
その様子を帝が庭から窓越しに見ていた。
「あいつも辛い過去があって今があるんだな。」
「その通りですよ。」
後ろから拝努が囁いた。
「今夜は父さんと先生がいません。」
「知ってる。俺のせいだからな。」
「帝君、そろそろ実行していただけませんか?」
「ああ。そのつもりでいた。」
「夢に入るなんて出来るんですか?」
「俺はインキュバスだからな。雫こそ出来るのか?記憶の夢を見させるとか。」
「聖職者なのでもちろんです。」
そしてその時は来た。
皆が寝静まった深夜に実行の時が訪れた。
帝、拝努、雫が周の部屋に向かう。
3人は拝努を先頭とし頭に風呂敷を被って忍び足で廊下を歩く。
「何故俺たちがこんなことを。」
「そうですよ。私たちの住居なのですよ。」
「こっちの方が雰囲気が出ますので。」
拝努のしょうもない提案に2人は大きなため息をした。
電気を消した部屋と眠る周を窓から差す月明かりが照らす。
「眠っているな。」
「はい。」
「雫、頼んだぞ。」
3人は風呂敷を外す。
雫が聖書を開いて読み始める。
横で拝努が聖書を蝋燭で灯す。
「主の名の元に汝は血を与え肉を与えたし父を敬いたまえ。汝を産み乳を与えた母を
敬いたまえ。全ては神が与えし運命。汝の辿り来た道に見えた物を全て教えたまえ。
主は天より見て全てを知りし者。真だけを答えよ。そこにあるものこそが世界の真実
故に主は嘘に罰を下さんとする。全てはイエス・キリストの名の元に。アーメン。」
そう言い雫が聖書を閉じた。
その瞬間周は目を開き目が光り出した。
同時に帝の目も光り出す。
帝は口を開く。
「な!」
何か驚いた様子だった。
「もっと!もっとだ!」
そしてそんな帝の横に立つ拝努と雫も驚いていた。
「これが彼の力。」
「まさか本当に人の夢に入るなんて。」
「ですが一体何に驚きを?」
「戻って来てからです。」
そして数分後2人の目の光は消えた。
帝は現実に戻って来た。
「帝君、どうでした?」
「あの反応はハーミットの正体を。」
「それはなかった。ただ知り合いを見ただけだ。」
そう言い帝は部屋を後にした。
その頃影生と影行はハーミットに接近していた。
亡者の大群に紛れ現れるのをひたすら待っていた。
2人が待ち続け現れたハーミットはフードを脱いだ。
その時の顔は髭面の壮年の顔だった。
そして擬態を解き元の顔に戻った。
それを見た2人は顔面蒼白になる。
「そんな…」
「まさか…」
ハーミットは2人に気付いた。
「ネズミが2匹。」
そして翌朝帝は教会を後にした。
バンクにヴァンパイアメダルを入れ蝙蝠に擬態して飛び去る。
「一体どうなってやがる。」
帝は何やら疑問を浮かべる。
疑問を抱いて早朝の空を帝はは飛行する。
そうとは知らず教会にはいつも通りの朝が訪れていた。
東の空に日が昇り皆の1日が始まる。
皆何もなかったかのようにいつもの日々を迎える。
和香と手を繋ぎ学校に向かって歩く。
「今日はお昼一緒に食べようよ。」
「そうだね。たまには俺が出すよ。」
「ありがとう。お昼楽しみ。何食べよう。」
ここは明るい日の当たる世界。
朝の訪れた世界には笑う人々の姿があった。
しかし暗い闇の世界にはそれはない。
漆黒の闇に儚く散った2つの命。
それは悲しい末路をたどっただけでしかなかった。

続く


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