花好きじじい

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モリアザミの開花を追って

2022-09-10 15:53:23 | Weblog

 6月中旬の昼下がり、休憩時間に職場の裏廊下の窓からふと眺めた土手の雑草の中に数株のアザミらしき植物が混じって生いているのに気付き、手元に置いてあるカメラで撮影したのがこの写真です。



 先の尖った総苞片が反り返った蕾からノハラアザミ(秋田では殆どオオノアザミ)の変種クルマアザミと見て結実まで観察することにしました。

 日を経るに従って蕾の頂点が淡紅色に変わってきてアザミの花らしくなり、やがて内部の筒状花の頂点も顔を出してきました。


 紅紫色の萼片に包まれた多数の淡紅色の筒状花が更に明らかになってきましたので、この時点で漸くクルマアザミとした最初の考えは誤りで、モリアザミであることが分かったのです。



 更に日が経つと、筒状花群の周辺部から頂点を破って雄蕊包が伸びてきて、先端が破れて花粉を放出するようになります。



 蕾を開いて筒状花を取り出した画像です(下段の画像は雄蕊の先端部の顕微鏡拡大)。資料が未熟なため先端部には花粉が詰まっていましたが、圧迫しないと放出しません。筒状花先端も破れると5弁にになります。



 雄性先熟で花粉の放出を終えた雄蕊が萎縮し、周辺部から先端2分した雌蕊が伸びてきて別の花からの花粉を受粉することになります。

 

 集めた種を冷蔵庫内に保存しておき、来春、畑に播種して山牛蒡を採集してみたいと考えております。

 秋田で見られるアザミ属の中でモリアザミは極めて稀との記録がありますので(北東北維管束植物分布図、2017)、最初にはモリアザミとの着想には至らなかったのです。ところが、開花が進んでくると、最初に考えたクルマアザミとは違っているし、それに、この近辺にはクルマアザミの基本種たるノハラアザミ(秋田では殆どがオオノアザミ)が全く見られないことなどからもモリアザミとして矛盾しないと考えたのです。来春には得られた種子を播種して山牛蒡を収穫したみようかと計画しております。


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