「街のコンシェルジェ」

“加齢こそ、価値がある社会づくり”を目指し、高齢世帯の困り事を、有償ボランティアがお手伝いするNPOの事業。

「新しい公共」を考える <第942話>

2010年07月28日 07時10分34秒 | コンシェルジェ
 このところ、「新しい公共」や「ソーシャル・ビジネス/SB」という聞きなれない
言葉を耳にします。私なりに少し整理をしてみました。


●アメリカ同時多発テロ事件
  2001年9月11日午前8時46分NY世界貿易センターの超高層ビルである
ツインタワー北棟(110階建)にアメリカン航空11便(ボーイング767型機)が突
入し爆発炎上した。いわゆる「アメリカ同時多発テロ事件」である。

前後4機がハイジャックされ、2機がNYの世界貿易センタービル、2機がワシン
トンDCへと。この衝撃的な事件は何を意味するのだろうか。 
テロ事件そのものは決して許されるものではないにしろ、ある意味では、“世界一
を誇るアメリカの繁栄に対する挑戦”とも受取れる。この事件を期に各分野で色々
なことが起きている。

米国で活躍するベンチャー・キャピタリスト・原丈二氏は最近「公益資本主義」を
唱えている。昨今の金融危機を通じて、「株主至上主義」や「市場万能主義」に
疑問が突きつけられてきた。
企業本来の姿は、株主の利益を最大化することではなく、事業で利益を上げな
がら社会に貢献することである。短期的な株価上昇のために「持続可能性」「公
平性」「改良改善性」などが犠牲となっていた。・・・・・・ここに「公益資本主義」
の確立が叫ばれていると。

またある学者は「新しい公共」と唱えている。

その一方で、1961年1月20日ケネディーの大統領就任演説が思い出される。
「祖国が、あなたに何をしてくれるかを尋ねてはなりません、あなたが、祖国の
ために何をできるか考えて欲しい」と。
勝者が敗者に恵むという「ワンウエイの社会」から、「ツーウエイの社会」への変
革を叫んでいると。
更に、Bオバマ第44代大統領は2009年1月20日就任演説の中で次のように
唱えている。
「我々の挑戦は新しいものかもしれない。我々がそれに立ち向かう手段も新しい
ものかもしれない。」~略~ 「いま我々に求められているのは、新しい責任の時
代に入ることだ。米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負うことを
認識し、その義務をいやいや引き受けるのではなく、喜んで機会をとらえることだ。
困難な任務に我々のすべてを与えることこそ、心を満たし、我々の個性を示すの
だ。」と。
独断の解釈をつけるならば、「ワンウエイの社会」から、「ツーウエイの社会」へ、
そして「一緒になって国を興そう!」と理解できる。

●街のコンシェルジェとソーシャル・ビジネス
 我々は、品川区中延の商店街に店舗を構え、04年11月より「街のコンシェル
ジェ事業」を営んでいる。
「街のコンシェルジェ事業」とは、地域の高齢者の“困りごと”を有償ボランティア
(コンシェルジェと命名)が支援し、代価はクーポン券(1枚800円)を通じて、地
元の商品券(1枚500円)に交換する地域貢献の仕組みです。
いうなれば超高齢社会における街づくりが、循環するモデルとなって商店街の活
性化に結びつき“ソーシャル・ビジネス”へと進化いたしました。

「ソーシャル・ビジネス」とは、社会的問題・課題の解決と、新しい価値創造をめざ
しつつ、かつ収益を上げるビジネスと理解しています。

そして我々は、将来日本全国へ、さらに高齢化の課題を抱えた国々への進出を
検討したく思っています。
現在「街のコンシェルジェ」中延センターの会員は、約1000人弱に達し、一昨年
はミツバチ・プロジェクトに着手し、本年は大分県竹田市(高齢化率40%)と連携し、
アンテナショップ“街コン・マルシェ”に取組みました。
そして、これからの課題は“CO2の削減(エコ・プロジェクト)”“おひとり様の交流
促進(交流機会の増加)”や“認知症もどきの早期発見(商店街の役割)”“元気
長屋(空家を利用した高齢者専用の共同賃貸住宅)”などを計画しております。



お陰さまで、「街のコンシェルジェ」は、08年及び09年の決算において、ほんの
僅かですが利益を出すことができました。特定非営利活動法人(NPO)ではあり
ますが「収益事業」を営んでいると考えております。

さて近年、マーケティングの分野で「コーズ・リレーテッド・マーケティングCause
Related Marketing CRM」が叫ばれてきました。

企業が社会的問題(大儀:Cause)をアピールし、それに共感する人々を取り込む
ことで売上増を目指す販売促進手法です。
事の起こりは、アメリカン・エキスプレスが1983年「自由の女神修復キャンペー
ン」を実施した。
カードが使用されるごとに1セント、同カード新規発行ごとに1ドルを寄付するキャ
ンペーン。結果は、自由の女神財団に約170万ドルを寄付。この間同カードの利
用額が約30%増となった。 

以上を整理してみると、「企業が主体の販促策 ⇒ コーズ・リレーテッド・マーケ
ティングCRM」、「NPO,NGOが主体の収益事業 ⇒ ソーシャル・ビジネス」と
定義できないだろうか。

さらに「プロボノ」と呼ばれているビジネスマン個人による社会貢献スタイルも現
れだしている。

「騎馬戦型社会」(現役3人で高齢者1人を支える)から、「肩車型社会」へスム
ースに移行するためには、是非とも「新しい公共」という概念が必要となる。

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