道端鈴成

エッセイと書評など

悪徳商法

2005年04月15日 | 人権擁護法案
  人権擁護法をめぐる状況は、なんだか悪徳商法めいてきた気がする。
「部屋をまとめて掃除できるというふれこみの新型クリナーの訪問販売がありました。自民製の「こうめいクリナー」です。住民からは「こうめいクリナー」について、ゴミかどうかわからないのにすいこまれたらどうするんだ、製造元が怪しいし、安全対策に疑問があるという意見がでました。これに対し、電機屋さんは、いや、クリナーはたんにすいこむだけで、別に粉砕処分されたり焼却されるわけではないので、たいしたことないよ。事故の危険も、このクリナーの仕様書をちゃんと読めば、ほとんどないことが分かるはずだよ、まだ使ったことないけどと言いました。そして別の新型クリナーの販売が予定されていることを指摘しました。民主製の「ドキューンクリナー」です。これは、密輸品で、ほぼ確実に発火し、火災の危険があるらしいです。そして、「こうめいクリナー」を買っておかないと、「ドキューンクリナー」の訪問販売を受けて断れなくなったら困るよ。「ドキューンクリナー」の販売員、てぐすねひいて待ってるよ、「ドキューンクリナー」を断る口実のためにも「こうめいクリナー」買わなきゃと言われました。住民は、一瞬ハイボール・テクニックの逆出しかと思いましたが、たしかに「ドキューンクリナー」の訪問販売を断れなかったらと不安になりました。必用なら手で拾えばいいし、箒やはたきや、モップを使えばいいんだし、そんなクリナーいらねえと思っているのですが。」
  ここで選択肢は、自民党案(A)、民主党案(B)だけではなく、現行の法規での個々の問題の改善をはかる(C)、必用に応じて個々の問題に対応する法律をつくる(D)の四つあることを確認したい。私の考えでは、民主党案(B)はワースト、自民党案(A)はワースである。現行の法規のもとでの改善(C)がベター、どんな個別の法をつくるかにもよるが、必用に応じて個々の問題に対応する法律をつくる(D)がベストになりうる。ここで、(A)と(B)の両方を廃案にしないと、(C)か(D)の選択肢は消えてしまう。個別の対応も間違えることはあるかもしれないが、弊害はより限定的であり、誤りから学び修正することはより容易である。ピースミルに、誤りから学び修正する過程もふくみながら、問題の改善を試みるのが、賢明な社会運営の方法ではないのだろうか。反対しにくいマジックワードを掲げ、法的には問題がなかったとしても、社会的には弊害を残した「ゆとり教育」、「男女共同参画社会」と同じあやまりを、「人権擁護法」でまた繰り返そうというのだろうか。

最新の画像もっと見る

68 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
GJ! (Unknown)
2005-04-15 04:05:13
これは非常に判りやすい説明だと思います。

目からウロコです。素晴らしい!。



“人権擁護”という「言葉の呪縛」を見事に取り払い、本件の本質を的確に表現していると思います。

 つまりこれらの危険な“クリーナー”を売ろうとしているのが、怪しげな深夜の通販のようなマスゴミであると。

これなら私でも自信を持って説明出来る(w



“人権擁護@言論弾圧法案/廃案”への理解を高める、最初のきっかけになると思います。

反対ビラに、(ここの管理人さん同意の上で)引用すれば可也効果的ではないでしょうか。
返信する
Unknown (てんこもり野郎)
2005-04-15 05:43:14
で、「こうめいクリナー」、「ドキューンクリナー」共に お隣の某国でOEM生産されている粗悪な「パクリ」製品って事で宜しいか?(笑)
返信する
Unknown (民主主義的拒絶派)
2005-04-15 08:08:08
 いつも的確なご指摘で、

 われわれ『真の反対派』(旧・感情的拒絶派)の道しるべとなってくださり、

 大変ありがとうございます。



 論理的反対派と客観的分析派は、

『エセ反対派』の『悪徳商法の訪問販売員』だったのですね。
返信する
しかし危険は残る (Unknown)
2005-04-15 13:22:27
そもそも人権なんてものが必要なのかを熟考する必要があるのではと思うのです。

C案・D案の成立後、危険はないよねとか言い出してA案・B案の成立をさせる危険性は残ります。

しかも、C案・D案にてなれてしまっているためになお成立させやすくなるのではないでしょうか?



我々はこの法案に限らず、権利というものの危険性についてもう少し考える必要があると思います。
返信する
Unknown (民主主義的拒絶派)
2005-04-15 17:25:39
↑確かに、危険は残りますね。



 それに、D案「個別法なら良い」といっても

 「人権擁護法」とか「在日人権擁護法」とか「宗教人権擁護法」などなどが個別にできてしまうと、大変です。



 『今回の人権擁護法は駄目だが、

  個別の人権擁護法なら良い』という誘導自体が、

 敵の『ハイボール・テクニック』であって『真の狙い』である可能性はないのでしょうか?



 上の方がおっしゃるように、

 『人権』などという曖昧な物を『行政法により取り締まる』こと自体が『憲法違反の要件を構成する』んじゃないか?と危惧します。



 もしかしたら、

『現行の法規で個々の問題の改善を図る』というC案だけがベストで、

 それ以外のA案B案及びD案は『全てワースト』であるという『罠』が仕掛けられていないか、厳しく注意して精査してみる必要がありますね。



 注意して注意しすぎることはありません。(疑心暗鬼は駄目ですが)



 ですから、D案「個別法」を採用する時は、

 『きわめて限定的な対象の、極めて限定的な範囲の「人権侵害行為」を改善する為の法律』にする必要性があります。(この条件を必ず付けておかないと、「個別法」「在日個別法」「宗教個別法」の度に反対運動なんてイヤですから。)



 『人権擁護法的な行政法は、個別的だろうが憲法違反』という形で廃案に持ち込まないと、永遠にゾンビのように復活してしまいます。(それも個別法で分身した沢山の人権擁護法たち、、、おお、怖っ!)



 それに、「今度の人権擁護法が駄目でも、

  地方の条例で人権擁護法のような法律を作ればいいんだよ」と画策している推進派の人もいるようですから、

 そうなると、ますます、

『憲法違反という理由で潰す以外に、日本の民主主義と自由主義を守る方法は無さそう』ですね。



 敵は巧妙だなあ。
返信する
危険は残るのは当たり前 (てんこもり野郎)
2005-04-16 07:40:59
「人権擁護法」とか「在日人権擁護法」とか「宗教人権擁護法」などなどが個別にできてしまえばそれで良いと思いますよ。 そうすりゃはっきりするじゃないですか。全てが。(w



どちらかと言うと『エセ反対派』は『悪徳商法のサクラ』でしょ。販売員というかトップ・セールスが古賀氏でインセンティブが組織票による選挙協力。(爆w
返信する
Unknown (民主主義的拒絶派)
2005-04-16 08:37:35
 なるほど、個別法の方が「黒幕」が炙り出されて、国民の目に晒されて彼らは困るので、

 個別法ではなく今の人権擁護法なら誰が黒幕か判りにくいし、人権というマジックワードなら国民も反対しにくいから、彼らは今「自分達は黒幕じゃないよ」と振る舞いながら、必死でこの法案成立の工作をしてるのですね。

(桜の季節に「悪徳商法のサクラ」か、うまいこと言いますね。笑

 但し、この「サクラ」の方は年から年中、狂い咲きですけどね。

 そりゃあ、「サクラ」とは大同団結なんてできないわな、、、OTZ、、、OTZ、、、OTZ、、、大同団結を目指した私の頭が悪すぎました。)





 ところで、この人権擁護法が成立するとどんな社会になりそうかが想像できるブログを発見しましたので、リンクを貼っておきますね。(道端鈴成日記さんはもしかしたらご存知のブログかもしれませんが、ネットを巡回なさる時間も無いほど仕事がお忙しそうなのでこちらに一応貼っておきますね)



http://blog.so-net.ne.jp/takamori/2005-04-15



http://musume80.exblog.jp/1834843/



法案の背景、ロビー活動などについて



http://blog.goo.ne.jp/ranryoo



http://www.osaka-minkoku.info/orz/jinken.php



 ついでに、これは極端かもしれませんが、

「被差別者と自称する者たちが、人権を守ろうと戦っている光景」です。ほほえましいですね。



http://blog.livedoor.jp/mumur/archives/17163406.html





 「そもそも人権とは何なのか?」や、「守るべき人権の特定」、及び、「一般国民の基本的人権とのバランスをいかにして技術的に担保できるか」、など

 といったアジェンダが全く解決される見込みのなさそうな「人権擁護法といったタイプの行政法」は、憲法違反じゃないかなと思うんですけどね。



返信する
Unknown (民主主義的拒絶派)
2005-04-16 09:15:29
 もう一つ見つけてきました。(全部、人権擁護(言論弾圧)反対ブログさんから、拾ってきたものばかりですが)



http://plaza.rakuten.co.jp/mizuhonet/diary/200503260001/
返信する
コメントありがとうございました (鈴成)
2005-04-16 18:14:46
てんこもり様、紹介ありがとうございました。シュレッダー、スケルトンと左右ハンドル、ぴったしだと思いました。個別の対応も、危惧のコメントにありましたように、間違えるかもしれません。しかし、原則としては、まず事態を把握し、どう対応するか、法をつくるとしたら、どういう効果があるのか、結果はどうだったか、すべてがより透明になり、着実な改善の可能性は増すだろうと思います。また運用が偏ってないかの検討もしやすくなると思います。法案の恣意性の議論では、法案の適用範囲の恣意性は関連法規も参照して検討されているようですが、左右ハンドルで例示されたような法案の実際の適用の方向の恣意性はあまり検討されていないようです。民主主義的拒絶派様、情報ありがとうございます。具体的な事例について検討する事は非常に重要だと思います。川崎市の例など、実際の運用で何が起きるかを知る上で参考になると思いました。ただ、私はそのへんは強くなく、時間もないので、自分自身の領域と視点から、一般論としてやや抽象的な意見をのべています。このエントリーは、自民党案でなければ、民主党案というもやもやした状況(ターゲット領域)を掃除用具の訪問販売(ソース領域)という寓話(比喩)であらわそうとしました。比喩ですから、ターゲット領域と対応するのはソース領域の一定の特徴だけです。(掃除という比喩の含意については、また機会を改めて書きたいと思います。)たしかに、電機屋さんの無責任なもの言いに、法案に問題ないよという人の姿勢を対応させようとしました。ただ、いわゆる論理的反対派(法文解釈派と言ったほうが適当だと思いますが)の人が、法案を推進する悪徳商法の仲間であるとの対応は意図していませんでした。(電機屋さんは訪問販売員と関連して書いてますし、ここに対応を見れば、そう読めてしまいすが。)サクラという解釈も示されましたが、意図とは別に結果として悪徳商法に荷担してしまうという事もあると思います。比喩を離れて見れば、an_accusedさんのように法文に則して問題点を指摘しつつも反対派の運動との共同には今ひとつ入れない人もいれば、反対派を揶揄することによって負×負のかりそめの正を味わっているような人など、言説のスタンスは、人様々だと思います。このへんは、ひとまとめにしない方が適当なのではないかと思います。「我々」対「奴ら」の対立、「奴ら」へのレッテル貼り、これは、あらゆるところにあらわれます。感情的拒絶派、隠れ差別者などの「奴ら」へのレッテル貼り、隠れ推進派、工作員などの「奴ら」へのレッテル貼り、こうした相互のレッテル貼りが、「我々」対「奴ら」の対立をますます固定化させてしまいます。不当なレッテルを貼られた事への怒りは、簡単に解消できるものではないと思いますが、この対立の固定化が、法案が通らない方を良しとする人の中で生じてしまったら残念な事です。このへんの集団力学は、陰謀論とも関係して、なかなかやっかいです。自分はIdeocentoricで、政治的な動きにはうといのですが、またあらためて自分なりの考えを述べたいと思います。
返信する
Unknown (民主主義的拒絶派)
2005-04-16 19:20:58
 そうですね。反対活動が分断、対立させられては、得をするのは推進している人、団体ですからね。



 冷静に、冷静に、深呼吸、、、、、。



 最初は私もそう思って、大同団結を呼びかけたのですが、

 大同団結はできなくとも、対立はいけませんよね。なるほど。



 大変よく解りました。冷静にいきましょう。



 ありがとうございました。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。