すんけい ぶろぐ

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是枝裕和「誰も知らない」

2005-10-27 08:19:08 | 映画評
かの男の女性遍歴を鑑みれば、尊敬する人物として、多くの男性は彼の名を挙げざる得ない


「OLD BOY」に続いて、「誰も知らない」を見ました。
別にカンヌつながりというわけじゃないんです。なんとなく。


で、観賞後の感想としては…………なんとも、悲しいと言うよりも、切ない映画でした。

ストーリーは、母親に見捨てられた子供四人が、アパートの一室で自活していくと言う話。

で、当然、子供たちに降りかかる災難や苦労、不幸といったものは、母親が元凶なんですが、この母親が上手なキャラクター設定で、単純に憎めない人間らしい性格となっています。

子供たちを無責任に捨て去っておりながら、それは子供たちが憎いからではなく、子供が可愛いときには子供を可愛がり、男が欲しいときには男を求めて旅立ってしまうという、要するに後先の考えができない、愚かな女性として描かれています(そんため、母親が子供を嫌ってはいないように、子供も母親を好いている)。

その簡単に善悪の二元に分けることの出来ない「人間らしさ」は、全ての登場人物に当てはまることです。

それは、カンヌで絶賛された柳楽優弥が演じる主人公も然り。その兄妹三人も然り。彼らの境遇を知り、手助けはするけれども、根本的に対策を立てようとはしなかった、周りの大人たちも然り。

それだけに、彼ら四人の生活が徐々に崩壊していく様は、どこに原因を持っていくこともできず(まぁ法律的には当然母親ですけれども)、痛切な切なさを持って画面から迫ってきます。(この生活臭を出すためのディティールが、巧みでね)


泣ける…………と言うよりは、子供たちの生活があまり痛々しくて、途中で見るのを止めたくなる、そんな映画でした。


「誰も知らない」というタイトルは、最初は「周囲の大人が気がつかなかった」という意味だと思っていましたが、見終わって分かるのは、「気づいていた大人もいた」ということ。

じゃ、どういう意味なんだ?

主人公の悲しみを「誰も知らない」ということなのだろうか?
(ネタバレになりますが)それとも、「妹が死んでしまった」ということか?
うーむ。


ちなみに。
「OLD BOY」の感想。
パク・チャヌク「OLD BOY」良い映画の特徴としては、大して綺麗でもない女優さんが、見ていく内に、必ず美人に思えてくることだな

後は、子供が出てくる映画と言えば、こんなものも。
張芸謀「あの子を探して」張芸謀を探して -彼はどこに行こうとしているんだ?-
しかし、子供と動物が出てくる映画は、卑怯だね…………。


誰も知らない

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