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ワニの涙

2011-05-14 06:18:40 | 工業団地
ワニの剥製を貰いました。DT君の奥さんの実家でワニの養殖をしているそうです。彼も多少出資して何匹か子ワニを買ったとか聞きいたことがありました。ホーチミン市ではトゥドゥックやメコンデルタのロンスェンでもワニの養殖を見たことがあります。彼の出資したワニ養殖は中国への輸出用だとか。

メコンデルタが虎とワニの住む土地であったのはそう古い時代でもなく、ベトナム戦争中にワニに喰われて死んだという話は何度か聞いたことがあります。M・デュラスの「太平洋の防波堤」の時代には黒豹も生息していたようですし。森が田んぼに替わってしまった今日のメコンデルタでは、洪水で逃げ出した養殖ワニが野生化している程度のようです。

それでも日本人と比べればワニが身近な存在であることには違いありません。



1月に工場で2度目の職場放棄騒ぎが起きた後の面談で女子労働者の中には涙を浮かべて謝罪し、職場復帰を希望する人も居ました。「俺は女性の涙は絶対信用しない、何度も騙された。日本でもベトナムでも」と言ってはみたもののやはり動揺しました。DT君は「ワニの涙かも知れませんしねー」と相槌を打ったものの同じように動揺していることは確かです。解雇はしないが辞めて貰う―これ以外に方針はなく、その場で涙を流されてしまっては例え嘘泣きと疑ってはみても言葉が続きませんでした。

70年代の半ば頃、住んでいた川口のアパートの近くで住民運動があり、それの運動を組織していた医者の大行さんが何の時だったか、「ワニの涙って言葉を知ってるか」と言ったことを思い出しました。たまたま「ワニ」とあだ名の付いた金物屋のオッサンが居たからのことですが。

ワニは捕獲した動物を咬むときに涙腺が刺激され涙を流すそうです。その涙を見て人間があれこれ想像を巡らし解釈するため「ワニの涙」にはそれぞれの地域によって意味は異なるようです。

結局のところワニの涙と疑いつつも涙を流した女性二名は工場に残ることになりました。結果的にはそれを決めた二名の男性が工場を去ることとなったわけで、このワニの剥製には未熟者の男性の悲哀が込められているのかも。



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