常識について思うこと

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選んだ者の責任

2008年01月28日 | 政治

関西で行われた知事選の結果が出ました。前回の知事選に比べると、だいぶ選挙率も高かったようですし、当選者はそのなかで圧勝されたとの報道ですので、それはそれでよかったのだろうと思います。

一方で、当選された方は、昨年の段階で「(出馬については)2万%ない」と発言をされていたのを覚えています。その後、態度を一転させて、十分納得できる説明もないまま「出馬表明」をしたという報道を聞いて、その時日本の民主主義は試されていると思いました。

政治を司る者は、当たり前のことながらそれ相応の責任感ある人間でなければいけないし、当然、その言動には相応しい重みがなければなりません。逆に、一度口にしたことを簡単に覆してしまうような人に対しては、公約やら信念やらを求めることはできませんし、求めてはいけません。出馬表明の報道を聞いた私は、「2万%出馬しない」と言っていたことについて、十分な説明もないまま、それを覆して出馬してしまったというのは、「私は発言や行動をコロコロ変える人間です」ということを、その言動をもって宣言してしまっていると思ったのです。

選挙の出馬を巡る言動というのは、一人の政治家候補として、最も注目されるべきポイントのひとつです。したがって通常、政治家として相応の責任感をお持ちの方々は、そうした質問については、非常に慎重になります。それは政治家としての資質を問われているわけで、単に名前が売れているからとか、人気があるからとかいう問題とは、完全に切り離されなければなりません。選挙の出馬是非を巡る言動というのは、既に一人の政治家として、自分の発言や行動に対して、いかに責任を持てるかということを試されていると言えるわけです。その大切な言動が首尾一貫していないということが明白である人が、仮に選ばれたとしたら、その後、その人の言動が支離滅裂で一貫性がなくても、「それは選挙前から分かっていたこと」と言わざるを得ません。

ただし、もしかしたら選挙活動中、その方は、そうした不信感を払拭するために、懸命の選挙活動を展開されたのかもしれません。それならそれで、良いことだと思います。

また、地位が人を変えることもあります。いろいろなことがありながらも、とにかく選ばれたわけですから、今後、その方が知事として、立派な活動をされることに期待したいと思います。

ただし今後、万が一その方について、政治家としての信義や信頼を裏切る言動が問題になったとしても、それを責めることは、非常に難しいかもしれないことは、念頭に置いておくべきでしょう。そもそも、そうした可能性があった人を選んでしまったのは有権者ですし、最終的には、その有権者にこそ、すべての責任が帰結するということをきちんと理解しておく必要があります。そのことをきちんと理解していれば、安易にその方の知事(政治家)としての問題を、その方だけの問題として、責めることはできないでしょう。

実際に、社会的に責任ある方々が、無責任な言動をしてしまっていることは事実でしょう。また、それを許してしまっている社会システムにも大いに問題があると思います。しかし、だからといって、それらの責任を他者になすりつけるようでは、世の中は一向に変わりません。どんなかたちであれ、またどんな問題を抱えているにせよ、この国の社会システムがひとまず民主主義である以上、すべての責任は私たち有権者にあると考え、自らを厳しく律していきながら、社会を少しずつでも良くしかなければならないと思うのです。

いずれにせよ、まずはその方が、立派に知事としての責務を果たされることを切に願います。

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2 コメント

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言えない理由を想像してみた (クレヨンしんちゃん)
2008-02-01 12:19:49
メディアを通じてなので真意はわかりません。
でも、誠実に見える人なので、「2万%出馬しない」の発言について、ちょっと想像を膨らましてみました。

擁護するつもりはありませんが「言うと、嘘になる」という状況にあったのかな。しかるべき人物に挨拶をする前に表明したら、出馬できなくなる…といった暗黙の何かがあるのでしょうか。

そうだとしたら、発言に責任があったとしても、説明はできない立場にあるのかもしれませんね。
だとすれば、ちょっと納得。
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回答案を想像してみた (sukune888)
2008-02-01 14:06:12
>クレヨンしんちゃんさん
コメント、ありがとうございます。
おっしゃるような事情は、十分に考えられると思います。したがって、ご本人に相当な葛藤があったことは想像しなければいけません。

 -言ってはウソになるかもしれない
 -でも有権者を騙すこともできない

こういう状況で、私ならこう答えると思います。

■私:現時点で、出馬するつもりはありません。
■記者:ということは、今後、出馬することもあり得るわけですか?
■私:今後については何も言えませんし、また何も決まっていません。とにかく現時点では、出馬するつもりがないということしか申し上げられません。

これ以上、受け答えをする必要はないでしょう。

これであれば、ウソはついていないし、できる限り誠実にお答えもしているし、また他の人にも迷惑はかからないと思います。それに万が一、出馬することになっても、有権者を騙したことにもなりません。(「2万パーセント」と言ってしまうと、さすがに「絶対にあり得ない」というニュアンスになってしまい、出馬する可能性があったことを見通せなかった政治家としての落ち度を突かれても弁明できないと思うのです・・・)
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