高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

クロシオキシタバ

2009年07月31日 09時04分05秒 | Weblog
四国中央山地でライトトラップをしたらクロシオキシタバが飛来した。

クロシオキシタバは本州、四国、九州、屋久島に分布している。
年1回7~9月に発生し、幼虫はウバメガシを食べる。

高知県西南部の海岸に近い山ではウバメガシ林が多く、夏にライトトラップをすると2桁飛来することもまれではない。

今回の場所は海岸からずいぶん離れており、標高1,300mのブナ林帯で周辺にウバメガシなどはない。
このような四国中央山地ではライトトラップで単発的に発見されることが時々ある。
これは、移動性が強い種でおそらく海岸付近から風に乗って移動してきたものではないかと考えている。

(撮影:香美市奥物部 2009.7.28)

イシダシャチホコ

2009年07月30日 09時14分24秒 | Weblog
今年出会ったシャチホコガ科でついに70番目となるのはイシダシャチホコである。

シャチホコガ科の中でもやや大型でオレンジ色がかっているところや前翅の幅が狭いため長くスマートに見えるところが気に入っている。

北海道、本州、四国、九州に分布している。
蛹越冬で成虫は年2回発生し、幼虫はハルニレ、オヒョウ、ケヤキなどを食べる。

四国では中央山地で6月から9月にかけて灯火に飛来するが少ない。

(撮影:香美市奥物部 2009.7.28)

ウグイスシャチホコ

2009年07月29日 09時17分21秒 | Weblog
今年出会ったシャチホコガ科で69番目はウグイスシャチホコである。

「ウグイス」という名のついた蛾は、他にウグイスセダカヨトウやウグイスノメイガなどがあるが、これらはウグイス色からきたものではないかと考えている。
しかし、この名は色よりも鳥の方を先に連想してしまう。
どちらにせよウグイスという呼び名はなかなか素敵で気に入っている。

斑紋はスズキシャチホコとよく似ていて正確に判別することは私にはできない。
スズキシャチホコはやや低山地に分布するのに対して、ウグイスシャチホコは四国では標高1000m以上のブナ林帯にのみ分布していること。
スズキシャチホコが前翅の黒い斑紋が濃く全体的に黒っぽいのに対して、ウグイスシャチホコは斑紋がぼやけて全体的に明るい。
特に前翅外縁部が白っぽくなっていることなどがあげられる。

これらのことから、この個体はウグイスシャチホコであろうと思っている。

本州、四国、九州に分布している。
幼虫はブナ、イヌブナを食べる。
四国中央山地のブナ林帯では少なくはない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.7.23)

シロスジエグリシャチホコ

2009年07月28日 09時16分12秒 | Weblog
今年出会ったシャチホコガ科で68番目はシロスジエグリシャチホコである。

前翅側縁が白くなっていて模様がとても美しく、何度出会っても思わず目を奪われてしまう。

北海道、本州、四国、九州に分布している。
年2回の発生で幼虫はカエデを食べる。

四国では5月から10月にかけて中央山地の深山の高地で見られるが少ない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.7.23)

ニッコウシャチホコ

2009年07月27日 08時59分10秒 | Weblog
今年出会ったシャチホコガ科で67番目はニッコウシャチホコとなった。

シャチホコガ科ではやや小型になり、緑色の紋が混じって可愛い。

北海道、本州、四国、九州に分布している。
幼虫はオニグルミ、サワグルミを食べる。

高知県では内陸部(四国山地)やや標高の高い深山で夏にぼつぼつ見られるが数は多くない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.7.23)

明かりに集まる昆虫観察会

2009年07月26日 10時02分36秒 | Weblog
昨夜は須崎市新荘公民館で須崎市企画課による生き物観察会の行事として「明かりに集まる昆虫観察会」があり、講師として出向いた。

公民館正面は新荘川が流れていて、裏手は田園になっているので両面2カ所でライトトラップを行った。

今にも雨が降りそうな空模様だったが、親子38名も参加者が集まりにぎわった。
田んぼに先日農薬散布したことと、周辺環境がいまひとつのためか虫の飛来は少なかったが子供たちはそれなりに虫を見つけて楽しんでいたようだ。
子供たちが次々と捕まえた虫を持って来て「これは何?」と聞くが、蛾以外は専門でないので科程度の答えしかできないのが心苦しい。
専門の蛾についてもメイガなどのミクロとなるとこちらも答えに窮する。

子供たちの望むクワガタムシやカブトムシは飛来しなかったが、帰りに先日別の場所でつかまえたミヤマクワガタ♂をプレゼントすると大喜びしてくれた。

虫に関心の高い大人も数人いてうれしい思いがする。
解散後残った虫はわずかでほとんど撮影できていないが、種類のまとめは後日改めてブログ「高知の自然2」で紹介します。

(撮影:須崎市 2009.7.25)

ニトベシャチホコ

2009年07月25日 10時18分53秒 | Weblog
今年出会ったシャチホコガ科で66番目はニトベシャチホコである。

前翅基部近くに黒い大きな紋があり、その周囲が赤褐色で囲まれている。
はねを閉じて止まると左右の紋はつながり巨大な紋になってとても目立つ。
からだはシャチホコガ科の中で大きいといえるほどではないが、この紋があるために何だか大きく感じられ「どうだ、どんなもんだい」と威張っているようだ。
天敵に対して目くらましの役目があるのかもしれない。

北海道、本州、四国、九州に分布している。
幼虫はズミ、カマツカを食べる。

四国では深山で灯火に飛来するがやや少ない。

(撮影:瓶ケ森林道 2009.7.23)

カゲロウのすべて

2009年07月24日 14時51分17秒 | Weblog
2冊目の購入本は同じくトンボ出版の「カゲロウのすべて」である。

注文して取り寄せたためその時点で中身はわからない。
書店から持ち帰り、開いて見て少しがっかりした。

それはカゲロウの成虫の同定に役立たせたかったからである。
ライトトラップで飛来するカゲロウ成虫の種名を調べるのに使いたかったのだが、
それについてはほとんど記載がない。

もちろんカゲロウの生態も知りたかったので、それについては勉強になる。
内容は小中学生のための入門書といったもので、素人でも理解しやすいようにまとめている。

毎年、夜灯火に飛来する昆虫観察会などによく呼ばれるので、子供たちに解説するには役立ちそうである。
全56ページ、1890円でカラーページが少ない点はやや高価に感じる。

幼虫の検索図がついているのはありがたいが、成虫の検索図もほしかった。
カゲロウは世界で1,500種、日本では約100種ほど知られているようだ。
カゲロウ、カワゲラ、トビケラ成虫の詳しい図鑑がほしいと常々思っているが、この仲間はまだまだ研究が進んでいないのだろう。

ふんコロ昆虫記

2009年07月23日 10時43分56秒 | Weblog
蛾の写真ばかりしばらく続いているのでここらで少し休憩して、最近購入した2冊の本を紹介してみます。

まず最初はトンボ出版の「ふんコロ昆虫記-食糞性コガネムシを探そう-」である。
日本産フン虫160種類をカラーで紹介していて分類、地図付きの分布、どの動物のフンを好むか嗜好、採集記、採集方法、標本作製法などが詳しくわかる。
普段フン虫はほとんど集めていないが、この本を見るととても興味深くハマってしまいそうになる危険性も含んだお勧めの本である。

2009年7月10日発行、B5版176ページ(内144ページカラー)で、図鑑としても役立ち定価2100円と金額的にも比較的安価ではないだろうか。

アカシャチホコ

2009年07月22日 09時45分39秒 | Weblog
今年出会ったシャチホコガ科で65番目はアカシャチホコである。

ライトトラップをしているとき、気がついたらいつの間にか服に止まっていた。
この濃いオレンジ色はとても美しくよく目につく。

本州、四国、九州に分布していて、幼虫はマンサクを食べる。

四国では標高1000m以上の中央山地のブナ帯で見つかるが数はとても少なく年間1頭でも見つかったらラッキーといった程度である。
高知県ではレッドデータに指定されている。
以前はアカシャチホコにあこがれてずっと探してどうしても見つからなかったが、2001年に初めて出会ってとても感激した記憶がある。
それ以降はぼつぼつ見つかるようになってきた。

図鑑を見ると年2化で5~6月と8~9月に出現するという。
現在手元にある7頭の四国の標本をみると、6月、7月、8月に記録している。

(撮影:徳島県剣山 2009.7.18)