
こちらも一連の流れの中でリリースされたBuzz発コンピレーション。詳しい製作経緯は分かりませんが、前3作のようなレーベル系のコンピではなく、今回の企画で最初に紹介したVirtual Sexと同じようにエクスクルーシヴ楽曲で構成された一枚です。収録曲にデリック・メイやカール・クレイグの曲がないため、初見ではいまいち地味な印象を抱いてしまいがちですが、コンピ自体の完成度は意外にもかなり高く、特にアナログでのA面にあたる前半4曲は完璧。アーティスト名が変名だらけなので分かりにくいですが、M-1のRainforestはジョン・ベルトラン、M-2のThe Pathはダン・カーティン、M-3のSerena "X"はケニー・ラーキン、M-4のDimensionsはホアン・アトキンスの作品です。いずれ劣らぬ素晴らしい出来になっていますが、そんな中にあって個人的に注目したいのはデトロイトテクノのオリジネーターであるホアン・アトキンス。サイボトロン~Model 500の諸作を聴いた印象から、ヴォコーダー交じりの無骨なテクノを作る人という固定観念を持っていましたが、本作ではそんなイメージとは180度異なるインテリジェントなピュア・テクノを披露。この手の繊細な音作りのイメージがなかったため、初めて聴いたときは驚いたものです。初級者(≠初心者)以上のデトロイトテクノ・リスナーなら、正直この一曲のためだけに買ってもお釣りが来る一枚かと思います。一連のBuzz作品の中では比較的相場も落ち着いているため、見つけることが出来れば国内盤の新品CD一枚買うくらいの値段で手に入るはず。ちなみに同時期にリリースされた、カール・クレイグによるSerena "X" (Inner Zone Mix)は数ある彼のリミックス・ワークの中でも最高峰と呼べる作品のうちの一つ。あいにく本作には収録されていませんが、こちらは後にいくつかのコンピでCD化されているため、合わせて聴いてみるとよいと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます