ずっと気になっていた場所に、先日ようやく行ってきました。
昨年この世を去った村岸宏昭さんが、
かつて〈面〉の第二号に寄せた文章で記していた場所。
以下、その文章の冒頭部分を引用します。
豊平川は雁来の近く、環状北大橋から下流に向かって少し歩くと、
低水護岸というものがあります。
ここは、複雑な形の河川敷に植物が覆い茂って出来た場所です。
防波が施され、小さな湾のようなものが出来ていて、
静かになった水面の近くまで広くなだらかな傾斜がつけられています。
この文章で彼は、
そこに記された場所に読者各人が赴き、
靴を脱いで耳を澄ますという一連の行為そのものを、
一個の楽曲として提示しています。
まずは指定どおりに靴を脱ぎ、
水の流れを素足で感じてみた私ですが、
9月末の水はさすがに冷たく、やっぱり遅いよね、来るのが、と一人苦笑い。
それから石段をのぼって腰をかけてみると、
まるで無人の劇場でひとり、川の流れる映像を眺めているような、
いささか不思議な感覚に。
車道を行き交う車の音が背後、ないし頭上からかすかに聞こえてくるのが、
かえって水音の清澄さを際立たせるようにも思いました。
どうしてもっと早く来なかったのか、と、つくづく自らの怠惰にあきれつつ、
また来ます
と無言の挨拶を交わして帰路につきました。
posted by 堀マサヒコ
昨年この世を去った村岸宏昭さんが、
かつて〈面〉の第二号に寄せた文章で記していた場所。
以下、その文章の冒頭部分を引用します。
豊平川は雁来の近く、環状北大橋から下流に向かって少し歩くと、
低水護岸というものがあります。
ここは、複雑な形の河川敷に植物が覆い茂って出来た場所です。
防波が施され、小さな湾のようなものが出来ていて、
静かになった水面の近くまで広くなだらかな傾斜がつけられています。
この文章で彼は、
そこに記された場所に読者各人が赴き、
靴を脱いで耳を澄ますという一連の行為そのものを、
一個の楽曲として提示しています。
まずは指定どおりに靴を脱ぎ、
水の流れを素足で感じてみた私ですが、
9月末の水はさすがに冷たく、やっぱり遅いよね、来るのが、と一人苦笑い。
それから石段をのぼって腰をかけてみると、
まるで無人の劇場でひとり、川の流れる映像を眺めているような、
いささか不思議な感覚に。
車道を行き交う車の音が背後、ないし頭上からかすかに聞こえてくるのが、
かえって水音の清澄さを際立たせるようにも思いました。
どうしてもっと早く来なかったのか、と、つくづく自らの怠惰にあきれつつ、
また来ます
と無言の挨拶を交わして帰路につきました。
posted by 堀マサヒコ