H学園大にて、後期最初の講義。
宗教学(概論的なもの)の第一回は、簡単なガイダンスの後、
あまりこちら側の考えを入れないうちに、
まずは「自分の中の辞書を開く」という作業をしてもらうことにしています。
誰しも持っているはずの、自分の中の辞書。
その中の、「宗教」という項目に、何が書かれているか。
宗教のことは何も知らない、と言う人は多いですが、
良くも悪くも、その項目が全くの白紙ということはないものです。
ならば定義はできるはず、ということで、
各自、「宗教とは・・・である」という文をいくつか作ってもらい、
あてられた人にはその中のベストと思えるものを黒板に出て書いてもらう、
ということをしています。
最初は必ず困惑した表情を見せ、すぐには立ち上がろうとしない学生たちですが、
一度に10人くらいずつ出てもらいますので、
だんだんスムーズに進むようになります。
これは実に楽しい。
よく、宗教の定義は宗教学者の数だけある、
と言いますが、
それを言うなら宗教の定義は宗教という言葉を使ったことのある人間の数だけある、
と言ったっていいじゃないか、と思うのです。
で、学生に書いてもらって出来上がったのが、
写真のような黒板一面の「定義」集です(読めないと思いますが)。
正解、不正解はない。
それぞれが「宗教」をどういう角度から見ているかを示している点で、
どれも面白いのです。
ただ、学問的に使いやすいかどうかはやっぱり、ある。
たとえば「宗教はアヘンである」は、興味深い見方ではありますが、
学問的な定義としては使えません。
その辺りのことを話して、次回から本格的なスタートになります。
これからの講義を通して、
それぞれの中の定義が変わるのか、変わらないのか。
それも、楽しみなところです。
posted by 堀マサヒコ