すぎな野原をあるいてゆけば

「おとのくに はるのうた工房」がある

冬の断面

2015-05-21 12:25:33 | 短歌
切り口は空に向けよう おいで雪おいでヒヨドリひかる果実に

雪雲を照らす蜜柑の断面は(ヒカリグルマだ)ゆっくりまわる

 『光車よ、まわれ』(天沢退二郎)で、一郎がつくるシチュー。

輪に切られ水にしずんでゆくときにゆらりと月になる野菜たち

ほんとうの星のかたちは重なってとろとろ地平線とけてゆく

川沿いの防犯灯のナンバーは西へゆくほど増えるのでした

モズならばなにか刺したいような木をさがしてミノムシだけをみつける

人間のつくるはやにえ 空を指す枝に片方だけの手袋


(「未来」759号 2015.4月)




バス停に結ばれているスカーフは春からずっと待っていた色


という歌を歌集に入れましたが、こういうのを「善意のはやにえ」っていうんだって~


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