今日は
兵庫県立国際高等学校へ。小生と高校側の双方の都合で1ヶ月ほど空いてしまいましたが、講義の連続性はなんとか保ちたいものです。小生が居ない間、担当の先生が「失敗国家ランキング」なるものを生徒さんに紹介していたので今日はそれをネタに書こうと思います。このランキングは、2006年にアメリカのシンクタンクの一つである
The Fund of Peaceが発表したものです。
失敗国家(failed state)とは「国家機能を喪失し、内乱・政治腐敗などの原因によって国民に適切な行政サービスを与えることが出来ない状態にある国家」を指す政治学用語とされていますが、国際法の分野でもいろいろと言及されるようになって来ています。例えば、PKOを始める時に領域国政府の同意が必要である、という「同意原則」があるのですが、政府が存在していない場合、平和維持活動をはじめることができないということになってしまいます。
失敗国家はアフリカなどの後発開発途上国で発生し、深刻な国際問題となっているのですが、各々の国家がどれだけ失敗しているかは以下のとおりです。
1位 スーダン
2位 コンゴ民主共和国
3位 コートジボワール
4位 イラク
5位 ジンバブエ
6位 チャド
7位 ソマリア
8位 ハイチ
9位 パキスタン
10位 アフガニスタン
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57位 中国
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123位 韓国
124位 ドイツ
125位 スペイン
126位 スロベニア
127位 イタリア
128位 米国
129位 フランス
130位 イギリス
131位 ポルトガル
132位 チリ
133位 シンガポール
134位 オランダ
135位 日本
136位 オーストリア
137位 デンマーク
138位 ベルギー
139位 カナダ
140位 オーストラリア
141位 ニュージーランド
142位 スイス
143位 アイルランド
144位 フィンランド
145位 スウェーデン
146位 ノルウェー
・・・やはり北欧諸国は頑張っていますね。
そしてランキングを決定する指標としては、12あるようで、
①人口圧力の増大(Mounting Demographic Pressures)
②難民および国内避難民の大量移動(Massive Movement of Refugees and IDPs )
③集団としての不平不満が残っており、復讐への動機が残っていること(Legacy of Vengeance - Seeking Group Grievance )
④慢性的および継続的な現実逃避の状況(Chronic and Sustained Human Flight)
⑤経済発展の不均衡(Uneven Economic Development along Group Lines )
⑥経済状況の悪化(Sharp and/or Severe Economic Decline )
⑦国家の犯罪化もしくは非合法化(Criminalization or Delegitimization of the State )
⑧公共サービスの悪化(Progressive Deterioration of Public Services )
⑨大規模人権侵害の状況が存在していること(Widespread Violation of Human Rights )
⑩国家の状態を反映する治安維持組織の状況(Security Apparatus as "State within a State)
⑪利己的エリート層の台頭(Rise of Factionalized Elites )
⑫他の国家または外部の主体の介入があるかどうか(Intervention of Other States or External Actors )
指標の設定の仕方によって順位が微妙に変わってくると思いますが、これはこれで国際社会の現状をよく表しているのではないでしょうか。ところで、日本は135位にランクインしていますが、決して「成功」しているとはいえない現状があるようにも思います。