研究日記

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地方公務員法第34条

2006-11-03 | 係長試験塾
(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。
3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

★一項の「職務上知り得た秘密」は二項の「職務上の秘密」より範囲が広い。「職務上の秘密」は当該公務員の所管に属する秘密を意味する。「職務上知り得た秘密」は、職務を行う上で知ることのできた行政客体側の個人的秘密を含む。つまり、広い範囲で秘密を漏らすことが禁止されているが、所管に属する秘密については一定の場合において発表することができる。

★形式的に秘密の指定しただけでは足りず、秘密とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるものをいう。(最高裁判決昭和52年12月19日)

★本条の違反について、罰則がある。

●地方公務員法---------------
(罰則)
第六十条 左の各号の一に該当する者は、一年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。
二 第三十四条第一項又は第二項の規定(第九条の二第十二項において準用する場合を含む。)に違反して秘密を漏らした者

第六十二条 第六十条第二号又は前条第一号から第三号まで若しくは第五号に掲げる行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、そそのかし、又はそのほう助をした者は、それぞれ各本条の刑に処する。
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★税務職員に対しては、地方税法により重い罰則の定めがある。

●地方税法-------------------
(秘密漏えいに関する罪)
第二十二条 地方税に関する調査に関する事務に従事している者又は従事していた者は、その事務に関して知り得た秘密を漏らし、又は窃用した場合においては、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
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★法令による証人、鑑定人等となる場合には、次のような例がある。(1)民事裁判所における証人、(2)民事事件の鑑定人、(3)民事裁判所における鑑定証人(以上、民事訴訟法)、(4)刑事裁判所における証人、(5)刑事事件の鑑定人、(6)刑事裁判所における鑑定証人(以上、刑事訴訟法)、(7)国会における証人(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律)、(8)地方議会における証言、書類の提出を求められた場合(地方自治法)、(9)人事院における証言、書類の提出を求められた場合(国家公務員法)、(10)人事委員会または公平委員会における証言、書類の提出を求められた場合(第8条第5項)。大まかに言えば、裁判所、議会、人事機関においてである。

★任命権者が許可を与えないことができる場合は、次のような例がある。

●刑事訴訟法----------------------------
第百四十四条 公務員又は公務員であつた者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関するものであることを申し立てたときは、当該監督官庁の承諾がなければ証人としてこれを尋問することはできない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒むことができない。
第百七十一条 前章の規定は、勾引に関する規定を除いて、鑑定についてこれを準用する。
第百七十四条 特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定によらないで、前章の規定を適用する。
●議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律----------------------------
第五条
2 当該公務所又はその監督庁が前項の承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。その理由をその議院若しくは委員会又は合同審査会において受諾し得る場合には、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
3 前項の理由を受諾することができない場合は、その議院若しくは委員会又は合同審査会は、更にその証言又は書類の提出が国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明を要求することができる。その声明があつた場合は、証人は証言又は書類を提出する必要がない。
●地方自治法----------------------------
第百条
4 議会は、選挙人その他の関係人が公務員たる地位において知り得た事実については、その者から職務上の秘密に属するものである旨の申立を受けたときは、当該官公署の承認がなければ、当該事実に関する証言又は記録の提出を請求することができない。この場合において当該官公署が承認を拒むときは、その理由を疏明しなければならない。
5 議会が前項の規定による疏明を理由がないと認めるときは、当該官公署に対し、当該証言又は記録の提出が公の利益を害する旨の声明を要求することができる。
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★国家公務員についても類似の規定が置かれている。

★しかし、国家公務員法上は人事院における陳述、証言については何人も許可を受ける必要が無いこととされているが、地方公務員法にはそのような規定がないので、人事委員会又は公平委員会の調査、審理等に関しては任命権者の許可が必要とされる(行政実例昭和26年11月30日地自公発531号)

●国家公務員法--------------
(秘密を守る義務)
第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
○2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
○3 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
○4 前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
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★許可の要不要と不許可の場合を整理すると以下のようになる。
民事    →許可が必要
刑事    →許可が必要:許可を与えないことができる場合がある
国会     →許可が必要:許可を与えないことができる場合がある
地方議会  →許可が必要:許可を与えないことができる場合がある
人事院   →許可が必要無い
人事委員会→許可が必要

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