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禁断の整備。。。。?

2013-02-27 15:10:33 | DUCATI Monsterの整備

もう旧車の仲間入りのDUCATI 400 Monstar 一連の整備も終盤戦となり

 ドカ特有のタイミングベルトのチェックをすることにしました。マニュアルでは20,000kmごとに交換となっています。走行距離はもう26,000km過去の整備歴が不明の為必要なチェック項目となります。

4サイクル車はピストン・クランクシャフトと連動してバルブの開閉を行っています。この駆動には通常耐久性の高いチェーンが用いられますが最近の4輪車は殆どがケブラーや合成ゴムなどのベルトになりました。2輪でタイミングベルト採用はとても珍しい機構です。

 ドカはレースを強く意識した設計コンセプトで整備性や軽量化、、構造の簡素化などの理由で様々なフィードバックが市販モデルに反映されています。

 なぜこのタイミングベルトを私が気にするのか。。。。 これが切れたり山飛びすると(突然にくる。。。)ピストンが上死点にきてもパルブが後退せず凄まじい衝撃で衝突します。。。。ピストンヘッドに穴が開いたりバルブが破壊されたりとエンジンに甚大な損害が発生します。タイミングベルトが切れなくても適正なテンションが掛っていないとベルトの長さが適正でなくなり各駆動ギアのタイミングがずれ効率の良い燃焼サイクルを阻害する事になるからなのです。正規のテンションに調整する事でパワーも増加するはずです。

 走行中のエンジンロックでは同時に後輪がロック状態になり極めて危険なのです

20.000kmごとの交換と定期的なテンション調整が必須です重要な部品の為10,000kmで交換してしまうユーザーも多いようです。ドカユーザーを悩ますこの整備には高い部品代と作業料金がかかります。。。

 整備する楽しみをプロの方に譲ってはいかん。。。出来るとこまで自分でがモットー

 カバーを開けて外観チェックから始めてみました。。。

 おやっ 新しいか? ベルト表面の印刷も字も綺麗で油脂の蒸着もありません。。26,000kmを経過したベルトには見えず定期交換されていたようです。こりゃラッキーだった。。

 テンションは緩めで調整が必要なレベルです。 このテンション調整の難しさがアマチュア整備を遠ざける大きな原因なのです。

 ベルト上の指定個所をはじいて音を観測し専用機器で110Hzに調整(新品)と調整方法が決められています。専用機器は個人では購入できずもし出来たとしても50万とか。。。

 方法1 周波数の測定なら他にも方法があります。周波数カウンターやFFT(高速フーリエ変換 音圧と周波数の関係を連続して観測できるスペクトラムアナライザー) 

 iPhoneアプリ¥2200 表示画像では800Hzのモールス音を測定中 

 通常オーディオ帯域の観測では連続した音を観測しベルトをはじくポップ音を観測するにはちょっと工夫が必要でピークホールドやトレースといった機能が便利となります。FFTでは測定周波数範囲のすべてを観測するため目的外の音も連続して観測表示するので一瞬の音の観測がしにくいです。。しっかり見ていないといけませんzzz

iPhoneアプリ ¥380 ピーク周波数に赤丸でホールド表示がある。アプリ自体はノイズ測定用で音圧の測定が主 タイミングベルト調整周波数域では分解能が粗く上記FFTと比べると見劣りします価格差を考えればチェック用には良いかもしれない。

 人間の聴覚は目的の周波数に絞って聞き分ける便利なフィルターを装備しています。機械は一様にすべての音を観測し今回のような測定法ではむしろ人間の聴覚で比較したほうが簡単にできるかも知れません。。方耳で110Hzを聞き他方でベルトのポップ音を聞き比較する方法です。。。。。。

 方法2 iPhoneアプリで信号を発生させアンプで増幅した音を両耳で比較してみます。楽器のチューニングアプリ等110Hz近辺の信号が出せれば何でもよい。(90,95,100,105、110Hzあたりが必要)ベルト側ポップ音の聴取には簡単でもアンプで増幅すると楽なはずです。ベルト近くに耳を近づけてはじく。。。やってやれない事はないかもしれない。。 ベルトの音を拾うためにヘッドフォンアンプとマイクアンプ(100倍増幅)秋月電子KIT¥500

方法1,2とも計測側にはコンデンサーマイクが使われており通常あまり低域の周波数特性がよくありません。。。シグナルジェネレーター出力でのテストでは動作しています。

 方法3 他に海外の整備例ではベルトとローラー間に6mmアーレンキーがぎりぎり通過するようにとかベルトをネジって45度傾く張り。。。とか諸説があります。。(みんな苦労してるんだ。。)方法1、方法2の確認がすんだら試してみる事に。。。 手の感触でテンションを張り具合を会得するには整備回数が少なすぎます。。。しょっちゅうやってないといけません そんなにやらんよ!

 作業

 1)バイクスタンドで車体を固定する。。安全対策とギアを5速に入れ後輪を回してピストン・バルブ位置を圧縮上死点に。。ベルト駆動ギアの合いマーク位置で調整するためです。

  事前に燃料タンクを整備位置にする前には指定量(5L)までガソリンを抜いて移しておきます。プラグを外し圧縮をなくしておく(後輪を回転させ合いマーク位置に合わせる為)

2)3箇所の合いマーク(ホリゾンタル側ギア・バーチカル側ギア・ドリブンギア)とベルトにマーキングし合いマーク間のベルトの山(谷)数を記録する。これでベルトを外しても山の掛け違いなどの間違いがなくなります。ベルトを交換するときは旧ベルトを新ベルトに重ねマーキングをコピーし山(谷)数を同じにします。

ホリゾンタル側合いマーク位置

クランクシャフト ドリブンギア合いマーク位置

バーチカル側 合いマーク位置

3)テンショナー固定ボルトを緩めテンションを調整 仮止めして周波数を測定する

テンションアジャスター

周波数測定 新品ベルトでは110Hz指定 初期の伸びを経過している事から今回は100Hz前後に調整した(サービスデータ値ではありません)

FFTでの周波数観測後 ローラー・ベルト間を6mmのアーレンキーを通過させ抵抗具合を調べる。。力加減の表現がむずかしく少し押し込んですっと通るzzzz

4)ホリゾンタル・バーチカル側ベルト共に調整が終わったらトルクレンチ30Nmでボルトを締め付ける 超固く締まっていました

5)後輪を手で回してクランクシャフトを回しパルブ・ピストンの運動に異常がないか確認します。スタンドで立てなくても多少位置あわせに時間は掛かりますが問題なく作業ができます。

 結論 今回はベルトを交換しませんでしたが同じ手順で交換が可能です。。上死点位置の合いマークをあわせベルトのマーク間の山数を新品ベルトにコピーする事で間違いのない作業が出来ると。。。。 テンション調整は2種のFFTを主に使いました。整備場所は交通量が多くノイズを測定し目的のピークを見極めるのに苦労しました。。。一端ピークを見つけてしまえばそこを重点的に監視し調整できます。

 FFTでの測定後 シグナルジェネレーターで100Hzを生成しアンプとマイクでベルトポップ音を聞き比べました。音質の異なる二つの周波数を聞き比べるのも結構大変。。。

6mmアーレンキーのローラー・ベルト間の通過抵抗  すべての調整が終了後試してみましたがこれだけでの調整は熟練の感覚を要し測定誤差が大きく一般的でない事がわかりました。

 バイク乗ってる時間より整備している時間が多い。。。。まあどちらも楽しいのでいいのです。

 あと残っているのはキャブレーターのみとなりました。。。楽しみは先にとっておきましょう

 それなりにでも動いているので余り無理したくない気もある。。。。

 

      まだまだ続く ドカ整備

    


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