144Mhz帯はメインバンドではなく現用アンテナ以外のビームアンテナを処分してしまいました。。そんな後に気球からのビーコン受信実験が。。。。。orz
実験詳細は公開の許可を取っていない為割愛いたしますが高高度に上がった気球から微弱電波で送られるデジタル信号を受信するもの。。。
放球地点は静岡県。。。。当方のAWX144・430アンテナは信号源からは建物の影になる為廊下側のデュアルホイップを使いました。。。 廊下側窓枠設置のアンテナは見通しウインドウが狭く微弱電波の受信には厳しい状況です。もとより直接波を狙った設置ではなく周辺ビル群へ高出力電力をぶつける反射波狙いのアンテナではあるのですが。。。超微弱電波は建物反射では減衰してしまう。。
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少し本題からそれますが気球のデータを送信する装置は免許不要の微弱電波使用。。。
幾つかの疑問が浮かびました。、。。
1)アンテナは40cm程度のホイップのようです。詳細も取り付け法もわかりませんが1本だけの様です。。。国家試験にも出題される空中線の基礎。。からすると1/4λ(と仮定して)は接地型アンテナで大地をイメージアース(カウンターポイズ)として動作します(言い方を変えるとアース無しでは動作しません)。インピーダンスはDPの73Ωの1/2 36.5Ω。 車や宇宙船のような金属アースグランドがあれば良好に動作します。V・UHFハンディー機では人体や地表を静電的にアースとして使っています。 ところが高高度の気球となるとアースは機器の配線と筐体のみで144Mhz帯としてはアース容量が不足しているのでは。。。。。?
やはり最も軽量で目的に合うアンテナは垂直ダイポールでしょう。。。エレメント方向に主放射があるので垂直系はこのような実験には有利で衛星のような回転運動やドプラー効果も気球の場合無視できます。。微小電力であればアンテナの線径は問題とならないので同調する長さの極細のワイヤーを2本使うだけで目的は達せられます。。。むしろ市販アンテナは不適だろうと思う。。。実験主催者もこの認識はあるようですが微小電力を無駄に消費させる事は実験の結果そのものにも良い影響はないのでは。。。。。航空機搭載機器や宇宙船搭載機器はg単位の重量制限があるので送信電力をセーブして(=電源エネルギーの節約)アンテナの設計に重きがおかれます。
それでも狭帯域スペクトラム拡散式のデジタルは凄い。。。30km上空から受信できてしまうのだから。。。。
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目的の電波は受信こそ出来たものの安定したものではありませんでした。次回に参加できるかは不明としても指向性とゲインのあるアンテナを用意して置きたいとの思いから製作することにしました。(本末転倒)
HB9CVとはこのアンテナの開発者であるアマチュア局のコールサインHB9CVが名称として使われています。歴史的に無線通信の研究と実験に勤しんできたアマチュア無線家の発明したアンテナは多く他にもT2FD、ZLスペシャル、8JK、ヘンテナ等々枚挙にいとまがありません。
HB9CVは2エレメント同時位相差給電で2エレ八木アンテナよりコンパクトで3エレ八木以上の性能を示しアマチュアには人気があります。動作原理は複雑で調整が難しい部類で業務無線のアンテナとしては採用されません。その理由は高性能ながら万一の故障や不具合ではメンテナンスに手間が掛かるためと言われています。八木アンテナでも似たようなものだと思いますが。。。
さて気球ビーコンの受信に便利とする為にはあまり鋭い指向性があると信号を見失い追跡できない可能性があります。これは送信される電波が極めて微小でデジタル変調のためSメーターやビート音でピークを確認できないからです。
主方向へのビームがブロード且つゲインがあってコンパクト。。。。やはり3エレ八木か2エレHB9CVあたりが良さそうです。移動運用にも便利なように折り畳み式で軽量。。分解不要なのは再調整が要らず初期に調整を済ませると後は不要になります。この観点からガンママッチよりはヘアピンマッチが便利。。。。
ビームアンテナの威力は経験してみないと中々実感が湧きませんがアンテナは無線通信においては極めて重要なファクターで業務無線よりはむしろアマチュアの方がこの点を大事にしています。業務通信ではノイズレベルギリギリの信号など追いかける必要がないからです。アマチュアは限界にチャレンジするのは日常です。
マッチングとは。。。
アンテナ固有の性能を期待する時、必ずしも送受信機インピーダンスと同じくなりません。つまり50Ωのフィードラインや機器インピーダンスと整合しません。そこでアンテナ固有インピーダンスが50Ω以外では適切なマッチング回路が必用となります。この方法にも沢山種類があり、ガンママッチ、Qマッチ、Tマッチ、ヘアピンなどなど。。。。
今回はこのヘアピンマッチを試しました。。。コの字型の部分がインダクタンスとキャパシタンスを形成しアンテナ自体の持つインピーダンスと機器との整合をします。HB9CVでは二つのエレメントを同時に励振するので2個必用。。。またHB9CVでは多少自己平衡作用があるので八木アンテナの様な平衡・不平衡問題が顕著ではありません。念の為に同軸のコネクター付近にはフェライトを挟みソータ型バランとして取り付けて置きます。。(この周波数でのトロイダルコア・バランは難しい)
二つのエレメントを同時にドライブするとお互い打消しあってしまうため位相差を与え二つの給電エネルギーが相乗的に一方向に収束するよう。。。それがX型に交差するクロスフェーズラインです。
製作は他の方の製作データを参照しMMANAにてシミュレーション。。。寸法を守り作ります 430Mhzや1200Mhzに比べれば楽な製作です。元記事↓
http://blog.goo.ne.jp/jo7tcx/e/eeab7f7c8d1be71beaaf1c13df9e5b4e?fm=entry_awc
心臓部はやはりヘアピンマッチング部、アルミパイプでは曲げが難しいので5mmアルミ棒を使いました。バイスで固定し直角に簡単に曲がります。寸法通りに曲げるのは以外に難しく1箇所目を曲げたあとの二箇所目は寸法内で曲がる事を確認します。二つのへアピン部が同一寸法である事も重要です。
マッチング部をブームに固定する為に2mmタッピングビス用1.5mm穴をあけABS樹脂板に固定します。他に固定する方法があればそれでも問題ありません。要は電気的長さが重要
フェージングラインも5mmアルミ棒で2本作ります。。電気的にはビニールコードでもOKですが強度保持にはアルミ棒がいいです。
今回はマストクランプを木板で作りアンテナ仰角機構を設けました。
エレメント
参考にした製作者は伸縮ロッドアンテナを採用していましたが使用の都度長さを調整しなければならずロッドアンテナは昨今安い部品で無くなった為2mmステンレス棒を採用しました。このステンレスエレメントと折り畳み機構のお陰で倒しても壊れないアンテナとなりました。。エレメント先端は怪我防止の為に調整ご保護キャップが必用です。
ステンレスエレメント先端を曲げループを作りフェーズライン、給電ラインと供締めします。
給電部。。 同軸ケーブルを直接でも問題ありません。当方はM型コネクターを付けました。
調整
組み立て後に調整できるのはエレメント長だけです。まずはVSWR特性を測定してみます。思わしくなければエレメント長を数mm単位で調整、、HB9CVでは1箇所エレメントの長さを変えるとすべてのエレメントに影響がでるのでラジエーター、反射器の順にカットアンドトライを行います。また両エレメントに差があると二相性のVSWRのトラフ(谷)が現れる事があります。
VSWRと共にFB比と放射パターンを電界強度計で測定します。(今回は暑さのあまり実施せず。。。。)参考までにMMANAのシミュレーション結果を。。。
もしここで結果が満足する値にならなければエレメント間隔なども見直す必要があります。このアンテナの構造上それは作り直しに等しい大変な作業となります。。。所詮2エレのアンテナで鋭いビーム幅や限界値に近いゲイン、FB比の追及は使用目的からしても必要でないかも知れません。。。(本末転倒)
製作に要する材料はすべて安価にホームセンターなどで揃うものばかりです。特殊なものは一切使用していません材料費も¥1000~¥1500でしょう。。。。
当方の製作ではエレメント調整なしで作りっぱなしで所定の数値がでました。寸法を守って正確に部品を作ると再現性はいいかもしれません。