Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

上田交通別所線、別会社で存続へ。

2005-06-04 05:57:39 | 鉄道(地方・専用線など)
長野県上田と別所温泉を結ぶ上田交通別所線。
既に路線存続のために上田市が安全対策として3年間で2.68億円の公的支援をすることで昨年12月に同社と協定書を締結して公的補助を行っているが、今後も存続させるために別所線を分社化する方針が上田市に示された。

「上田交通別所線、別会社化へ」(朝日新聞長野版)

新会社の設立は10月1日を予定し、今月22日に開催される株主総会で提案される予定。
まだ新会社の資産及び経営の見通しは示されていないが、鉄道部門単独では収支が見込めないため、鉄道部門に関連する別の収益事業を一緒に新会社に移行させて安定的な経営を確保して別所線の存続を目指すという。

上田交通側の動きに対して上田市は「別会社化して別所線が存続可能かどうかを慎重に検証し、その上で新会社への公的支援を継続するか検討する」という。

上田交通といえば、京福電鉄(福井)の列車正面衝突事故以降、国から求められるようになった安全投資の原資が捻出できないとして、沿線自治体の公的支援がなければ廃止せざるを得ないとまで表明した経緯がある。
この件は前述のように公的補助を受ける形で決着したが、今度は鉄道会社の経営努力が表面化したことになる。

分社化の目的は硬直化している従業員の給与見直しだろうと思う。
給与体系を見直して人件費を引き下げることでコスト削減に繋げることは出来るが、従業員の意欲低下に繋がりかねない側面を持つ。
そのあたりをどう考えているのだろうか、関心がある。
また、分社化する事でトップと現場の距離を縮めて意思決定のプロセスを短く・早くしようという狙いもあるのではないか。

もう一つの関心は新会社へ継承される「鉄道関連の収益事業」が何か、という点である。
不動産部門の一部が継承されるのだろうか。例えば、沿線の駐車場賃貸部門などが新会社へ移行するのだろうか。
いずれにせよ、存続に向けた企業努力がどう評価されるかが注目される。

この記事を書くにあたって上田交通のHPを見ると、ここの主力車両である7200形1本にかつての主役であった「丸窓電車」を模した「まるまどりーむ号」の運転時刻と「まるまどりーむ号」の記念乗車券が発売されている旨が掲載されていた。
1500V昇圧と同時に引退した「丸窓電車」を1500V対応化して沿線を走る姿というのも見てみたい気はするが、確かにレトロではあるが、改造に要するコストと手間、観光客の呼び込みに繋がる可能性を考えていけば夢想の域を出ない。
次善の策としてラッピング電車、という案に至ったのかなと考える。

そういえば、上田交通を訪れたのは、もう10年以上前の話になる。
この時は別所温泉駅の駅舎を撮りに行くのが目的だった。
「まるまどりーむ号」も走っている事だし、今度は沿線でカメラを向けることができればいいなと思う。

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