Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

「岐阜地区新鉄道設立準備室」の軌道事業特許申請、受理される。

2006-05-27 06:23:35 | 鉄道(岐阜の路面電車と周辺情報)
岐阜の路面電車復活を目指して関市の「サン・ストラッセ」を中心として組織する「岐阜地区新鉄道設立準備室」。

岐阜地区新鉄道設立準備室が中部運輸局に軌道事業特許申請を3月下旬に提出したことについては、このブログでもお伝えしたが、提出後二ヶ月が経過してようやく申請書が受理された。

「路面電車:復活なるか 廃止3路線、民間組織が活用策」(毎日新聞、5/26)
「路面電車の申請書を中部運輸局が受理 岐阜・関の会社が計画」(中日新聞、5/26)
「5月24日付で、私どもが提出しました「軌道事業特許申請書」が正式に受理されました」(岐阜地区新鉄道設立準備室ニュースリリース、5/26)

一番のネタ元である当事者のニュースリリースが一行きりなので、前二者の情報を中心に整理してみる。
○国土交通省中部運輸局は「岐阜地区新鉄道設立準備室」が提出していた「軌道事業特許申請書」を受理した。同申請書は3月下旬に提出されていたが、申請書類の形式上の不備から中部運輸局の一部預かりになっていた。
○中部運輸局は今後、道路管理者(国、県、市町)に事業に対する意見照会を行い、更に資金計画などを審査の上事業認可の可否を決める。
○今回の申請書の事業計画は名古屋鉄道が所有している資産譲渡を前提としているが、自治体の関与を名鉄側が求めていることから資産譲渡の目処は立っていない。
名古屋鉄道側は「岐阜地区新鉄道設立準備室から新事業についての相談はない。自治体から事業再開の相談があれば応じる」としている。

申請から時間が経って受理に至った訳だが、今回はあくまでも申請上の「形式的な要件」が整ったに過ぎないことに注意する必要がある。
従って「申請受理=事業認可」とはならない。
今後、利害関係者への意見照会、申請書における資金計画などの精査が始まることになるが、その期間は9ヶ月という。
単純に当てはめてみると来年1月下旬には結論が出ていることになる。
どのような結論が出ようとも、名古屋鉄道の資産を活用する岐阜地区新鉄道設立準備室の計画への評価はこれで一旦確定する。
それが岐阜の路面電車再生運動の決着を意味することになるのだろうか。

今回の申請書受理後も事業計画の前提となる、名古屋鉄道からの資産取得交渉は進んでいないことが記事からも読みとれる。
前提条件が整わぬ中で申請書を提出した訳だが、審査期間中に状況が前進しなければ「マイナス」の評価しか得られないことは容易に想像できる。

恐らく、資産譲渡に行政の関与を求める名鉄の意向を汲んで審査期間中にも岐阜地区新鉄道設立準備室から沿線自治体、岐阜県に対して事業への関与を求める働きかけがなされていくものと見ているが、当の岐阜県が「難しい」と表明していること、岐阜市も議会答弁などを見る限り今回の事業計画について積極的ではないため、状況に進展はないと考えざるを得ない。
岐阜市議会の状況については別の機会に譲るが、路面電車に対して「苦渋の決断」をした現職が再選を果たした今、状況が劇的に変化するとも思えない。

申請書が受理されたとはいえ、岐阜地区新鉄道設立準備室にとっては極めて厳しい状況が続くことに変わりはない。
そんな状況下で迎えた正念場。
果たして申請書の審査結果はどうなるのだろうか。
続報が入り次第、整理してみたい。

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