Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

福井鉄道800形LRV試乗会へ行ってきた。

2005-11-20 20:15:31 | 鉄道(地方・専用線など)
昨日触れたように、福井鉄道に乗るため福井へ行ってきた。
先月同線を訪れた際の記事では「次の機会は冬の青春18きっぷのシーズンになるのだろうか」などと書いているが、前回行った直後に岐阜からの転入車が大挙到着した。
更に800形に至っては「国民文化祭・ふくい2005」の期間中にデビューしている。
こんな話を聞かされている内に、また行きたいという気持ちが強くなってきた。

そんな矢先、「ふくい路面電車とまちづくりの会(ROBA)」が「第4回中部地区路面電車サミット福井大会」に併せて800形を借り、「LRV試乗会」を19日に開催する事を知る。
どうせ行くなら、と試乗会に申し込んでみたら乗車証が送られてきた。
という訳で、約一ヶ月半ぶりに福井へ行く事になった。

この日の福井市内は雨が降ったり止んだりと不安定な天気。
まず、市役所前に出てくる803を撮影する。
この辺りは昨日の記事でも触れているが、今回はもう少し詳しく書いてみたい。
今回の試乗列車は福井駅前・田原町間を走る。
当然「臨時列車」という事になり、定期列車の合間に走る。
このため、今回の事例では定期列車に支障しないよう福井駅前から一旦市役所前まで引き上げ、定期列車が福井駅前を発車した後、再度入線する形を取っていた。
このため意外なほど長く市役所前で停車していた。


その傍らを300形や80形がすれ違っていく。
路面電車と鉄道車両との出会い、それも市内線区間となると記憶があまりない。
逆に鉄道線区間での路面電車と鉄道車両が同じ線路を走るとなると、かつての名鉄揖斐線忠節・黒野間が思いうかぶのだが。

12時30分に発車し、田原町へ向かう試乗列車第一便を裁判所前付近で撮影してから徒歩で福井駅前まで戻る。
ちょうど803も田原町から戻ってきた。


送られてきた乗車証には13時30分発の第二便とあったので、まずは福井駅前電停のホテル前に設けられた受付手続を済ませる。

裁判所前付近で撮影した時、曇っていたが急に雨が降り出した。
本当にこの辺りの天気は変わりやすい。
ちょっと辛いが、雨に降られて803に乗り込む。

車内はあっと言う間に満員になった。
客層は鉄道ファンより、一般の方が多い。
予定通り13時30分に試乗列車は福井駅前を静かに走り出した。
車内放送を用いてROBAのスタッフが説明を始める。
福井駅前から市役所前の間は「静音軌道」が敷設されており、通常の軌道より静かなこと。この「静音軌道」は日本で普及し始めたばかりだが、欧米では当たり前になっていること等々。

福井市内を走る800形自体については、4年前の「トランジットモール社会実験」で名鉄から貸し出されたモ802に乗車した事があるし、7ヶ月前迄は名鉄美濃町線で散々乗った車なので違和感はない。
雨はまた小降りになってきた。

折り返し点となる田原町に13時40分に到着した。

福井駅前へ戻る試乗列車は13時55分発。
この時間を用いて福井市の職員がJR福井駅の施設配置に関するアンケート調査を行っていた。

えちぜん鉄道との連絡改札口を見る。
4年前に800形に乗った時、京福電鉄は長期運休中で、田原町駅の連絡改札口は閉鎖されていた。
えちぜん鉄道になった今、駅自体も綺麗になった印象を受ける。

目の前を元愛知環状鉄道100系を両運転台化した6000形が走り去っていった。

そういえば、ここで福井鉄道とえちぜん鉄道の線路を接続させ、福井鉄道の車両がえちぜん鉄道新田原まで乗り入れる構想の存在については以前触れているが、現状はどうなっているのだろうかと線路終端部を見る。

なるほど、画像左側の福井鉄道の線路がえちぜん鉄道の線路に寄り添う形で並んでいる。確かに少し手を加えれば乗り入れは可能と思えるが、相互の接続を良くするだけで同等の効果が見込めるような気もする。

そうこうしている内に試乗列車の折り返し時刻が迫ってきたので慌てて車内へ戻る。外観は変化しているが、車内の変更箇所は殆どないように思えた。
来た道を戻り、福井駅前に到着したのは14時5分。
試乗客を降ろした803は定期列車を待避するため市役所前へ引き揚げていった。

その様子を見ながら、ROBAのスタッフから色々と話を聞くことができた。
大変興味深い内容だったので、要旨を書いておく。
なお、内容についてはROBA及び福井鉄道の公式見解でない事をお断りしておく。

○800・770形の運行開始は来年3月末を予定。予算の関係で次年度導入となっている880形は来年度早々に入線する。
○ホームの切下工事はこれから実施する(昨日の時点では各駅とも着手していない)。切下は在来車に対応した「部分切下」ではなく、全面的に切り下げる形を取る。乗降性については、市内線ではステップを使用した乗降形態が定着していること、在来車の運行をラッシュ時に限定し、体力に余裕のある学生やサラリーマンが主に利用する形にすれば何ら乗降に支障はないという。

また、配布されていたリーフレット「路面電車は街となかよし」を見ると、元名鉄車導入後も残るのは200形3編成、600・610形4両の10両である旨が書かれていた。
これらの車両が朝ラッシュ時限定で走り、元名鉄車が日中や休日を中心に走る運行形態を取る形になる。

将来的に、この10両を何らかの形でLRVに更新できれば、車両面でのLRT化は完了する。
順調に事業が進めばそういった事も視野に入ってくるだろうし、更には福井駅前からJR福井駅前広場まで軌道を延伸したいという夢もあるという。
その夢が実現するかどうか、この800形をはじめとする岐阜からの電車達にかかっていると言っても過言ではない。
「岐阜の街」では邪魔っけにされていた印象しか受けなかった、これらの電車達が「福井の街」でどう活躍するのか、今から楽しみになってきた。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
路面電車の今後の活躍に期待 (福井の古人)
2005-11-23 00:23:50
お久しぶりです。10月末の国民文化祭以降、ここしばらくは福井鉄道の路面電車の話題が絶えませんでした。路面電車サミットや前日の試乗会については地元紙で内容を見ましたが、路面電車を活用したこれからの福井のまちづくりについて、思ったよりも具体的で踏み込んだ内容に感じています。

 なお、この記事後半にあるような(公式見解でないがある程度具体的な)今後の話については知りませんでした。11月の中旬にも、福井県や福井鉄道などがつくる検討会の利用者アンケートが配布されており、路面電車の活用およびバスや駅設備などについてどう改善すべきかの質問が出されていました。路面電車を導入するからには、今後まちづくりと一体化した、思い切った整備・活用をしようという事でしょうか。地元の者として、JR福井駅前の整備と共に、路面電車が新しい福井の「顔」となる事を今から期待しています。



 ちなみに、「浅水にて」の写真で架線作業用の車両がありますが、何故か浅水駅のまさにこの写真の位置で見られることが多いです。大体2~3日留まっている事が殆どですが、何故ここなのかはよく分かりません。
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Re:路面電車の今後の活躍に期待 (Simplex)
2005-11-23 05:48:24
福井の古人さん、ご無沙汰しています。



岐阜からの転入車が来てから話題が絶える事がなかった福井鉄道ですが、これを機会にまち作りを考えていこうという取り組みを行政も民間もしている事を目の当たりにしたと、試乗会に参加して思いました。



それは田原町で参加者対象に行われた福井駅の高架下利用に関する福井市のアンケート実施からも実感できましたし、試乗会には一般の方が多く参加していた事から関心の高さを物語っていると思います。



>路面電車を導入するからには、今後まちづくりと一体化した、思い切った整備・活用をしようという事でしょうか。



行政も事業者もその事を念頭に置いた車両投入・施設改修を考えてきています。

だからこそ、将来的にはLRT化も視野に入れた今回の計画を決断したと捉えています。

県外の者ではありますが、今回の計画が何とか軌道に乗って欲しいと願って止みません。



蛇足ですが、あの見慣れた福井駅の駅舎が既に取り壊されていたのには驚きました。

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JR福井駅の跡地 (福井の古人)
2005-11-24 00:00:14
旧駅舎は新駅開業後もしばらくは残されていました。が、9月頃にはおおかた撤去が完了していたようで、私が9月に足を運んだ時にはもうその姿はありませんでした(私のHPに、その時撮影した新駅舎の写真があります)。今後は西口再開発の場となりますが、周辺商店街や利便性の点から計画がまとまっておらず、路面電車ほど話はうまくいってないようです。
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