Simplex's Memo

鉄道と本の話題を中心に、気の向くまま綴ります。

岡山電気軌道、南海貴志川線継承について語る。

2005-05-14 20:00:09 | 鉄道(地方・専用線など)
南海貴志川線の経営については、既報のとおり岡山電気軌道が後を継ぐことが内定しているが、その岡山電気軌道の社長会見記事が掲載されていた。

「貴志川線後継内定の岡山電気軌道社長が会見」
「南海貴志川線:沿線の駅前開発推進 新運営事業者・岡山電気軌道社長が方針」

記者会見の要旨は次のとおり。
・公募に応じたきっかけは、岡山市内の市民団体の後押しがあったこと。
・貴志川線で事業を継続する際も利用者の意見を採り入れる運営協議会をつくる。
・貴志川線の採算性について、机上の計算では黒字の可能性があるが、地元の協力も必要。
・関西圏からも客を呼び込める観光資源がたくさんあるのに、案内板などが少ないのはもったいない。
・財政支援策については、支援を食いつぶすのではなく、事業をレールにのせて再投資する資金にしたい。赤字を垂れ流して事業を継続するのでは意味がない。

記者会見を読んで成るほど、と思った。
岡山電気軌道が公募に応じたのはRACDAの後押しがあった経緯が明らかになったが、岡山市で行ってきた公共交通活性策が和歌山市で通用するのか、その手法と展開が楽しみだ。

また、「観光資源がたくさんあるのに、案内板などが少ないのはもったいない」という指摘については、これはもっともな話だと思う。
実際に貴志川線に乗った時貴志川町のホタル、いちご狩りといった観光資源があるにもかかわらず、これらの駅に案内がなかった(時期外れということもあったかもしれないが)。

大池遊園の事は名撮影地ということで知っていたが、ホタルやいちご狩りといった観光資源があるという話は貴志川線に乗ってきてから調べて初めて知った。

これまで貴志川線を単なる地方都市の近郊鉄道としか認識していなかった。
が、そういった事実を知るにつけ、上手く広報していけば日帰りの観光客も呼び込めるのではないかと考えるようになってはいたが、記者会見ではまさしくこの点を指摘している。

最後の点は鉄道事業者というよりは、営利企業としての原理原則の話であって特に感想はない。
ただ、「10年と言わずその後も事業を続けたい」と言っているあたり、今回を契機に和歌山に岡山電気軌道が属する両備グループの足がかりを作ろうという意気込みが窺える。

また、これに合わせて運営母体の新会社を6月中に和歌山市内に設立し、駅前開発を柱に、車から電車へのスムーズな乗り換えやバスとの連結、観光資源開拓を目指す。
この新会社は岡山電気軌道の100%子会社で、資本金は3千万円。
社名は16日から来月10日まで公募し、地元採用する運転士ら従業員も募集する。
新会社は来年4月から事業を継承したい意向を持っており、今秋(9月末)で撤退するとしている南海に延期を申し入れている。

受け皿の準備は始まった。
残る問題は、9月一杯での撤退を表明している南海が撤退を来年3月末まで延期してくれるかどうか。
撤退延期に応じてくれれば問題はないが、仮に9月末で撤退した場合、その間の公共交通はどう対応するのか。
この点については、行政の方も折り込んで南海に要望しているので、かかる事態にはならないと思いたい。

ここ最近、鉄道関係で暗い話題が続く中で舞い込んできた、久しぶりの明るいニュース。
せっかく残すのだから、これまでより多くの人が利用してくれる路線になってくれることを期待したい。

あと、願わくば電車の塗装は変えて欲しい。
南海の電車と言えば「緑の濃淡」のイメージが強く、グレーがベースの南海の一般車の現行色はどうにも馴染めない。

運営会社が変わるので、言われるまでもなく塗装を変えるだろうが、例えば水戸岡デザインでリニューアルされた電車というものを見てみたい。
電車の塗装も商品である。商品のイメージが変わることで地域への浸透の度合いも違ってくるのではないだろうか。
それによって岡山電気軌道と新会社の本気も見えてこようというものだ。

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