
民主党の野田首相がアメリカとの協調改善の手段として、交渉参加の方針を決定したい意向を表明し、これに賛同しない候補者は、公認しない考えだ。
国際交渉に参加するかしないかの段階で、異論を述べるグループを排除して行く姿勢では、一国の指導者としてふさわしいか、国民の判断が問われている。
【TPP交渉】は、数多くある国際交渉の一部であるにも拘わらず、これが選挙の争点だと大きく扱う「マスメディア」の姿勢も問題で、低レベルである。

10年来の交渉によって、「日中韓3カ国FTA」(自由貿易協定)が、本格交渉入りを決定したが、内容はこれからの折衝、駆け引きが重要なのだ。
領土紛争とは切り離して、お互いの国の産業・経済にメリットある通商関係を創っていく重要な交渉で、政権交代の道具にすることは国益にそぐわない。

日本経済の活性化の為には、輸出産業の保護が重要で、「輸出で稼ぐことに依存して雇用を維持し、輸入品が安くなるのは消費者にとってよいことだ」という1990年代の考え方を延長しているグループは、自由化を促進せよ、と言う。
だが、低価格輸入品によって国内雇用の減少を、どう対応するかの説明はない。
「輸入品に勝てない産業は縮小してもよい!」という割り切りをしているノダ。

「交渉に参加した上で、国益にそぐわないならば交渉から抜ければよい。」とするグループは、関税ゼロ化の例外規定をつくる必要を主張するだけである。
そのためには、農業などの日本に必須の産業を、国際競争の中でどのように育成して維持して行くかの「日本の国創りの産業戦略」を10年、20年に渡る継続した政策論で、国民に説明出来なければならない。
自民党すらも、1990年代以降は、「国の将来像、農業など地域社会の持続産業」についてのビジョンを示さずに、【官僚任せの成り行き主義】の怠慢ぶりである。
