庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

TPP参加是非は総選挙の争点として不適切な論争だ。

2012-11-21 | 経済問題
総選挙の争点として「TPP交渉参加」の是非が、各政党の評価の基準として、論議を巻き起こしている。
民主党の野田首相がアメリカとの協調改善の手段として、交渉参加の方針を決定したい意向を表明し、これに賛同しない候補者は、公認しない考えだ。
国際交渉に参加するかしないかの段階で、異論を述べるグループを排除して行く姿勢では、一国の指導者としてふさわしいか、国民の判断が問われている。

【TPP交渉】は、数多くある国際交渉の一部であるにも拘わらず、これが選挙の争点だと大きく扱う「マスメディア」の姿勢も問題で、低レベルである。

通商協定では、本来は2国間などの限られた国どうしの取り決めを、両国の国益に沿える範囲で貿易の自由化を進め、国内産業の保護を理由とした「関税実施権」は、国の権利の基本である。
10年来の交渉によって、「日中韓3カ国FTA」(自由貿易協定)が、本格交渉入りを決定したが、内容はこれからの折衝、駆け引きが重要なのだ。
領土紛争とは切り離して、お互いの国の産業・経済にメリットある通商関係を創っていく重要な交渉で、政権交代の道具にすることは国益にそぐわない。

なぜ「TPP交渉」の是非を選挙の争点化するのか、不可解だが、もっと掘り下げてみると、自由貿易化に向けての姿勢の違いが浮き上がってくる。
日本経済の活性化の為には、輸出産業の保護が重要で、「輸出で稼ぐことに依存して雇用を維持し、輸入品が安くなるのは消費者にとってよいことだ」という1990年代の考え方を延長しているグループは、自由化を促進せよ、と言う。
だが、低価格輸入品によって国内雇用の減少を、どう対応するかの説明はない。
「輸入品に勝てない産業は縮小してもよい!」という割り切りをしているノダ。

他方の「TPP交渉」に参加反対を主張するグループは、「アメリカの国益に沿った関税ゼロ化」を拒否をして、逃げの姿勢に留まっている。
「交渉に参加した上で、国益にそぐわないならば交渉から抜ければよい。」とするグループは、関税ゼロ化の例外規定をつくる必要を主張するだけである。
そのためには、農業などの日本に必須の産業を、国際競争の中でどのように育成して維持して行くかの「日本の国創りの産業戦略」を10年、20年に渡る継続した政策論で、国民に説明出来なければならない。

自民党すらも、1990年代以降は、「国の将来像、農業など地域社会の持続産業」についてのビジョンを示さずに、【官僚任せの成り行き主義】の怠慢ぶりである。

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