ことのは

初めに言葉があった。言葉は神とともにあった。言葉は神であった。と、ヨハネは言う。まことに、言葉とは不可思議なものである。

君の名は。

2016-12-05 10:10:15 | 日記・エッセイ・コラム
今年一番のヒット映画である。
今も上映されている。
新ゴジラもそうだが、
それ以上のロングランになっているようだ。
それほど見る気はなかったのだが、
まあ暇つぶしに見ようかと思った。
そしたら良かったのである、これが。
しかもちょっとどころではない。
期待してなかったこともあって、
最初は筋について行けなかった。
ということで、
二回も見てしまった。
・・・・・
これはちょっとした社会現象である。
だからか、そのヒット要因を探るテレビ番組があった。
悪名高い?あのNHKである。
筋立ては昔語りの「とりかえばや物語」などと同じであり、
陳腐だがそこに普遍的な面白味があること。
個々の描写が素晴らしいこと、何より全体の映像が美しいこと。
等々と。
でも、その要因の一番は「結び」という言葉にあると、
そういうことだったと記憶している。
伝統的な組紐に投影された「結び」という言葉、
その言葉が醸し出す思い、情念・情緒が見事に表現されていた、
ということか。
「結び」という言葉に着目したのは、
さすがだと思った。
・・・・・
「結び」とは、
古事記・日本書紀の冒頭に出てくる神様、
すなわち原初三神の名でもある。
天御中主尊と、
高皇産霊尊(たかみむすひのみこと)、
神皇産霊尊(かむみむすひのみこと)、
である。
天の真中の御神と結びのニ神である。
「結び」とは実に神道の心である。
だから、あの映画は神社が必須で重要な役割をしている。
だが、NHKは当然分かってるのだろうが、
そこは(神社や神道のこと)まったく触れない。
やはりNHKである、筋が通っている。
日本的なものは嫌いらしい。
それでも無視はできないので、
言葉だけは取り上げている。
・・・・・
「結び」とはつまり神の道である。
すべてが繋がっているのだ、人も物も、時でさえ。
全体(宇宙:存在)は全体という一つのものだが、
それは無数の部分の集合であり、合体なのである。
当然、部分と部分はすべて繋がっている。
そのことを紐という物によって表象している。
「結び」こそ現実であり、現実の妙である。
天と地も、過去と未来も、
あらゆるものが縦横無尽に繋がっているのだ。
だから神人一体なのである。
人と神は繋がっているのだ。
もちろん鳥や獣や、山川草木も。
神はすべてのものに繋がっているのだ。
人だけ特別という訳ではない。
それが「結び」である。
何んと素晴らしい言葉だろう。
・・・・・
その紐は道である。
神の道である。
すべてのものを繋ぐ神の道である。
だから祈るのである、
その道を。