銭湯の散歩道

神奈川、東京を中心とした銭湯めぐりについて、あれこれ書いていきます。

変容する渋谷のランドマーク

2024-05-05 06:46:00 | 日記

100年に一度の再開発中と言われているヤーシブこと渋谷。昭和を代表する作家の遠藤周作は、この街はいつ来ても工事をしていると呆れたように随筆に書いていたが、活発な新陳代謝は令和になっても止まらず。100年に一度の開発も少し加速しただけで、一段落しても止まることはないだろう。

海外メディアが東京を話題にする時に必ず映し出される渋谷スクランブル交差点は、外国人にとって刷り込まれた東京の象徴であり、土産話のために必ず立ち寄らなければならない義務と使命感にかられた場所だ。
スクランブル交差点を正面から見下ろせる絶好の撮影スポットSHIBUYA TSUTAYAは、海外旅行者にとって約束の地。日本でもっとも外国人密度の高い場所である。
この渋谷TSUTAYAは長いあいだ中普請をしていたが、2024年4月25日にリニューアルオープンし、ふたたび外国人の溜まり場と化している。



▲工事をしてた頃

▲そしてリニューアルオープンした


▲外国人たちの多くは笑いながら撮影している。何千人も同時に交錯する状況は笑ってしまうほど非日常的な風景なのだろう

▲こちらは中に入った1F。アニメの推し活の空間となっていた

▲2Fがくだんのスターバックスである。ちなみに渋谷駅周辺にはスタバが18店舗もあるそうだ。大杉だろ


スタバに来て思い出したことが2つあった。ずいぶん前になるが、スタバの中から外を撮影したら、「撮影しないでください!」と眉をつり上げた若い女性店員に強い口調で制止されたこと。べつの若い女の子たちは店内で自撮りしてたのに…。
もうひとつは、東京の中心地にあるスタバほど店員さんがみんな若くて美人であることだ。失礼を承知でいうと、軒並み同じ顔にみえる。おそらく外見に関する男目線の採用基準があるのかも。地方のスタバはどうか知らないけど、東京はヒエラルキーの高い場所に行くほど露骨になる。最近ではルッキズム(外見重視主義)批判の風潮があるが、ここでは無縁だ。
さらに、付け加えるならみんな英語が堪能である。外国人ばかりが相手ならたしかに英語は必須だけど、一体どういうルートを使えばこうした人たちを集められるのか。

▲ほとんど外国人ばかりなので、異国に来た気分。天井付近のデジタルサイネージでは豆の生産からコーヒーに至るまでの物語が展開されている。緑のテーマカラーも珈琲豆に基づいたものだろう

▲エスカレーターの反対側には

▲スクランブル交差点を一望できる

▲下からはこんな感じ

▲こちらは2019年の写真。リニューアル前はガラス面に席が並べられてあった。この席に座ってたときに隣の知らないお兄さんから、三井住友銀行はどこですか?と尋ねられたことがある

▲2020年の写真。今は解体している東急から撮影

▲コロナ渦の時。誰もいない

▲空席を映し出す防犯カメラの映像。
そんな時代も遠いむかしのように、渋谷は再び活気を取り戻した

▲3F、4Fは、シェアラウンジ(半個室の貸しスペース)。いま蔦屋が各地で広げてる業態だ。ここだと1時間1650円で、延長は30分825円。
本質的にやってることは漫画喫茶と変わらないので相場としてかなり強気の価格設定だが、ソフトドリンク飲み放題にパンやスナック食品も食べ放題。アルコール飲み放題だと2200円になる


▲このように漫画本が並んでいる

▲5Fがポケモンカードゲームの出来る場所となっている




既視感が強く、ここでしかできないものはほとんどないかなという印象。
リニューアル前の方が文化的な遺産をきちんと継承しており、ここでしか出会えないものが多かった気がする


▲リニューアル前のTSUTAYA

▲最近までVHSのレンタルをしていた





▲エロ系も健在。VHSやインターネットの普及はアダルトコンテンツが大きな原動力となったと言われているが、こういう清濁あわせ呑む文化こそ持続可能な文化ではないかと思う


ちなみにであるが、このTSUTAYAに行った帰りに横浜線に乗っていたところ、突如としてにぎやかな関西弁の女性の声が聞こえてきた。ゴールデンウイーク中だから関西から来た観光客なのかなと思っていたら、小柄な白人女性がレプリカユニフォームを着た日本人の親子に話しかけていた。コテコテの関西弁で。おそらく大阪に拠点を置くスポーツチームのユニフォームだったので、懐かしくなって関西弁で話しかけていたのかもしれない。
それに対してお父さんは英語で答えており、日本のグローバル化の一端を垣間見た思いだった。
食べ物(博多の天ぷら美味しい!)やポケモンのこと、阪神ファン(優勝してうれしかった)であること、家族のこともあけすけに語っていた。聞き耳立ててたわけじゃないけど、自然に聞こえてきたことを弁解させてもらう。
こうした人たちをみると、日本文化が引き寄せる影響力の強さを感じると同時に、日本文化はますます様々な国の人々を呼び寄せて電車で遭遇したアメリカ系関西人のように、出自文化と日本文化を掛け合わせたユニークな人たちを生み出していくのかもしれない。
いままさにインバウンド向けに日本文化の発信へと舵を切った渋谷TSUTAYAであるが、このような施設がますます日本の多様性を加速させるだろう。


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