遜文侍のweblog

子育ちは親育ち。成長記録weblog。2005.1~。

佐々木正美さんの至言

2011年03月09日 01時31分13秒 | 箴言・苦言
自分の職場が作る月刊誌でも唯一の熟読しているコーナーが、佐々木正美さんが保育者へ贈るメッセージ「喜びと悲しみを分かち合って」でした。ついに4年の連載を今日で終えました。
最後が非常に警笛を鳴らす内容であることに、100%共感しました。
そして、本当にこのこと以上に今の時代が問題視すべきことはないのではないか、とも思います。
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いつも共通した視点を、“人間は人間関係の中で生きていくのが健常なことだ”という原理をはずさないよう心がけてきました。

“家族に頼れる時代”が訪れて、“独居で未婚”が増え続ける社会になったとあります。

人間は他者と喜びや悲しみを分かち合って生きる力や習慣を身につけていかなければ、些細なことで相手にいらだちや怒りを感じてしまうものなのです。稚い我が子を死に追いやるほどに、怒りを感じてしまうおとなたちは、一体どのような生い立ちをもって成長してきたのか、考えてみてください。

周囲の人々と共感的な感情を共有できなくなったとき、そして生きる希望を失ったとき、相手への喜びや悲しみの感情ではなく、怒り、苛だち、憎しみなどの感情を大きくしてしまうのです。無差別な殺傷事件は、そのようにして起きるものなのです。

人間は個人的な学業の良否では、自分の生き方は見えてこないのです。家族をはじめ周囲の人々との、深い関わりを通じてでしか、自分という人間の真の意味や価値は実感できるようになってこないのです。

新聞やテレビで、日々報道されるニュースや論説などを、注意深く見守ってください。人間の“個”は“孤”であっては人間味を充実させていくことが出来ないという事実が、どれほど数多く目にとまることでしょう。

私は診療室や相談室をはじめ、数々の地域社会の場で、40余年間の臨床活動を行いながら、そういう我が国の現象の流れに、深く心を痛め続けてきました。経済や国自体が崩れる前に、人間性そのものが崩れてきたのです。



「保育の友 2011年4月号 喜びと悲しみを分かち合って」第48回

子育てでいちばん大切なこと、それは自分のことを好きな子どもに育てることです

2009年01月08日 23時00分52秒 | 箴言・苦言
子育て本から遠ざかっていて久しかったので、久しぶりに佐々木正美さんの近著を借りてみました。
実にシンプルに、母親の多い悩みをQにおいて、それに重要なことを端的に伝える技術にますます磨きがかかっているのにまず感心させられました。
世間の大半の親が流されている方向とは異なる結論であるのに、それを押しつけがましくなく、そして優しさに溢れた表現でぴしっと伝えてくれる希有の書でした。

「子育てでいちばん大切なこと」(大和書房)

○子どもが言うことをきかない。第一次反抗期の悩みでしょうか。厳しく接することで甘やかさないのが対策だと思っている質問者に対して、こうです。
「子どもは、自分の言うことをよく聞いてくれた人の言うことを、聞くんです」
何たる名言!! 感動に震えました。

○いじめられない強い子どもに育てたいといきがる親に対して、こうです。
「子どもたちの社会でも、弱い子はいじめられるというほど単純ではありません。いじめっ子もいじめられっ子も、じつはコミュニケーションが下手な子どもが多いのです」
まさにそのとおり。そんなに単純ではないし、子どもをバカにした話です。
そしてコミュニケーションのちからを育てるには
「たくさん喜びを分かち合う経験をしなければ、他の人と、悲しみを分かち合えるようにはなりません」

○片親が母性・父性の両方を担うためには、という悩み
「子育ては母性性と父性性のバランスがとれていればいいのではありません。大切なのは、母性性と父性性を与えられる「順番」です。」
衝撃的解釈です。
佐々木さんのいう母性性は安らぎと安心感で包むこと、父性性はルール・責任を伝えることです。
「十分に母性性が与えられてからでないと、子どもは、きちんと父性性を受け入れることはできません」
まさにそのとおりであり、世間の親の盲点であることは確実でしょう。

○発達障害児を否定することが子育て期に続いたことが、重大犯罪につながっている例が跡を絶たない事実に、佐々木さんはばっさりとこう云いきります。
「痛ましい事件の原因は子育てが悪かったからか、と問われたら、私は「悪かったのだ」と肯定します。」
個性を認めないこと、「早く!」と言い続けること、「もっと」と過剰に期待すること、それらも否定であるという指摘がたいへん重要です。そこら中で観られる風景だからです。子どもを追い詰め、否定する親が全く自覚せずに子どもの心を蝕んでいる、という恐ろしい現実です。
「親だけでなく、教育も社会も悪いのです」子育ては親だけでできるものではない、ということを強調された言葉でしょう。子どもを持たない親がどれだけ子どもたちという未来の卵のことを自分事として考えているでしょうか。自分のことしか眼中にない人間ばかりであることは、私の周辺を見渡しても確実です。

○そして、「子育てにいちばん大切なこと」はズバリ何か。
「子育てにいちばん大切なこと、それは自分のことを好きな子どもに育てることです。」
「そして、それは子どもの「現在」を幸せにすることだと思います。」

この結論は単なる綺麗事か。抽象的な逃げか。
いやいや全くそうではありません。
このことが子どもに生かされていない、子ども(=人間)の幸福追求がなおざりにされている今日の日本であることを、佐々木さんが嘆き、考えに考えられた末に至った結論がこの言葉であることは間違いありません。
本当に重い結論であるのです。

久しぶりに佐々木正美さん

2008年06月10日 22時02分15秒 | 箴言・苦言
自分の仕事場で発行している月刊誌に佐々木正美さんが連載しているのはとても嬉しい話です。いつかお会いできる日もあるのかも、とちょっと期待。
今月号に、自分の思い100%共感できる一文に出会えました!

「近年我が国は、表面的な子育て支援策には声高に取り組んでいますが、それらは決して子どもの心の視点に立ったものではありません。働く母親あるいは両親の都合に合わせたものが主流です。(略)依存症や不安障害が増加している背景には、こうした不幸な事態の結果が、おとなや親の世代にまで蔓延してきてしまったことを、私たちは深く認識しなければなりません」(保育の友2008年7月号)

本当に子どもの意志を無視した親の勝手な発想での保育預託、習い事の詰め込み、まだ一杯人間の生きる上で必至な基本事項を知らない幼い子どもたちに、全く順番不相応な仕打ちをして平気でいるわが子の周辺の親たちの言動を常に目にしながら、本当に子どもが追い詰められている、というこのことで日々胸が苦しい私の思いをまさにそのまま文章に(さりげなくですが)してくれたのがこの佐々木さんの一文だと思います。

幼児番組の優劣

2007年12月03日 12時36分20秒 | 箴言・苦言
幼児番組は優劣が顕著だというのが私の持論です。
NHKにもいろいろあって、ゼンマイ侍のような可愛らしいものやきちんとしたユーモアを備えたもの、クインテットも安心して見せられる番組です。しかし、一部には評判のいい日本語で遊ぼうは着眼点はいいのですが、見せ方と音の使い方が極めて勘にさわります。
最悪はベネッセのしまじろうというやつで、メロディーセンスは子供を馬鹿にしているとしか思えず、登場する人間の好感度は最低。人間を機能としか見ていないその視点は教育を冒涜し、今の心の不在の象徴のような番組であります。

悔しいかな、西洋世界の番組に圧倒的に軍配は上がっていて、ディズニーチャンネルのリトルアインシュタイン、最近始まったウィグルス、スタンリーなど、視点が大変子供の心を重視している上、音楽的センス映像センスは抜群であり、柔軟な子供時代に親や兄弟と共感しながら見られるのは、こちらが主流になっています。

目から鱗が落ちた「視点」

2007年10月13日 05時02分50秒 | 箴言・苦言
ごく稀に、その視点があまりに身近なことだったり、そういう角度からの整理をすることには全く気づかなかった、という意味で、衝撃を与えてくれることがあります。
以下が、久しぶりに目から鱗が落ちる思いをした指摘でありました。
まさに、子どもが天使たる所以であります。

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子どもというのは、いつでも嫌なものからすぐ去っていき、楽しいことをしているのですね。なにか遊ぶものはないか、そればかりを探しています。(略)いつでも心の中を明るくしていたいのです。誰でも小さいときは、いつでも心を明るく保つ技を知っています。皆さんもそうだったはずですが、大人になるにしたがって、その技を使わなくなりました。(略)
どうして、「かわいい」と言われていた子どもが、どんどん「嫌な人だな」と言われるようになったかというと、一つ、忘れてしまったからです。子どもとの時にあった「いつでも楽しくしていよう」とする頭の働きを忘れてしまって、なんでもかんでも、悩んだり、悔んだり、困ったり、悔しがったり、嫉妬したり、戦ったり、競争したり、ものすごく醜い波動をつくる存在になったからです。

〔現代人のための瞑想法/アルボムッレ・スマナサーラ/サンガ新書〕より

子が親を思う想い

2007年09月19日 01時15分11秒 | 箴言・苦言
会社から帰ってくると、飛び出してきて大喜びのダンスをするようになった1歳9か月の娘、深夜帰ってきてそろりそろりとやっていると、半分寝ぼけながらも私のところまで起きてやってくる5歳の息子。

彼らの今、自分(父親)を慕う気持ちほど、自分のこの世の存在を確認できるものはないし、これ以上の喜びもありません。親ばかと言われようが何と言おうが、この幸せにまさるものはないと自分は思っています。

「今だけだよ」なんてことを言う親先輩もいますが、その「今」をどれだけ大事にするかが、今後の一生に渡る親子という最も自分と距離の近い人間関係を決定づけるものでしょう? と言いたいですね。

幼い子どもの親を思う気持ちというものの大きさにぐっと胸が締め付けられます。
だからこそ、子どもがいながら、こういう親子関係が結べない家族の話は本当に聞きたくありません。それはまず十割方、成熟した大人である「親」に原因があるからなお更です。

自分の幼き日々の親という存在の安心感を昨日のことのように思い出すこともあります。子育てを全うして、信頼を貫いた両親への畏敬の念は今ほど大きく感じることはありません。

子どもにシワヨセをさせて平気でいる人間は、必ずその報いを受けると思います。
すべての世の悪循環の根源に家族=親子関係の正・不正がある、とさえ思う今日この頃です。

この説は申し訳ないが「絶対正しい」

2007年04月19日 22時24分14秒 | 箴言・苦言
以下は子どもをどう育てるか、親になった人間が真摯に受け止めて考えることとしては重要度は最高レベルであると思うのです。
それでも保育園に預けるのか、それでも両親で働く価値があるのか、全く世論で議論が欠けている事項。
当然、以下の佐々木先生はは優しく部分的な指摘であって、この影響は全人生を左右する可能性が大きいと考えます。
毎日、家の正面にある保育園から母(親)を求めて、一日中泣き続ける子どもの泣き声を耳にしていて、あまりに痛ましいのです。
それが、泣かなくなったときに「慣れた」などと平気で言い放つ親、このことの思考が欠けている人間は正直子育ての失格者であります。
慣れたのではない。幼き敏感な心が完全に絶望に歪み、自己防衛から不感を選んだだけに過ぎません。もう全人格を十分に歪めたわけです。
なぜそのことがわからない? なぜ幼子の悲鳴を聞かないで会社などに行く?
なぜ、ただでさえ生老病死の苦の娑婆において、わが子に更に輪をかけて苦しみを与えて平気なのか、全く理解不能です。

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これはなかなか公表されないデータなのですが、紹介します。保育園の子どもと幼稚園の子どもの自立性、自発性に関する調査です。(略)日本の各地で調査集計したもので、ひじょうにたくさんの事例が集まっています。そのデータから見ると、保育園の子どもの方が小学生になって、社会的な自立が遅いのです。普通、保育園の子どもの方が自立性があると思われがちでしょう。幼稚園では園で過ごす時間が少なく、また自分であれこれしなさいといわれることも少ない。保育園では自分でやりなさいと、わりあい早い時期から、生活行動をあれこれ指導されます。いろいろなことが早くから自分で出来るということは、それだけ自立が出来ていることかというと、決してそうではありません。(略)

(0歳からはじまる子育てノート/日本評論社/佐々木正美)より

やはり自省の心

2006年12月27日 19時30分38秒 | 箴言・苦言
常に大人が一方的に正論を吐いているつもりなのは思い上がりです。

「大人は、よく今の子どもは何を考えているのかわからないと口にします。でも、本当は子どもがわからないのではなく、わかろうとしていないのではないでしょうか。
大人に求められているのは、子どもがわからないと嘆いたり、大人の希望を押しつけたりするのではなく、子どもの気持ちを理解しようと努めること、声にならない子どもたちの心の言葉に耳を傾けることなのです。」
(抱きしめよう、我が子の全部/佐々木正美)


最重要キーワード

2006年12月27日 19時20分26秒 | 箴言・苦言
相互依存、と繰り返しおっしゃっています。これを忘れてはいけないのです。

「この子は私がいないと育たない、などという親がいますが、そうではなくて、この子がいなければ、私は生きがいを持って生きられないという気持ちを自分で認識することが大切で、そのように思っていれば、子どもは健全に育つのですね。」
(抱きしめよう、我が子の全部/佐々木正美)


子どもに言ってはいけない言葉

2006年12月27日 12時47分27秒 | 箴言・苦言
これも色々言われていますが、要するにこういうことなのでしょう。

「どんなに愛情のつもりであっても、子どもよくないところを指摘するのならまだしも、人格そのものを否定するようなことは絶対にしてはいけないことです。
これは我が家のルールだから守りなさい。と注意するのはいいのですが、そんな簡単な約束を守れないやつはうちの子じゃありません、とか、だめなヤツだ、などと、その子の全部に対してノウをつきつけるような言い方はいけません、と言っているのです。」
(抱きしめよう、我が子の全部/佐々木正美)


摂食障害からの立ち直り

2006年12月27日 12時34分55秒 | 箴言・苦言
そして、解決策については、こうおっしゃっています。

「きっかけがお母さんであることが多いように、立ち直りのきっかけもお母さんである場合が多いのです。
摂食障害は、その子が望むことを全面的にしてあげること、そして、母親への信頼を回復することで立ち直ることが多いのです。」
(抱きしめよう、我が子の全部/佐々木正美)


摂食障害の原因

2006年12月27日 12時19分10秒 | 箴言・苦言
圧倒的に女性が多いというこの心の病の原因を多数の臨床経験からこうおっしゃっています。

「行為の背景には、見守ってほしいという気持ちが強くあって、そうされなかったために、誰かを恨む、復讐する、攻撃するという感情が潜んでいるのです」
(抱きしめよう、我が子の全部/佐々木正美)


問題家庭と不登校原因の結論

2006年12月25日 09時00分30秒 | 箴言・苦言
たびたび登場していただいている佐々木正美先生が、その莫大な数の問題家庭臨床例から導いた次の結論に、私たちはただ黙って耳を傾けましょう。
「子どもがうまく育たない家庭の責任の80%は父親の方にあるのではないかと感じています」
「私が知るなかに、親とのコミュニケーションがうまくいっているのに、不登校になっている子はいません」


過保護と過干渉

2006年12月18日 08時55分27秒 | 箴言・苦言
佐々木正美さんと全く同じ持論を展開する暴走族総長経歴を持つ伊藤幸弘さんが過保護と過干渉をわかりやすく整理しています。
子育て者は必ず押さえるべき重要事項です。
「過干渉は子を歪める。過保護は子を育てる」
また曰わく、
「過保護は親バカ、過干渉はバカ親」
なんとも名言です。現代の親はもっと親バカになるべきだと付け加えています。

この事をわが子に伝えたい

2006年12月14日 00時09分51秒 | 箴言・苦言
佐々木正美さんの至言です。
自分で言うと単なる親ばかと言われるのがオチでしょうが、私の今の気持ちを100%代弁してくださっている文章に出遇いました。

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親が自分の子どものことを「可愛い」と思い続けて育てることができれば、子どもは必ず「可愛い」子どもに育つ。
しかし、「心配な」子どもだと思い続けて育てれば、その子は必ず「心配な」子どもに育つのである。
子どもは親や周りの大人たちが「思っている」あるいは「感じている」とおりに育つものだが、「望んでいる」とおりには容易に育たない。だから子どものことを「信じて」やりさえすれば、大抵は「信じられる」ようなこどもに育っていくものなのに、「心配だ、心配だ」といって「信じてやらない」から、「信じられない」子どもに育ってしまうのだということを、本当にたくさんの事例から教えられてきた。(略)
生きとし生けるもの、存在するもの、みんな美しい。
こちらに美しいと感じ取れる心があれば、みんな美しい。
可愛い子ども、素晴らしい子どもだと、こちらに感じ取れる心があれば、子どもはみんな、そのように育っていく。

(「なやみはつきねんだなあ」小学館/佐々木正美・相田みつを)