円と長方形(円面積の直感的証明)

2012-01-06 19:31:41 | Weblog
 昨日、ツイッターで「円の面積を求める公式を忘れた」という感じの記述を見かけました。そして、なんともお恥ずかしいことに、はじめて「どうして円の面積はπr^2(円周率×半径rの二乗。「^」という記号で何乗を表しています。)で求まるのだろう?」と疑問に思いました。
 円の面積公式は小学生の時に暗記して、いかにも自明なことになっていたので、導出を考えたことがなかったわけです。僕は塾講師もしているし、子供に数学を教える機会はたくさんあったのに、なんと昨日まで全く思いもよらなかった。自分でそのことに愕然としました。
 公式の導出自体は高校で積分を習うときにやっています。xy平面で原点を中心とした円の式を、第一象限だけ積分して、あとで4倍するようなやり方で計算したと思います。
 しかし、その方法は”積分を信じるなら”ということで、あまり直感的とは言えません。

 さて、πr^2を改めて見てみると、その実にシンプルな形につい納得してしまいます。
 特に、r^2というのは、面積が長さの二乗の次元なので、対称図形の面積を表すのにぴったりしすぎていて、そのせいで余計に疑問を持ち難くなっています。
 しかし、直感的理解の為にはここはばらさなくてはならないでしょう。なぜなら、面積を直感的に理解したいのであれば、我々が寄って立つものは長方形の面積しかないからです。つまり「縦x横」です。「長さx長さ」です。
 だから、

 πr^2 = π x r x r = (π x r) x r

 のような感じに、「辺の長さが(π x r)とrである長方形の面積」と円の面積公式を読み換えます。

 ここでは、それらしい説明を書いていますが、実はこんなことを本当に考えたのではなくて、実際には「円の公式って、そういや?」の直後にいきなり下の写真の落書きをしています。
 でも、この「式の区切りを勝手に変えて、式の読み方を、意味の汲み出し方を変える」というのは、僕が物理学をやっていて学んだとても大事なことなので、無理矢理このようにここで紹介しました。

 それで、「じゃあ、本当にそんな長方形と円の面積が一緒なのか?」というと、下の写真で一目瞭然なように、一緒なわけです。
 (数学屋的にいいのか分からないけれど物理屋的にはOKだと…)

 これは、以前紹介した『トーラスと円柱』にまったく同じ論法ですね。




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4 コメント

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算数的には (shohei)
2012-01-09 14:02:55
あけましておめでとう。

ご無沙汰です。

算数的にはそれが一番納得のいく説明だよね。
その説明は5年生でも理解できますから。


極限の話とか持ち出さなくても感覚的に理解できる素晴らしい説明だと思ってます。

今年もよろしく。
Unknown (横岩良太)
2012-01-09 17:14:03
あけましておめでとう。
でも、結局この説明をしたら、続けて極限の話をしたくなるのだろうねw 無限個に分けて無限個並べる、とか言われた途端頭にドライブかかる子供もいると思うし。
今年もよろしく。
Unknown (sigh)
2012-01-15 18:42:44
息子は結局積分して思い出したようですが(笑)
わたしには、この図は大変わかりやすかったです。
でもそれよりも
円の面積の出し方について、小学校で習って覚えて以来
自分が一度も「なんで?」を考えなかったことにびっくりしてます。
>円の面積公式は小学生の時に暗記して、
>いかにも自明なことになっていたので、
>導出を考えたことがなかったわけです。
これですね。
そういうことが自分には多すぎるなぁ。
自分だけじゃないだろうけど。と思います。
Unknown (横岩良太)
2012-01-15 18:53:43
僕も本当に「なんで?」と思わなかったことにびっくりしました。
それも、自分で何度も人に教えてきたのにです。普通だったら、教えてる途中に「こうだから」と理由の説明もしたくなるはずなのに。。。愕然とした次第です。
刺激になるツイートをありがとうございました!