min-minの読書メモ

冒険小説を主体に読書してますがその他ジャンルでも読んだ本を紹介します。最近、気に入った映画やDVDの感想も載せてます。

白川由紀著『もっと世界を、あたしは見たい』

2009-03-07 10:51:17 | ノンフィクション
白川由紀著『もっと世界を、あたしは見たい』㈱ポプラ 2006.8.10第1刷
1,400円+tax

オススメ度★★☆☆☆

先月2月のある日、日本経済新聞の何面かの一面にこの著者が写真入りで大々的に紹介されていた。
掲載された写真を見たところ紹介記事にある通り40歳には見えない素敵な女性であった。何と言っても肩書きの“大陸横断家”というのに引かれた。
更に写真家として活躍すると共に、高尾の近くに実家を改造して世界中から収集してきた美術品や民芸品と身近に触れ合うことが出来るカフェを開き食事や酒も提供しているという。
著書が写真集を含め幾冊かあるようなので、その中の最新刊である本書を取り寄せて読んでみた。
内容は、何故自分が海外に興味を抱くようになったのか。ネパールに留学したときに“ユーラシア大陸横断バス”の構想を描くきっかけが出来、それをいかに実現したか。
何度かヨーロッパとネパール間の大陸横断バス運行を実現した後“アフリカ大陸横断バス”をも実現。そして更に自ら“プチ・ユートピア”と呼ぶカフェバーの開設に向けての奮闘、などなどを描いている。

感想を一言で言い表すと「独善的人生の勝手な展開」。本書のタイトルやら目次をパラパラと見た上で購入し読んだ方は、きっと肩透かしを食らった!に違いない。
若いうちに海外を見たい、行きたいという願望は分かる。だが、それ以降のカトマンズへの留学から始まってどのように“大陸横断”の構想を得たのかどのように実現し内容はどうであったのか、等々についての記述がおざなりで、読者は不徳要領な内容に戸惑うばかり。それは次のアフリカ大陸横断についても同様で、著者の独断的な描写にガッカリ。少なくともこの極めて特殊な旅についての「旅行記」的記述を期待した読者は満足しないであろう。
最後のカフェバーをつくろう!という件(くだり)が一番印象に強く残り、全編を通じ彼女の“想い”だけが疾走する感じだ。

実はこの種の女性が僕の周囲にひとりいらっしゃる。容姿もそこそこイケて、顔も可愛い。彼女の立ち振る舞いが男どもの感性を擽り、彼女の大抵の言動を許してしまう。何より彼女は“バイタリティー”に満ち溢れているのだから、ちょっと人生に自信を持てない、あるいはちょっぴり人生に疲れた周囲の人々をぐんぐん引っ張っていく。
それが全く正しい方角であるかどうかは第二儀的な関心事にもなりかねない状況で、著者白川女史の場合も同じように彼女に何となく振り回されるかっこうでこの度の事態に至ったのではなかろうかと苦笑交じりに思う読後感であった。
とまれ、彼女のお店は私の実家から遠くはないので、次回帰郷の折訪れようと思っている。

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