インターネットの憂鬱

仮想空間と現実の狭間で

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貧者の核兵器=インターネット

2012年05月29日 | 雑感

地球上の兵器で、人類が最も恐れるのは、NBC兵器(過去にはABC兵器)と呼ばれる大量破壊兵器だ。
この呼び名は、Nuclear=核兵器、Biological=生物兵器、Chemical=化学兵器の
頭文字を組み合わせたものだが、最近ではこれにRadiological=放射能兵器を加えてNBCR兵器ともいう。

核兵器はご存知のように、高度な技術と施設、それを支える膨大な予算が必要なため、製造できる国家は限られている。
このため、技術も予算もない貧しい国家は、核兵器を製造・保有することができない。このパワーバランスの上に
世界の覇権は成り立っていると言ってもいいだろう。これもまた、みなさんご存知の通りだ。

しかし、そうはいっても、貧しい国家にも権利や野望はある。核兵器を持たずに、核兵器を所有する大国に
張り合うために彼らが手を出すのが、生物兵器と化学兵器だ。どちらも、核兵器ほどの技術も予算も必要なく、
とくに化学兵器(大半は毒ガス)は、ちょっとした知識があれば、市販の薬品からでも作ることが出来る。

このように核兵器に比べて圧倒的に安く作れる化学兵器は、無差別に大量殺戮できるという点では、
核兵器並みの威力を持つことから「貧者の核兵器」と呼ばれて来たのだ。



面白いのは、このような国家の貧富の差と、それぞれが選択する大量破壊兵器の関係は、
そのまま企業とメディアの関係、あるいは企業と情報伝達手段の関係に置き換えられることだ。

大国が保有する核兵器は、大企業が牛耳るマスメディア、という図式が成り立つ。
製造に必要な高度な技術=広告代理店、膨大な予算=大企業の資本に置き換えられるというわけだ。
これによって電波媒体(TVとラジオ)、印刷媒体(新聞と雑誌)、そしてインターネット媒体などが融合し、
大きなボリュームになって大量に、無差別に(ときに限定して)、企業の情報をばらまいているのだ。

もちろん、そこには「大国の覇権」=「情報統制」が明らかに存在している。

では、貧困国=予算のない中小企業や、私たちのような零細企業は、これまでどうやって情報を発信したのか。
チラシ、ポスター、DM、口コミ、電話、飛び込み、時々は無理をしてローカル新聞の広告。
いずれも、(予算が少ないから)局地的で、費用対効果が不安定で、無駄骨になることも多々あったはずだ。

言ってみれば、自動小銃や迫撃砲、よくて通常のTNT爆弾かバルカン砲程度の破壊力。
それも優れた兵士が操作した場合のみ、その威力を発揮できるという条件付き。
とてもじゃないが、ボタンひとつで何十万人の、核兵器の足下には及ばない。


ところが、核兵器に匹敵する化学兵器が普及した。それはインターネットだ。


ちょっとした「技術」と「知識」があれば、「市販」のパソコンと「極めて安価」なレンタルサーバーを使って、
名も無い零細企業でも「やり方」によっては、世界規模の戦い=情報発信を行なうことが出来る可能性がある。

さらに、大企業にとってのインターネットは、実はやっかいな存在だ。なぜなら、これまで大半の大企業では、
その告知に電波および印刷媒体を使い、販売には実店舗を使い、そのための設備や人員も確保しているから、
そう簡単にそのシステムを変えることができないからだ。

いきなりのように登場したインターネットは、彼らにしてみれば既存のシステムを補完する程度であり、
通販をやってみたり、資料やデータの配布をしてみたり、顧客サービスに使われたりというのが現状だ。
つまり、ブランドや知名度の向上、販売促進の主流には、なかなか成り得ないのだ。
これは「マス」を相手にする「大企業」ならではの、ジレンマだと言ってもいい。

もっと言えば、企業風土や会社の評価制度が足を引っ張っている場合が多い。
ことface bookなどのソーシャルメディアは、最も日本の大企業に向いていないだろう。
封建主義的な年功序列、あるいは全体主義など、どこがソーシャルなのかと(笑)。

もちろん例外もあって、インターネットでの仕掛けが成功し、収益に大きく貢献している場合もある。
しかし、こと製造と販売を行なう企業にとっては、インターネットは費用対効果に優れないばかりか、
技術的にも扱いきれず、広報や営業担当者などは関わりたくないと思っている人も多いはずだ。
当然ながら、実作業は広告代理店や制作会社に丸投げである。

大きい組織故に身動きの遅い大企業には、インターネットの持つ高い自由度は相反する部分があるのだ。
逆に、組織や上下関係に囚われない小さな企業には、その自由度が武器になる。個人ならさらにだ。

内容の変更や情報の入れ替えが好きなときに行なえる。ホームページとSNS、さらに他のメディアを組み合わせて、
商品の告知やブランド訴求を行なえる。販売窓口になる。顧客とのコミュニケーションにも使える。
それらを圧倒的に低コストで行なえる。技術と時間さえあれば、これら全部をひとりの人間が管理できる。

これが、多くの経営コンサルタントが言う「インターネットは零細企業ほど向いている」という理由だ。

ただし、「技術」と「知識」、あるいは「洞察力」と「感性」、さらには「矜持」と「美学」など、
ひとつの仮想空間に最大限の威力を持たせるためには、さまざまな「材料や要素」が求められる。
要するに「戦略」と、それを支える「熟練」が必要なのだ。

それがあれば、まさに「毒ガス」を使った「ゲリラ戦」が可能になり、大国に勝負を挑めるだろう。
理屈の上では、トヨタやキヤノン、三菱やNTT、資生堂などと同じ土俵で戦うことも可能になる。
もっとも、本当にそうなったら彼らは全力で潰しにかかってくるだろうが…


ここで、日本の素晴らしいことわざをひとつ。

「宝の持ち腐れ」

核兵器だろうが、毒ガスだろうが、インターネットだろうが、使い方を間違えれば、何の意味も無い。
それどころか、自分で自分を殺しかねない。威力のある道具ほど、使う人間の資質を問うものである。

あなたに、その資質があることを祈ってやまない。








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