day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

スト決行。

2004-09-17 | ヤキュウ。

プロ野球70年の歴史の中で初めて、選手によるストライキが決定された。
スト決行に至る、選手会と機構側合意のタイムリミットは17時。それがまず2時間の延長。さらに延長され結局、会見は21時過ぎに行われた。

私は残業しつつ成り行きをネットでチェックしながら見守っていたのだけどその間には結論は出ず、A藤さんが社用車のワンボックスで帰るのに私の自転車を乗せて送ってくれるというので便乗して帰宅。

この時、ラジオからは札幌ドームのハム牛戦が流れていた。

ノリの2ランと礒部のソロ、2本のホームランで3-0。好投のパウエルが8回崩れ初めて1点を失うがそこで踏みとどまる。9回表に北川がダメ押しとなるソロホームランを放ったところで家に到着した。続きは家でラジオを聴く。
このラジオ放送の合間にも、団交の現状について報告がなされているがいずれも「まだ出てきません」というものだった。
解説者の大島氏は「全試合が終わってから会見する気かもしれないですね」と言っていた。
自宅でラジオを聴きながらミュートにしてあったテレビに、ニュース速報が入った。
「───選手会はプロ野球初のストライキを決定」

ラジオのハム牛戦は、パウエルの完投でバファローズの勝利に終わった。


尋常でない長時間の会議の後の会見、その後のNHK・「すぽると」(フジ)に古田選手会長は姿を見せた。
相当な疲労のはずだ。
番組で募集されたFAXが読み上げられるのを聞きながら、古田の目に涙が溢れた。
これだけ支持してくれるファンがいるのに、それでもその声が届かないNPB。それに対する悔しさや無力感などがこみ上げたのかもしれない。CMの間、古田は「悔しい、悔しい」と繰り返していたという。

機構側の瀬戸山委員長が、用意された原稿をただ無感情に読み上げたのに対し古田が自分の言葉で並べた謝罪の言葉たち。
その冒頭の謝罪は、
「近鉄バファローズとオリックスブルーウェーブの合併に対して反対の署名などをしてくれたファンの皆さん、願いを叶えることが出来ませんでした」
というものだった。
それはバファローズを何とかして残したい私にとっては殆どゲームセットのコールだといえる。

「もう合併を覆すことは諦めた」
と宣告されたということなのだ………

でも、そのことで古田はじめ選手会を責めるつもりは毛頭ない。
いや、むしろここまで本当によく頑張ってくれたと思う。

シーズン中の選手が、試合に出ながら(しかも活躍しながら)何故ここまでやらねばならなかったのか。
そもそも合併問題は「ヤクルトの古田」には関係ない。
球団の縮小となったとしても古田クラスの選手がその影響を受ける心配はまるでない。しかも、古田も39歳で選手生命はあとそう何年もあるわけではない。
そして、おそらくヤクルトでの監督など重要ポストが約束されているだろう選手である。ここまで戦う理由は彼個人にはない、むしろ今回の活動は不利益をもたらず可能性の方が高いのだ。

それでも、戦い続けた。
ファンが泣いているから。
自分たちが夢見て入ってきたプロ野球の世界が「経営者」と呼ばれる年寄りたちの企業論理だけで…
「夢」とは対極にある大人の事情で壊されようとしているから。
だから、ファンの多くが支持する。

スト決行のニュースが流れたヤフーBBスタジアム(波鴎戦後)では、マリサポを中心に「古田コール」が起こったという。
球場に通い詰め、「企業」でなくそれぞれのチームの「選手」を応援しているファンたちには
彼が、彼らがどれほど重い戦いを、矢面に立って泥を被ってやってくれているのか、わかっている。
スタンドプレーでも自分たちの利益だけの為でもなく。戦うその姿を。
ずっと忘れることなく目に焼き付けておきたいと思うのだ。
そんな彼らと、共に戦ったと思えることは、野球を愛するものとしてこの上ない誇りになるだろう。

………まだ彼らの戦いは終わっていない。
どこへ行き着くか先は見えない。

野球のない土日に、ゆっくりと考えてみるのもいい機会なんじゃない?
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