正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

摩頂付嘱とは (嘱累品第二十二)

2005-11-15 | 妙法蓮華経並開結 略要旨私考

 「摩頂付嘱」は「嘱累品第二十二」(法華経518)にあり、一切の菩薩に対し総じて付嘱するということです。仏が無量の菩薩の頭を三度なでて付嘱するところから「摩頂付嘱」と呼ばれ、仏が弟子に教法を伝え、弘通を托すことであります。
 「摩頂付嘱」は、『法華経』の「如来神力品第二十一」に説かれる「結要付嘱(別付嘱)」とは違う、「総付嘱」という意味があります。
 「嘱累品第二十二」に、
「爾時釈迦牟尼仏。従法座起。現大神力。以右手摩。無量菩薩摩訶薩頂。而作是言。我於無量。百千万億。阿僧祇劫。修習是難得。阿耨多羅三藐三菩提法。今以付嘱汝等。汝等応当一心。流布此法。広令増益。如是三摩。諸菩薩摩訶薩頂。而作是言。(爾の時に釈迦牟尼仏、法座より起って、大神力を現じたもう。右の手を以て、無量の菩薩摩訶薩の頂を摩でて、是の言を作したまわく、我、無量百千万億阿僧祇劫に於て、是の得難き阿耨多羅三藐三菩提の法を修習せり。今以て汝等に付嘱す。汝等、応当に一心に此の法を流布して、広く増益せしむべし。是の如く三たび、諸の菩薩摩訶薩の頂を摩でて、是の言を作したまわく)」(法華経518)
と説かれ、「摩頂付嘱」の様子がうかがえます。「嘱累品第二十二」で多宝仏の塔が閉じられ、虚空会での会座が終わります。次の「薬王菩薩本事品第二十三」で霊山会に戻ります。『法華経』での会座は、二処三会になります。
 『御義口伝』には、「嘱累品三箇の大事」(御書1785)が説かれます。「第一 従法座起の事」「第二 如来是一切衆生 之大施主の事」「第三 如世尊勅 当具奉行の事」という三つの大事です。
 それが『御義口伝』に、
   「第一 従法座起(じゅうほうざき)の事、
   御義口伝に云はく、法座起(ほうざき)とは塔中(たっちゅう)の座を起(た)ちて塔外の儀式なり。三摩(さんま)の付嘱有るなり。三摩の付嘱とは身口意の三業、三諦三観と付嘱し玉ふなり云云。
   第二 如来是一切衆生(にょらいぜいっさいしゅじょう) 之大施主(しだいせしゅ)の事、
   御義口伝に云はく、如来とは本法不思議の如来なれば、此の法華経の行者を指すべきなり。大施主の施とは末法当今流布の南無妙法蓮華経なり。主とは上行菩薩の事と心得べきなり。然りと雖も当品は迹化付嘱の品なり。又上行菩薩を首(はじめ)として付嘱し玉ふ間、上行菩薩の御本意と見えたるなり云云。
   第三 如世尊勅(にょせそんちょく) 当具奉行(とうぐぶぎょう)の事、
   御義口伝に云はく、諸菩薩等の誓言の文なり。諸天善神菩薩等を日蓮等の類の諫暁(かんぎょう)するは此の文に依るなり。」(御書1785)
と仰せであります。
 「摩頂付嘱」とは、本化の菩薩である地涌の菩薩への付嘱ではなく、迹化の菩薩に対する付嘱です。