正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

天界の喜びは一時的である

2005-11-19 | 十界論私考集

 六道の世界で一番楽しいところが天界で、日蓮大聖人は『観心本尊抄』に、  
「喜ぶは天」(御書647)
と仰せであります。天界は快楽に満ちた境界のことで、六道・六趣・六凡・十界の一つです。天上界ともいいます。天界の喜びは仏界に較べると一時的であり、表面的な幸福に過ぎません。信心をせず、天界の喜びに満足している人は、六道輪廻の生活を繰り返します。つまり、地獄に堕ちたり天上界に行ったりと、安定しない境界であります。
 日蓮大聖人は天界である天道について『十法界明因果抄』に、
「第六に天道とは、二有り。欲天には十善を持ちて生じ、色(しき)・無色天(むしきてん)には下地は麁(そ)・苦(く)・障(しょう)、上地は静(じょう)・妙(みょう)・離(り)の六行観を以て生ずるなり。」(御書209)
と天道である天界に生まれる因縁を仰せです。
 天界は、一般に虚空、天空のことで、天・天上界・天道・天趣・天有と同じ意味です。二十八天あり三界(欲界・色界・無色界)中の欲界に六天、色界に十八天、無色界に四天あるとされています。
 天とは、また天界に住する天人や天衆をいいます。諸天善神のことでもあり、天界の代表である、大梵天王と帝釈天と四天王(持国天・増長天・広目天・多聞天)とをあわせて「梵釈四王」といい、仏法守護の善神であります。
 日蓮大聖人は、梵天・帝釈ともに法華経序品において、その会座に列なっていることから、法華経守護の善神とし、三大秘法の御本尊様にも認められています。御本尊様を受持信行するところ、確実に諸天善神の加護があります。 
 欲界の六欲天とは、四王天・忉利天(三十三天ともいい、この天の主が釈提桓因、即ち帝釈天)・夜摩天・兜率天(都率天)・化楽天・他化自在天です。 
 色界の十八天が初禅天の梵衆天・梵輔天・大梵天、二禅天の少光天・無量光天・光音天、三禅天の少浄天・無量浄天・遍浄天、四禅天の無雲天・福生天・広果天・無想天・無煩天・無熱天・善現天・善見天・色究竟天です。  
 無色界の四処は識無辺処・空無辺処・無所有処・非想非非想処(有頂天)のことです。以上が二十八天になります。
 多くの人は、以上の天界を求め満足します。外道であるキリストの思想は、この天界を恋い焦がれる教えで、本来の仏教に説かれる天界という意味から、相当逸脱しています。世間では天界に関する考え方が繁雑し、人々の心に幻惑作用を起こし、外道的な天界説を信じている人が多くいます。
 信心を知らない多くの人は、天界より更に上の境界(四聖)を、目指そうとしない人が殆どです。信心をすることで一時的な天界の喜びから離れ、現当二世といわれる本当の幸福境界、成仏を得ることが出来ます。
 御本尊様を受持信行するところ、一時的な幸福感に浸ることなく、四聖の境界を志し確実に得ていくことが出来ます。
 天界で一番障害になる天は、欲界の最上に位置する化他自在天の第六天です。この第六天の存在を信心する上で一番注意しなければなりません。仏道を志す多くの人は、この他化自在天の餌食となり、退転していくのであります。  
 師弟相対の信心を忘れることなく、また下種三宝尊への報恩を忘れなければ、自然と仏眼を頂き第六天の魔王の働きに紛動されない信心に根ざすことが出来ます。信心をして御本尊様に御題目を唱えるところ、永遠に続く喜びがあります。