正林寺法華講員手引書

『折伏・家庭訪問・教化育成・法統相続・教学研鑚・邪義破折・支部組織の充実強化に活用』 法華講正林寺支部 正林編集部

私達が積んだ功徳を「回向」するには

2005-11-21 | 手引書④

 「回向」とは、信心をする上で大切なことです。「回向」には二つの意味があり、一つは御先祖様に御塔婆を建立して、私達が信心で積んだ功徳を回向し追善供養することと、もう一つは折伏における衆生救済に於いて、信心で培った智慧を施していくことです。他の人に功徳を回り向かわせ、成仏の境界へと導いていきます。更に施したことにより、自分自身に徳が回りめぐってかえってくるのであります。
 「回向」には三種回向という菩提回向・衆生回向・実際回向があり、三種回向を更に十種類に分類した回向があります。また菩薩の五十二位に十回向があります。これは別教における菩薩行の位です。その「十回向」とは、
 ①救護一切衆生離相回向心(くごいっさいしゅじょうりそうえこうしん)が、無相の心をもって六道に入り、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の六度等を修行して一切衆生を救護しながら衆生の相を離れる位です。
 ②不壊回向心(ふええこうしん)は、三宝のもとで何ものにも乱されず壊れない信を得て、深く諸法に通達し、一切法の空理を直観する位です。
 ③等一切仏回向心(とういっさいぶつえこうしん)は、三世の仏法をあらゆる時に修行する位です。
 ④至一切処回向心(しいっさいしょえこうしん)は、一切の仏所に至り三世の諸仏を恭敬供養する位です。
 ⑤無尽功徳蔵回向心(むじんくどくぞうえこうしん)は、尽きることのない善根を回向して仏事を行い、更に尽きることのない功徳を得る位です。
 ⑥随順平等善根回向心(ずいじゅんびょうどうぜんこんえこうしん)は、平等に善根を施し、平等に衆生を利益し、善悪不二を観ずる位です。
 ⑦随順等観一切衆生回向心(ずいじゅんとうかんいっさいしゅじょうえこうしん)は、一切衆生の行為を善悪不二・一相と観ずる位です。
 ⑧如相回向心(にょそうえこうしん)は、中道の真理を修習して諸法の真実の相を照見する位です。
 ⑨無縛解脱回向心(むばくげだつえこうしん)は、深く智慧の門に入り、一切諸法の差別相と平等相とをあまねく了知して、一切の執着を離れる位です。
 ⑩法界無量回向心(ほうかいむりょうえこうしん)は、無量無辺の智慧をもって一切世間を照見し、一切法において無礙自在を得、平等正観を成就する位です。以上が「十回向」の名称と意味になります。
 「回向」については、十回向を理解し回向の意義を考え直してみるとよいでしょう。更に功徳を他に施すことで充実します。
 毎月寺院で行われる一日の永代経では、御塔婆を建立し御先祖様に、私達が信心で御本尊様から頂いた功徳を回向して施すことが出来ます。その他に、御先祖様の忌日法要(きにちほうよう)や祥月命日(しょうつきめいにち)と命日には寺院へ参詣され、御塔婆を建立し御住職様と一緒になって御本尊様に御経と御題目を唱え、精霊台で御焼香をすることが、御先祖様への回向になり、成仏の縁を結ぶことが確実になります。そしてお墓があれば、本堂でのお詣りの後に墓参をして御塔婆をお墓に立て、方便自我偈と御題目を唱え、御線香を供えてお詣りすることが大事です。御先祖様もさぞかし御満悦のことと思います。日々の信心修行では、「回向」を心がけましょう。