福谷章子のまちづくり

さまざまな役割を持ちながら暮らす中で、日々出会い触れ合う人々、街、文化、自然、出来事についてつづります。

あれから5年 何を引き継ぎ伝えるか

2016年03月11日 | イベント&地域情報


2011年4月に開校したおゆみ野南中学校は5回目の卒業式です。
これまでに、781名の先輩が巣立っていきました。
5年前の3月11日は東日本大震災が起き、その翌日に予定していた新設校舎の地域へのお披露目は取りやめになりました。
動揺が続く中で、おゆみ野南中学校は希望と共に開校しました。
 

卒業式は今年も素晴らしく、私たち参列者の気持ちを素直にし勇気を与えてくれました。
特に合唱には心が打たれます。
今年は、いつも同じように歌われている聞きなれた校歌の二番の歌詞が、ふと心に留まりました。

「美しく 彩りかわる 四季の道 優しい雨の 降る中を・・・」
という歌詞です。
校歌というと、晴れるとか、明るいとか、陽ざしとか、さわやかな風とか・・・そんなイメージがつきまとっていたから、「雨」?と思ったのです。
そして、こう続きます。
「強き心で いざ立ち向かい わが歩む道 今切り拓く」

おゆみ野南中学校の校歌は、2011年の開校時の在学生が国語の授業で言葉を出し合い、音楽の先生がその言葉を基に作詞したものです。
そして作曲者は、八木澤教司さんです。
八木澤さんは、被災地の人たちを励まし続けてきた『あすという日が』を作曲された方です。

言葉を出すにあたり、子どもたちは被災地への思いを少なからず持っていたのではないかと思います。
そして、被災地への思いから発していたにしても、生れ出た言葉は自分自身への励ましやいたわりや希望となり、周囲への思いやりの言葉になっていくのではないでしょうか。

しみじみと、優しい歌詞です。
1番は、
「朝の日の さしこむ先に 仰ぎ見る 白き学び舎 輝いて 笑顔の友と 理想をかかげ 文化を築く おゆみ野南」
3番は、
「青き空 悠々と舞い 天高く 夢をえがいて 風にのり つどいし友と 希望を胸に 未来羽ばたく おゆみ野南」
という具合に。

校長先生の式辞は
「世の中には良いこともあれば影もある。明るいことと暗いことは引き立て合う関係。人生も同じ、人間関係も同じ。車でも自転車でもタイヤと道の間に摩擦が生じるからスリップをしない。まさつは必要。人生に無駄なものなどひとつもない・・・。」
というような内容で、私はとても心を打たれました。
震災から5年。
あえてその言葉は出さなくても、被災地への思いとこれから巣立つ子どもたちへの励ましがこめられた式辞だと感じました。
 

15歳のみなさん 義務教育の修了おめでとうございます。
どんなに小さなことでも大変なことでも、「自分の事」として捉えることができる大人になってください。
それこそが、被災された方々や未だ復興がならない被災地を助けることにつながっていく、誰にもできることだと思うのです。

先輩たちが残していった優しさが、伝統となって引き継がれていることを感じた卒業式でした。
もう一度、心からおめでとう。


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